シュトラウス2世(ヨハン)

(Johann Strauss II 、1825〜1899)

喜歌劇『こうもり』全3幕
            カラヤン&ウィーン・フィル

AAFC例会資料
2010/01/09
担当 : 清水俊一

                (UCCD-3940〜1) (録音: 1960年6月12日〜20日、ウィーンゾフィエンザール)

豪華なガラ・コンサートの顔ぶれで有名なステレオ初期の名盤

当時、カラヤンは52歳、ベルリンフィル、ウィーン国立歌劇場、ミラノスカラ座等、ヨーロッパ楽壇の主要ポストを独占し正に絶頂期、一方デッカも当時の主立った歌手と専属契約を結び他のレコード会社を圧倒していた。この録音は両者の黄金時代の素晴らしい記録である。なかでも、最大の魅力は当時デッカの専属だった11人の名歌手たちが思い思いにお得意の歌を披露するガラ・コンサートにつきる。

0 . 喜歌劇《こうもり》 序曲       (8:01)

第2幕後半

1 . 喜歌劇《こうもり》 第2幕 第11曲 第2幕のフィナーレ:「シュヴァリエどのの健康を祝して!」
「殿下、皇帝陛下からお電話でございます」(6:44)

フランツ・ユーゼフ(皇帝)からオルロフスキー公に電話が入り、皇帝が舞踏会に行けないので、その代わ りに宮廷オペラの歌手を差し向けるという、そして歓声とともにガラ・コンサートが始まる。

2 . 「それでは、紳士淑女の皆さんご紹介します。テバルディです」
喜歌劇《メリー・ウィドウ》〜ヴィリアの歌(レハール)〔レナータ・テバルディ〕 (5:01)

3 . 「今度は楽しい歌です。もちろん、フェルナンド・コレナです」
ドミノ(フェッラリ/プランテ)〔フェルナンド・コレナ〕 (2:14)

4 . 「あ、ビルギット・ニルソンさん、シャンペンをどうぞ。乾杯!」
《マイ・フェア・レディ》〜ひと晩中踊れたら(ロウ/ラーナー)〔ビルギット・ニルソン〕 (2:48)

5 . 「では母国の歌を歌ってもらいます。マリオ・デル・モナコです」
パッショーネ(ヴァレンテ/タリアフェッリ/ボーヴィオ)〔マリオ・デル・モナコ〕 (2:36)

6 . 「さて今度は…スペインの歌姫テレサ・ベルガンサが、バスクの民謡を歌います」
バスク地方の子守歌(ラビラ)〔テレサ・ベルガンサ〕(1:56)

7 . 「では私の国の誇る歌姫をおきき下さい。ジョーン・サザーランドです」
接吻(アルディーティ)〔ジョーン・サザーランド〕 (4:06)

8 . 「では、ユッシ・ビョルリンクです」
喜歌劇《ほほえみの国》〜きみはわが心のすべて(レハール)〔ユッシ・ビョルリンク〕(4:07)

9 . 「ようこそ、レオンタイン・プライスさん」
歌劇《ポーギーとベス》〜サマータイム(ガーシュウィン)〔レオンタイン・プライス〕(3:09)

10 . 「皆さま今晩は」
《アニーよ銃をとれ》〜なんでもあなたは出来る(バーリン)
〔ジュリエッタ・シミオナート/エットレ・バスティアニーニ〕 (3:48)

11 . 「今晩は、殿下」
ウィーンよ、ウィーンよ、おまえはただ一人(ジーツィンスキー)〔リューバ・ウェリッチ〕(1:37)

12 . 「すばらしい、ほんとにすばらしい」 「さあ、みんな踊りましょう」
(4:23)

第3幕へと続く


ガラコンサート出演の歌手たち

レナータ・テバルディ(Renata Ersilia Clotilde Tebaldi, 1922年2月1日 - 2004年12月19日)

イタリアのオペラ歌手(ソプラノ)。1950年代から1960年代にかけてのミラノ・スカラ座の黄金期に活躍し、20世紀後半におけるイタリア・オペラの代表的な歌手とみなされている。

フェルナンド・コレナ(Fernando Corena)

1916年にスイスで生まれたバッソ・ブッフォで、1984年に亡くなるまで、主にオペラ・ブッファの分野で活躍した人。

ビルギット・ニルソン(Birgit Nilsson, 1918年5月17日 - 2005年12月25日)

