今日はピアノでJOY
ピアノは約300年前、それまでの弦を爪で引っかくチェンバロから、ハンマーで叩く打弦機構の新しい楽器として誕生した。イタリア・フィレンツェのクリストフオリ 〈1655〜1731宮廷音楽家)が1709年に考案(これ以前、既にピアノの先祖というべき鍵盤楽器は存在したという説がある)したフォルテピアノが現在のピアノの原型となっている。バッハやへンデルが24歳のときである。その後、ベートーヴェン〈1770〜1827)の時代にピァノは急速に進化していくことになる。32曲のピアノ・ソナタを作曲する過程で、ピアノは61鍵〜68鍵〜73鍵と5オクターブから6オクターブへと進化(現在は88鍵 71/4オクターブ)し、それに伴い作風も変化しワイドレンジとなっていく。ベートーヴェンがピアノの進化に大きな関わりをもっていたことも事実のようである。
1 使用するディスク
(1) ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番変ホ長調 作品73(皇帝)(約43分)
ダニエル・バレンボイム指揮 ロンドン・フィルハーモニー管絃楽団
Piano アルトウール・ルービンシュタイン
この曲については敢えて説明を要さないものと思われるが、1809年フランス軍のウィーン侵攻で陥落した、戦火の荒廃したなかで作曲された。5曲のピアノ協奏曲中、最後に書かれた作品で最高傑作とされている。
ルービンシュタインは1887年1月28日のポーランド生まれ。80代を超えてもなお若々しい生命感のある演奏をきかせ続けた20世紀最大のピアニストであり、ピアノ界の巨匠である。
このレコードは1975年ロンドンキングスウェー・ホールでの収録であることから、88歳のときのものである。1/2インチ幅、76cm/seeスピードのマスターテープによるRCAスーパー・カッテング方式の45回転盤で、高品質材料を使用した高音質レコードである。
(2) リスト ピアノソナタ ロ短調〈時間まで)
Pianoラザール・ベルマン(1975年録音)
リスト(1811〜1866)が1852年から53年にかけて作曲した唯一のピアノ・ソナタで、高度の演奏技巧とそれを上回る独創的内容と評価される。作品は1854年に出版され、シューマンに献呈された。初演はベルリンでハンス・フォン・ビューロー(1830〜1894最初の職業指揮者、ベルリン・フィル初代首席指揮者)によって行われ、曲がソナタ形式であることから批評家の論争が巻き起こる。「支離滅裂で混乱した作品」と評される一方、ワグナーは「美しく、俸大で気高い作品」と賞賛した。その後のウィーンにおける演奏で、さらに論争が頂点へと達した。
ラザール・ベルマン(1930〜2005)ロシア・レニングラード出身
ソ連の反体制派の要注意人物として、鉄のカーテンのもとで自国外の活動を制限された。
西側諸国に知れたのは、1976年(46歳)のアメリカ演奏旅行のことで、電撃的なニューヨーク・デビューで大評判となり、センセーションを巻き起こした。その後、ベルマンのレコードを聴いたカラヤンが興味を持ち、エミール・ギレリスに質問したところ「私とリヒテルの二人が4本の手で対抗しても勝てそうにないピアニスト」と答えたエピソードを持つ実力者。イタリアではミケランジェリと人気を二分し、1995年にロシアを去ってフィレンツェに定住した。自前のピアノを持参し、数度の来・日をしているが、知名度はあまり高くない。74歳没・・・
以 上