リサ・バティアシュヴィリ の 名演 (映像)

AAFC例会資料

2012/03/25

担当 : 霜 鳥  晃
ショスタコーヴィチ  ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 op.77(99)


 本映像は、2009年1月10日 NHKホールで デーヴィッド・ジンマン指揮 NHK交響楽団との共演を収録したもので、同年11月8日 NHK N響アワー で放映された。(約42分)
翌2010年5月の、エサ=ベッカ・サロネン指揮 バイエルン放送交響楽団との共演は、2011年レコード・アカデミー賞協奏曲部門賞を受賞した。(注)
日本公演でも並々ならぬ熱演が印象的でしたので今回採り上げる事にしました。
(注)(CDは2011年2月、EMIよりDGへの移籍第1弾として「時の谺(こだま)」と題し発売された。
エレーヌ・グリモー(p)との共演で、ラフマニノフのヴォーカリーズ等も収録されている)
Lisa  Batiashvili
1979 グルジアの首都トビリシ生まれ。
1991(12y) グルジア動乱(ソ連からの独立運動)により一家でドイツに亡命。
1994(15y)一家でミュンヘンに移住、ミュンヘン音楽大学でアナ・チュマチェンコ等に師事。
1995(16y)シベリウス国際ヴァイオリン・コンクールで2位入賞。
        (1位ペッカ・クーシスト、3位佐藤まどか)
2001(22y)BBCプロムスのコンサートに初出演、「本年最も傑出した存在」と絶賛される。       
2004(25y)初来日(演奏 SibeliusVC)   
2007(28y)ベルリンpo, ニュー・ヨークpoの演奏会にデビュー。再来日(演奏 Beethoven VC)
2009・1(30y)3度目来日(上記)、 2011・12 (33y)4度目来日(演奏 Brahms VC . cond  Dutoit)

ショスタコーヴィチ  ヴァイオリン協奏曲 第1番 について
1948 (43歳)作曲完成したが、「ジダーノフ批判」(2回目の音楽批判)のさなか、
     西欧的形式主義者の烙印を押されたショスタコーヴィチは、発表を控えた。
1951  合唱曲「十の詩」等ソヴィエト的題材のものか、あるいは大衆的な曲に終始 していた。
1953 スターリン死去。その後を受けたマレンコフは文化的に自由な風潮を促した。       
     同  交響曲第10番(op93)発表、上面だけの政治的表題から決別、ソヴィエト楽壇から温かく
     迎えられた。。
1955 オイストラフvn (46y) ムラヴィンスキー指揮 レニングラードpo にて初演。
1956  モスクワの国立音楽出版所からop.99として出版されるが,のち作曲年に合わせop.77に変更。
1957  辻久子vn 上田仁指揮 東京交響楽団で日本初演。

第1楽章 〈ノクターン〉 Moderato イ短調 4分の4拍子 …………………………………… (12:00)
     重苦しく瞑想的な曲調が、山も無く最後まで続く。所謂夜想曲的抒情性は無い。
第2楽章 〈スケルツォ〉 Allegro 変ニ長調 8分の3拍子 中間部から4分の2拍子 ……     (6:30)
     一転して軽快でおどけた曲調から,後半は粗野な行進曲調に。
第3楽章 〈パッサカリア〉 Andante ヘ短調 4分の3拍子  …………………………………  (13:50)
     沈鬱で物哀しい曲調の変奏が続き、消え入るようにして、そのまま長大な(5分)カデンツァ
     に入り、次第に高潮してゆく様は 圧巻。(休みなく第4楽章に移るが、vnソロは冒頭8小節休む)
第4楽章 〈ブルレスク〉Allegro con brio-Prestoイ短調-変ホ長調-イ短調 4分の2拍子……  (4:40)
     ロシア的な踊りのリズムで躍動感にあふれ最高潮に達して終わる。      (TL 37:00)
     (注)「Burlesque」:快活で野性味を帯びた、おどけた性格の曲。 通常は「ふざけ」「茶化し」「パロ     ディ」の意。

     他例:マーラー交響曲第9番第3楽章、R.シュトラウス“ピアノと管弦楽の為の「ブルレスケ
     (おどけ者)」”

( 以 上)