オーディオ記録媒体の変遷と進歩

「USB メモリーに転送して
再生する」

 

AAFC例会資料
2010/09/12
担当 : 堀端 俊雄

 
  エジソンが1877年に発明した「フォノグラフ」の原型から始まり、我々の知る大ざっぱな媒体の変遷としてはSPレコード、LPレコード、EPレコード、オープンリールやカセット、MD等の磁気テープ、CD、CD-R、DVD等の光ディスク、パソコン系ではハードディスク(HDD)、USBを含む各種の外部メモリ、最近脚光を浴び始めたソリッドステートドライブ(SSD)等々、枚挙にいとまが無い位、めまぐるしく変化しています。
単体、或いはこれらの組み合わせで更にバラエティが増え、用途に応じて何でも選べる時代を経験している訳ですが、この変化は技術進歩と共に今後も続くものと想像出来ます。
そこで本日はパソコンに取り込んだ往年のLPやCDから好みの音楽を簡単に持ち運びの出来るUSBメモリに転送して持ち込み、当会場でどんな音が聞こえるか試してみたいと思います。

  その前にパソコン上のサウンドファイルに簡単に触れておきましょう。パソコンの中では音楽も総て何等かの「ファイル」として扱われます。
DTM (Desk Top Music) で扱うサウンドファイルは大別するとPCM (Pulse Code Modulation) 系の代表的な下記タイプとMIDI(Musical Instrument Digital Interface)あげられるでしょう。

   WAV : Windows や OS/2 で音声データを記録する時の標準的なファイル形式。無圧縮。
   MP3 : MPEG 規格でオーディオ部分を規定したLayer3に分類される非可逆圧縮ファイル。
   WMA : Windowsに付属するAVソフトのWindows Media Audio 形式でMP3より高圧縮率。

MIDIは楽器そのもの(シンセサイザや各種音源)を扱う際に必要となりますが、今回のお話には直接の
関係はありません。

通常、我々がLPやTape からAD変換(アナログ→デジタル変換)してWindowsパソコン上に作られるファイルは拡張子に「.wav」が付くWAVファイルです。
PCM方式とは、本来アナログ・データである音を、一定時間毎に数値化(サンプリングと言います)することです。PCM方式のAD変換で時間的変換精度は「一秒間に何回、アナログデータの数値を測定するか」にあります。
   CDを例に挙げるなら、44.1kHz、つまり一秒間に44,100回数値化したサウンドファイルであると言うことです。
DVD ではこのSampling 周波数が46kHzや96kHz だと言うことはそれだけ変換精度が高い事を意味しているのです。
PCM 録音で作られる WAV ファイルの長所は原音の再現性にあります。
短所としてはファイルサイズが大きくなることです。
CDに使われている「44.1kHz 16bits 2CH」と言うWAVファイルのデータ量は一分当たり約10MBもあり、
例えば、一般的なポップミュージックの場合、一曲約5分とすると50MBの容量が必要となります。
容量が600-700MBのCDの場合、収容可能な音楽はだいたい一時間程度であることがお判り戴けましょう。

LP からパソコンに取りこむ時に使用した機材は時代により異なりますが大体次の通りです。

ターンテーブル Technics Quartz SL-1400MK2
カートリッジ  Shure  (MM) V-15 Type Ⅲ、Ⅳ、M44-7 (For Disc Jockey)
USB Digital Audio Processor  ONKYO SE-U33GX
録音再生ソフト SoundEngine Free (定番無償ソフト)
本日のデモに使うPC   Sony VAIO PCG-GR3F/BP (2002年モデル)
同じくUSB Memory   PicoDrive Dual 16GB(転送速度:30MB/s)


本日試聴して戴く曲名、演奏時間と出展は以下の通りです。

1.Themes of the Great Bands Vol.6 (フルバンド演奏)
     Glen Gray and His Casa Loma Orchestra    Capitol ST1812  (米国盤)
  I Can't Get Started    03:45 Bunny Berigan(Tp:Shorty Sherrock)
  Let's Dance        02:32 Benny Goodman
  Moonlight Serenade   03:24 Glenn Miller

2.  I Left My Heart in San Francisco
     Tony Bennett  (ボーカル)           Columbia Stereo CS8669 (米国盤)
  I Left My Heart in San Francisco  02:51 
  Once Upon a Time           02:58
  Tender is the Night          02:38

3.  Sounds of the Great Band  (フルバンド演奏)
     Glen Gray and His Casa Loma Orchestra     Capitol SW1022 (米国盤)
  Begin the Beguine     03:20  Artie Shaw
  Take the A Train     03:00  Duke Ellington
  Tenderly          02:57  Randy Brooks
  The String of Pearls   02:45  Glenn Miller

4.  The Best of Nat King Cole in Stereo  (ボーカル)  Capitol CSP1130 (by 東芝音楽工業)
  Star Dust         03:12
  Mona Lisa         03:26
  Too Young         03:22
  Pretend          02:43
  Solamente Una Vezu   02:43
  Without You        02:05

5.Nini Rosso Delux   (トランペット・ソロ)     VICP-41035/6 (2枚組アルバムCDから)
  夜空のトランペット    03:02
  夕焼けのトランペット   03:10
  皆殺しの歌        04:02
  星空のブルース     03:34

6.Benny Goodman Today(1970ストックホルム実況録音盤)    London P33L 20011 (CDから)
  Don't be That Way    03:19
  Goodbye          02:51

尚、上記曲は今回の発表用に持参したUSBメモリーに取りこんだものですが、時間の都合に併せて適当に省きますのでご了承願います。

     以 上