実験工房 「タンノイ215 レベルアップ作戦」

つくし野コミュニティーホール
AAFC特別例会資料
2013/02/17

総括 : 山本 一成

編集 : 堀端 俊雄


 

参加者  佐藤、脇田、鳥居、後藤、倉田、堀端、小川、林、霜鳥、小島、中南、宇多、石井、上条、三田、小笠原、横田、島、森
の各氏と山本 計20名  (順不同、敬称略)          (写真提供 : 佐藤、山本、堀端)

   
 

日  時 : 2013年2月17日(日) 午前9~12時

今回で確か5回目のチャレンジであるが、今まで再三のチャレンジにも関わらず
音質的に満足行くものでは無かった。それに毎回の例会時の装置出し及び接続に手間取ったりLPプレーヤーが不調だったりで、オーディオクラブとしては在るまじき状態であった。
今回これらの問題点を一気に改善させなくてはとの想いで実施した。

脇田副会長及び技術の鳥居さんとの事前の準備は入念に行ったが、鳥居氏には電源ケーブル製作、MCアンプ自作、測定器の持ち込みと多大なご協力を頂いた。感謝の限りである。

以下は音質改善と機器整備の顛末記である。

<第1幕1場>
現状把握ということで、従来接続でまずは視聴。
「まあ、こんなもんだ。風体は大きいが、音にもう少し品格があればな~」
との声が聞こえそうである。

    

<第1幕2場>
早速、作業にとりかかるが、いつも思うことだが我がクラブの面々は大変わきまえていて自分のやるべき役割を認識、分担して直ぐに行動に移してくれる。本当にチームワークが良いと感心させられる。 
最初の作業は接続部分の無い長い(5M以上?)新電源ケーブルの取り替え。
従来のケーブルタップに直接接続。(鳥居氏準備のケーブルに石井、宇多さんが取付作業)(有効ポイント1)
上条氏が、ラックの改善補強。金属L型アングル取り付け。(有効ポイント2)

              
<第1幕3場>
ここで、鳥居さんが持参したオシロスコープで、会場の電源状態を実際に目で確かめる。
ズバリ、電源状態は最悪。サイン波の山がつぶれ、台形上になっているのを全員で確認。
会員の家の電源状態も多かれ少なかれ同様の状態だろうとの鳥居さんの説明に、一同ビックリ不安が募る。「見なければ良かった。悩みが増えた。」との声しきり。(解決策は色々考えられるが、アイソレーションアンプを通す事もその一つ)(貢献ポイント1)

             
<第1幕4場>
SPケーブルを上質の物に交換、バナナプラグを取り付ける。
そのSPケーブルを低音部にパナソニック・ラムザ、高音部にマッキントッシュのアンプ接続。バイアンプ構成とする。(有効ポイント3)
<第1幕5場>
後藤さん、脇田さんお二人による極性チェック、接点回復剤による接点清掃。(有効ポイント4)オーディオマニアとしては、このような細かい作業を疎かにしてはいけないのである。
<第1幕6場>
林さんが中心になって、クラブ所有、不調のLPプレーヤーの調整に入る。鳥居さんが制作したMCアンプ(電池電源)も組み込む。グレードの高いインシュレーターは林さんの太っ腹によるクラブへの寄付となった。(有効ポイント4&貢献ポイント2)

    

<第2幕1場>
愈々緊張の試聴開始。

   
音出し。「うーん、なにか変だなぁ。従来の音のほうが良かったのでは?」との声。
これは由々しき問題!!
会場、一気に寒々とした雰囲気が漂う。主催者としては「こんなはずではないのに。」と冷や汗タラ~リ。そこで、急遽アンプを低音部をマッキントッシュ、高音部をパナソニック・ラムザに切り替える。
そこで脇田副会長の出番、慄える手で恐る恐る高音域サイドを徐々に、慎重に上げてバランスを整えていく。「ウッ! だんだん良くなってきた。うん、これでよい!」なんとか良いポイントを見つけることが出来たようだ。一同一安心。
やはりバイアンプは押し出しが良い。微小表現も再現ができると期待。(有効ポイント5)
<第2幕2場>
ここで、鳥居さんの持参の測定器(ベーリンガーDEQ2496&マイク)でピンクノイズを発信して改善作業を施した音の周波数特性を図る。
「なんと、なんと!全くといっていいほどのフラットな波形だ。」一同ビックリ。こんな見事にフラットな波形を出すのは珍しいのではないか。このつくし野ホールに対して愛着が一層増すというものだ。(貢献ポイント3)
<第3幕1場>
中南さん持参の小型フルレンジスピーカーの視聴。ウッドコーン、バスレス方式、ピアノタッチ仕上げの綺麗な仕上がりである。音質も小型ながら豊かに、高音部もキツくならず会員の評価も高かった。大変コストパフォーマンスの良いスピーカーである。
<第3幕2場>
小島さんの自作アンプ。写真にあるように大型真空管、人工大理石のケースに収まった大型アンプである。小島さんご自身は3Wしか出ないので、我がタンノイモニター215がキチンと鳴るかの心配であったとの弁。ところが意に反して大変心地よい音で鳴ってくれている。ここで、中南さん持参のスピーカに切り替えると、最初に視聴した時よりも特に高音部が滑らかに響いてくれた。次回の小島さんの例会担当日にはこのアンプを存分鳴らしてくださるそうだ。

               
<第3幕3場>
愈々アナログの登場である。不調の我がクラブのLPプレーヤー(パイオニア製)
を林さん中心に調整。念願のMCカートリッジが使用できるように、鳥居さん苦心の自作MCアンプを組み込んで試聴。「なかなか良い!アナログの魅力を感じさせる」音になった。更にクラブ常設の不調だったMMカートリッジを石井さんがルーペとピンセットで修理して見事復活、感謝、感謝である。凄いの一言。
これで会員の皆さんに心配をかけることがなくなった。
次に林さんの「トーレンス製プレーヤー」を効かせて頂く。さすがに安定感のある音である。林さんも次回例会でこのプレーヤーを使用してじっくり聴かせてくれるので楽しみである。

      
<第3幕4場>
最後に大御所、宇多さんの熟練の技が光る自作アンプをご披露頂いた。
その音もバランスの良い音作りでさすがである。時間が押していて詳しい説明を聞くことが出来なかったことは残念で、大変申し訳ない事であった。

<終幕>
どの方の音もそれぞれ嫌味のない端正な良い音づくりで、会員の力量は素晴らしいとつくづく感じせざるを得なかった。
参加者全員からも我がスピーカー「タンノイ215」がレベルアップを成し遂げとの評価を得る事が出来、企画者側としては嬉しい限りであった。

以  上