今回は対向型配置によるコーン紙の反作用打消をしたスピーカとバランス伝送・増幅によるアンプを使用したフルバランスシステムを作ってみました。
特徴
スピーカは空気を押し引きして音を出すのが命ですが、その反作用としてコーン紙の駆動源となる磁気回路やフレームが動いてしまいます。デッドマスや重量エンクロ―ジャなどでなるべく動かないようにしますが完全とは言えません。
そこで対向するユニットでアクティブに反作用を打消し、より正確なコーン紙の動きを伝えるという方法がありますが、今回はその方式で作ってみました。
更にアンプも同じように駆動原点のアースが固定しやすいバランス駆動として、各スピーカユニットまでを独立に配線して、ユニット相互の影響も少なくなるようにしています。
仕様
使用ユニット 低域 PARC DCU-F131PP(2ユニット)orDCU-131A
高域 前:SEAS T29MF001 後:DENON? 32DT34
クロス周波数 約3.5kHz(バターワース-48dB/oct)
エンクロ―ジャタイプ 22リットルバスレフ(fs 約50Hz)
駆動 バランス型マルチアンプとデジタルチャンデバによるユニット個別駆動
構造
今回は持ち運びを前提に作ったので、分解可能になっています。構造は下からベース板、ボイド管にカッティングシートを貼ったエンクロ―ジャ、上部のウーファユニット、ツィータユニットの四体からなり、それぞれに分解できます。
ヘッドユニット
ウーファユニットは12mm厚のMDFを接着・組立した物で、端部は反射による干渉を低減するため角を落として塗装しました。
ウーファは底部に真鍮ブロックを挟んで前後を通しボルトで固定、エンクロ―ジャはこのボルトから位置出しをして固定しています。これによりコーン紙の反作用によるウーファの振動の打消しを目論み、エンクロ―ジャへの振動伝搬を低減しています。
ツィータ部も塩ビパイプとMDFバッフルをエンクロ―ジャとして、ウーファ部と同様に通しボルトで底部に固定材を挟んで前後のユニットを固定しました。ウーファ部と合わせてヘッド部1台で約6.5kgになります。
またツィータユニットの取付はウーファユニットからの振動をできるだけ遮断するために緩衝材を挟んで緩めに取付けています。
エンクロージャ
下部のエンクロ―ジャは全体の軽量化を図るため、ボール紙を円形に固着成形したボイド管を使用しました。管の内径は200mm厚みは約5mmです。
内部は補強のためボイド管を切った残りに割を入れ、適宜内部に貼り付けています。また筒共鳴を防ぐよう、吸音材を上から約1/4,1/2,3/4の場所に筒に垂直に詰められる様、10mm径の固定用の筋交いが入っています。重量は約2.5kg/台と軽いです。
特性
インピーダンス特性
エンクロ―ジャの長さが半波長になる筒共振で210Hzあたりに共振が出ていましたが、吸音材を挿入することで抑えられています。
吸音材なし 吸音材あり
各ユニット周波数特性
最終的にはクロスは3.5kHzあたりに変更しています。赤がウーファ、黒がツィータの特性です。