スウェーデンのソプラノ歌手
戦後最大のワーグナー・ソプラノとしてフラグスタートの後継に擬せられる。 また、ニルソンの強靭な声、率直な人柄は多くのユーモラスな逸話を残した。
お気に入りの役柄は何かと尋ねられて曰く「イゾルデとトゥーランドット。イゾルデは私を有名にしてくれ、トゥーランドットは金持ちにしてくれたわ」
メトロポリタン歌劇場のマネージャー、ルドルフ・ビングは「ニルソンは仕事をし難い歌手ですか」と聞かれ、「とんでもない。彼女は機械みたいなものさ。カネをたっぷり突っ込めば、素晴らしい歌声が出てくる」
一方、ニルソンは納税申告書類に記すべき扶養家族の有無を問われて「たった一人ね。『ルドルフ・ビング』」
名テノール、フランコ・コレッリとの組み合わせでの、メトでの『トゥーランドット』第2、第3幕での高音の競演もまた有名だった。ある夜、ニルソンは第2幕でコレッリより長く高音を保つことに成功、満場の喝采を集め、コレッリは憤慨した。
一説には、コレッリのカラフ王子は続く第3幕フィナーレの二重唱で、ニルソンのトゥーランドット姫に接吻するかわりに、彼女の耳に噛み付いたという。ニルソンは次回の公演を「狂犬病に感染したので」といってキャンセルした。
別バージョンの逸話。その後コレッリは第3幕のアリア「誰も寝てはならぬ」を素晴らしく歌い上げ、聴衆の支持を取り戻した。引き続く二重唱でトゥーランドット姫が「私の栄光の日々は終わった (La mia gloria e finita.) 」と歌い、カラフ王子が「いいや、それは今から始まるのだ (No! Essa incomincia!) 」と応じるべきところ、コレッリは「そう、これでもう終わりだ (Si! Essa finisce!) 」と歌ったという。
ヘルベルト・フォン・カラヤンが指揮ばかりでなく演出も行う『トリスタンとイゾルデ』にニルソンも参加した。 ピアノ・リハーサルにやってきたニルソンの真珠のネックレスが切れ、真珠が四方に散乱してしまい、みんなで協力して拾い集めた。一段落してカラヤンが「君のメトの法外なギャラでしか買えない、素晴らしい真珠なんだろうねぇ」、ニルソン応えて曰く「いいえ、これはカラヤンさんに横取りされるので雀の涙ほどでしかない、このウィーンのギャラでも買える模造品よ」
そのカラヤン演出の舞台リハーサル。照明を落とし暗闇のような舞台だったので、ニルソンはヘッドランプ付きのヘルメットをかぶって登場した。

マリオ・デル=モナコ(Mario Del Monaco、1915年7月27日フィレンツェ - 1982年10月16日)

イタリアの名テノール歌手(テノーレ・ドラマティコ)。
日本には1959年のNHK主催の「第2回イタリアオペラ公演」で初来日し『オテロ』(オテロ)、『カルメン』(ドン・ホセ)に出演。『戦後芸能史物語 』(朝日選書)は日本の大衆が受けたカルチャーショックの大きさをそのまま伝えている。現在まで全てのジャンルのあらゆるアーティストの来日公演でこの衝撃を超えるものはないとする評価もある。

テレサ・ベルガンサ(Teresa Berganza、1936年3月16日 - )スペインの著名なメゾソプラノ歌手。

ジョーン・サザーランド(Joan Sutherland, 1926年11月7日 - )オーストラリアのソプラノ歌手

ユッシ・ビョルリング(Jussi Bjorling, 1911年2月5日 - 1960年9月9日)

スウェーデン出身のテノール歌手。独特の品格、清澄な透明感、また輝かしさもそなえた美声で広く知られた。

レオンタイン・プライス(Leontyne Price、1927年2月10日−) ミシシッピー州生まれのソプラノ歌手。

アイーダで大スターへの道を歩み始め、最後の公演も《アイーダ》。彼女は黒人なので視覚的に弱点があって、なかなかイメージに合うヒロインというのはなかったのだが、アイーダは黒人なので真の“当たり役”となったという。カラヤン、VPOとの《カルメン》を極め付きという人も多い。

ジュリエッタ・シミオナート(Giulietta Simionato, 1910年5月12日 - )

イタリア出身のオペラ歌手(メゾソプラノ)で、1930年代中頃から1966年の引退まで活躍した。

エットーレ・バスティアニーニ(Ettore Bastianini, 1922年9月24日 - 1967年1月25日)

イタリアのバリトン歌手。特にヴェルディのオペラで優れた歌唱を残した。

リューバ・ウェリッチ( Ljuba Welitsch,1913〜1996)ウィーン、メトで活躍したブルガリア生まれのソプラノ歌手


本日使用したスピーカーについて

Pioneer S-55TwinSD \75,000(2台1組、1988年発売)

特徴:

1.仮想同軸(バーチカルツイン・システム)
14cmコーン型ウーファー2基を使用することで低音再生を改善している。また、2つのウーファーの音響エネルギーが、トゥイーターの軸に一致するため、低音域から高音域まで音のつながりが滑らかで指向性、位相特性に優れている。さらに、ユニットだけにとどまらず、エンクロージャーの補強材、バスレフ・ダクトまで上下対称にレイアウトしたことにより、エンクロージャー内部で発生する縦方向の定在波の干渉が少なくなり、低音域の解像度が向上している。

2.ミッドシップマウント
各ユニットの振動がフレームを通じてバッフルに伝わるのを防ぐため、ミッドシップマウント方式を採用。各ユニットの磁気回路をインナーバッフルに固定、これによりユニットからの不要な振動の伝達を抑えることができ、バッフルの不要振動が小さくなっている。

3.ツィーターのアルニコ磁気回路
高域には、カーボン純度99.9%の2.5cmセラミックカーボン振動板及びアルニコ磁気回路を用いたドーム型トゥイーターを採用。

結果として、音像定位・音場再現に優れたシステムとして、市場に受け入れられ、これに気を良くしたパイオニアはバーチカルツインをメインコンセプトに据えて90年代を乗り切って行く。

以 上  

 
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