日本では、有名な芸術「歌曲」の陰に隠れて意外に知られていないドイツ民謡を、LPから拾いました。
CDにはいいものがなく、これといった新しい録音も見当たらないため、1970年―80年代に発売されたドイツの盤から、北ドイツ出身のシンガーソング・ライターの夫婦デュオ、Pat &Paul のドイツ民謡集から14曲(一曲は楽団演奏のみ)、最後に”Lorelay”をベルリン教員歌の会の合唱で聴きました。
Horch,was kommt von draussen rein, Du, du liegst mir Herzen, Muss i denn などです。
ドイツは中央集権国家の形成が遅れる中で、地方諸侯の宮廷ではイタリア、フランスの音楽を真似した古典、バロック音楽が長い間主流となっていました。
18世紀後半から19世紀初頭にかけて「真にドイツ的なもの」を求める動きが起き、突然、民謡が見直されました。
民謡集や学生歌集などが相次いで出され、庶民の歌が広まりました。放浪、舞踊、恋、故郷の自然などが主なテーマですが、あまり深刻なものはありません。
当時のドイツでは、国家(Nation)より民族(Volk)への思いが強く(後のナチの思想にも引き継がれていく)、歌にもそれが現れています。
P&Pの歌は、メドレー形式で、若干聴きにくかったと思われますが、終わりに「ローレライ」を採り上げて、私のドイツでの経験なども説明、その魅力を紹介させて頂きました。
音源 :”Jubel & Tanz beim Kronenwirt"(Pat &Paul und die lustigen
Musikanten)
―Telefunken TS3264/1-2、1974)
”Deutschland im Volkslied”(Der
Berliner Lehrer-Gesangverein)
―Philips 9198 188/9、1971)
以上
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