これは、先頃、引退したプロ野球のロッテ小宮山投手の台詞 「野球は神様が与えてくれた最高の娯楽だと思う。」 のパクリです。
しかし、今日、「こうもり」 を見ていて、つくづくそう思いました。
コベントガーデン(1984)盤の素晴らしさは第一にキャスティングにあります。
ヘルマン・プライとキリ・テ・カナワの演じる主人公夫妻。特にプライは楽しそうに演じています。キリも気品と歌唱力で魅せます。ロザリンデ役ではベストでしょう。プライも、クライバー及びベーム盤のエーベルハルト・ヴェヒターに匹敵すると思います。
狂言回しのファルケ(=こうもり博士)、その暗躍ぶりがオットー・シェンク演出に比べ、
ベンジャミン・ラクソンによって、分かりやすく且つ明るく、演じられています。
デニス・オニール扮するアルフレードは、いかにも座付き歌手という感じでイタリアオペラの名アリアをアカペラで連発します。
次に、指揮者としてのドミンゴの熱演、序曲からして全力投球で、いささか空回りの感もなきにしもあらずですが、2幕のアイゼンシュタイン、3幕のフロッシュとの絡みが本当に楽しい。本業が歌手であるためもあってか、どのアリアも伸び伸びと歌わせているのは流石と言うべきでしょう。
大晦日の上演、新年を迎えるどこか華やいだ雰囲気、それに歌はドイツ語、台詞は英語ということもあって、舞台客席一体となって盛り上がります。
言葉といえば、アイゼンシュタインとフランクの怪しげなフランス語以外にも、見た目、尼さんを連想させてしまうオルロフスキー伯爵の
「ドウモアリガトウ!マタ、オアイシマショウ!」と日本語まで、しかしそれに続いて、
「あの日本大使は好人物だ。」(オ伯爵)「アメリカ代表団の一員です。」(ファルケ)
と落ちが付きます。このほかに数々のギャグが散りばめられていて笑いには事欠きません。
夜会のゲスト、シャルル・アズナブールも素晴らしい。
バレエファンには、英国ロイヤル・バレエのメール・パークとウェイン・イーグリングが踊るパ・ド・ドゥ「春の声」を是非見て欲しい。
とにかく、3時間近い長丁場を飽きさせません。
最後に、なんといっても、「こうもり」 という作品を残してくれたヨハン・シュトラウス二世に感謝、感謝です。
以 上