‥‥・あんなに華奢にみえて強靭、真剣であって、しかも優雅な音楽はほかになかった。
あれはピアニストが自分を映して省みる大事な鏡でもあった。
(吉田秀和…朝日新聞「音楽展望」より)
1.バラード第1番卜短調作品23
(演奏)S.エデルマン(P) ( 9:38)
2.バラード第4番へ短調作品52
(演奏) 同 上 (12:11)
3.夜想曲第10番変イ長調
(演奏)V.アシュケナージ(P) ( 5:42)
4.ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11より
第1楽章 アレグロ マエストーソ
(演奏)・M.アルゲリッチ(P)
・C.デュトワ指揮
モントリオール交響楽団 (19:03)
尚、ご参考までにK氏の座談会での談話の一部を掲載します。
《バラード》はショパン作品の最高峰
K氏・・・元来は何かの物語りによる自由な形式の叙事的な歌曲を意味したバラードでしたが、
それをヒントに構成されたショパン独特のピアノ独奏曲となって、きわめて至難な演奏技巧と高度な芸術的表現能力を要求する傑作が出現したわけですね。
そこで「バラードという名を器楽曲に使ったのはショパンが史上最初の作曲家」でしたから、ピアノ曲の性格とか内容をしめすための曲名や題名にかけては人一倍敏感だったシューマンの注目するところとなって、1836年にライプチッヒを訪問したショパンに「これこそ最高の天才の傑作」として、あなたの全作品で一番好きな曲が卜短調の《バラード》ですと絶賛しますとショパンはしばらく考えこんだ末に、“それはうれしい。実は私もこれが一番気に入っている曲の1つです” と答えた話が有名ですね。
・・・・・・・・
いずれにせよ4曲の《バラード》がショパンの最高峰だと認める向きは多いですね。・・・
(「レコード芸術」より)
以 上