Bizet no.2

AAFC例会資料

2011/10/23

担当 : 稲垣 慈見


  
  ビゼーの作品では、オペラ《カルメン》、舞台付随音楽《アルルの女》が最も良く知られているが、他に
は交響曲第 1番ハ長調、組曲《こどもの遊び》、序曲《祖国》などを除いてあまり耳にする機会はない。彼
の曲の特徴として前回( 10/11/07)にご紹介したカルメンの《手紙の二重唱》、アルルの女組曲の《メヌエ
ット》、 NHKみんなの歌で有名な《小さな木の実》など、一度聞いただけで忘れることのできない懐かしさ
をかきたてるような曲がある。懐かしいという感情の態様は様々であるが、喜怒哀楽とか正義、寛容、慈
悲とかいう、自己の意思によってある程度制御する余地のある諸々の感情とは異なった、無条件の優し
い情緒である。‥‥‥‥‥故郷の懐かしさを歌った作曲家は多数いる。しかしビゼーの作品には、ことさ
ら故郷を歌わなくても、初めて聞いただけで懐かしさを感じさせる何かがある。

  今は昔、ブラームスのヴァイオリンソナタ第 2番の録音されているテープを買った。そのうち余裕が
できたらデッキを買おうと思っているうちに、 35年も経ってしまった。最近になってどうしてもデッキが
欲しくなり、今年の一月、秋葉原の清進商会でやっと AKAI GX-635D (4tr, 2ch, 19cm/s, 30~25,000 Hz
±3 dB)を手に入れることができた。このテーププレーヤーも製造打ち切り後随分経っているので、何時
使用不能になるか分からない。故障する前に、皆様にお聴き頂いた方が良いと思う。富士レコード社に
20巻ほどあった recorded tapeの中からビゼーのハ長調交響曲 (マリナー指揮 )を見つけた。前回は
Charle Munch, The French National Radio Orchestra第 1、第 2楽章をお聴きいただいたので、今回は
続きの楽章を。 ビゼー 17才の作品です。

1. 交響曲第 1番ハ長調 (1855)
Neville Marriner, The Academy of St. Martin-in-the-Fields TOK 1007  
第 3楽章                                          5:29  
第 4楽章                                          8:43

  テ・デウム・ラウダムス (私達は汝を神を讃えます )《至聖なる三位一体の賛歌》の歌詞は五世
紀の始め頃作られたもので、聖務日課で日曜や祝日の朝課の最後に歌われ、列聖式や戦勝など公
の感謝の歌としても使われてきた。パーセル、ヘンデル、ベルリオーズ、ブルックナー、ヴェル
ディーなどの曲が良く知られている。

  Rodrigues Competition in Parisはローマ賞受賞者に対してのみ応募することを許された宗
教曲の作曲コンクールである。ビゼーは賞金でナポリに行く計画を立てて 1858年二月に作曲を
始めて、五月に完成した。しかし賞はもう一人の応募者 Bartheに与えられた。彼は自分はパリ
の策略の犠牲者(a victim of Paris intrigues)と考えたが、同時に自分はそのような作品を作
曲するに必要な宗教的確信がないということを率直に認めた。ビゼーはラテン語に対する感性が
なく(did not have a feel for Latin)、音楽のアクセントとラテン語のアクセントが対立した。

  また、伝統的なテキストを改編したことを、曲の放逸な感情の流失、厳粛であるべき最後の審判
での恐怖の叫びなどが、審査員には受け入れられなかった。(Bernd Edelmann, Keith Anderson)
失、厳粛であるべき最後の審判での恐怖の叫びなどが、審査員には受け入れられなかった。
(Bernd Edelmann, Keith Anderson)

2. Te Deum (1858)

Jean-Claude Casadesus, Orchestre National de Lille NAXOS 8.572270
Te Deum laudamus(私達はあなたを神を崇めます) 5:08
Tu rex gloriae, Christe(王の栄光よ、キリストよ) 3:41
Te ergo quaesumus (それゆえ、あなたにお願いします) 4:52
Fiat misericordia tua(---担当者未解読---) 4:31

               以 上