1968年に誕生したビートルズの名曲「ヘイ・ジュード 」。 同じ年チェコスロヴァキアでの民主化運動「プラハの春」がソ連軍の侵攻によって絶たれてしまった。
チェコの歌手マルタ・クビショヴァは、この名曲に祖国への思いを込めた歌詞をつけ、ソ連
への抵抗を歌った。 そのため彼女は、政府の弾圧を受け極貧の生活に陥るが、ベルリンの壁の崩壊後、1989年の無血革命の時、この歌は革命のシンボルとして甦った。
チェコ版『ヘイ・ジュード』の秘められた知られざる物語を探ります。
・・・マルタ・クビショヴァ・・・
マルタ・クビショヴァ(1942年チェスケ・ブジョエヴィッツェ生まれ) は1968年頃、若手のポピュラー歌手として活躍しており、共産主義体制の下で民主化を進めていたドプチェク第一書記も彼女のファンであった。 共産主義の圧政により離婚、再婚を経験しながら民主化に向けて地下活動も行った。 1968年ビートルズが 「ヘイ・ジュード」を発表、これに全く違った歌詞によるカヴァー曲を歌って人気を博した。 ( 下記の訳詞をご参照下さい )
● ● マルタ・クビショヴァがカヴァーした「ヘイ・ジュード」の歌詞 ● ●
ねぇ ジュード 涙があなたをどう変えたの
目がヒリヒリ 涙があなたを冷えさせる
私があなたに贈れるものは少ないけど
あなたは私たちに歌ってくれる
いつもあなたと共にある歌を
ねぇ ジュード
甘いささやきは 一瞬心地いいけど
それだけじゃないのね
「韻」の終わりがある すべての歌の裏には「陰」があって
私たちに教えてくれる
人生はすばらしい 人生は残酷
でもジュード 自分の人生を信じなさい
人生は私たちに 傷と痛みを与え
時として傷口に塩をすりこみ 杖がおれるほどたたく
人生は私たちをあやつるけど悲しまないで
ジュード あなたには歌がある
みんながそれを歌うと あなたの目が輝く
そしてあなたが静かに 口ずさむだけで
すべての聴衆はあなたにひきつけられる
あなたはこっちへ 私は向こうへ歩き出す でもジュード あなたと遠くはなれても
心は あなたのそばに行ける
今 私はなす事もなくあなたの歌を聴く自分を恥じている
神様私を裁いてください
私は あなたのように歌う勇気がない
ジュード あなたは知っている
口がヒリヒリ 石をかむようつらさを
あなたの口から きれいに聞こえてくる歌は
不幸の裏にある「真実」を教えてくれる
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▼ 参考までにビートルズの訳詞をCD(TOCP-71056・57)の解説文より転載します ▼
なあジュード、悪くとるんじゃない
悲しい歌だってもっとマシにできる
あの娘を自分の心の中に受け入れることだ
そうすればいい方向に踏み出していける
なあジュード、怖がるんじゃない
出ていってあの娘をものにするのがおまえの定めなんだ
あの娘の心をしっかりつかんだとたん
いい方向に踏み出していけるようになる
苦しいときはいつもいいかジュード、堪えるんだ
世界をひとりで背負いこもうとするな
おまえもよくわかっているだろう クールにやるやつは馬鹿だ
そうやって自分の世界を少しづつ冷たくしている
なあジュード、がっかりしないでくれ
あの娘を見つけたんだろう、さっさとものにしてこいよ
あの娘を自分の心の中に受け入れることだ
そうすればいい方向に踏み出していける
だからこころの中を見せて、何でも受け入れろ
さあジュード、はじめるんだ
おまえは一緒に演ってくれる相手を待ってるんだろう
わからないのかい、それはおまえ自身なんだ
そうさジュード、おまえひとりでじゅうぶん
おまえのやるべきことは、おまえの肩に乗っかってる なあジュード、悪くとるんじゃない
悲しい歌だってもっとマシにできる
あの娘の心をしっかりつかむことだ
そうすればいい方向に踏み出していける・・・・・
※ 北山 修 氏(作詞家、精神科医)とアナウンサーとの対話及び語り手ロバート・ハリス氏と森 雪之丞 氏(作詞家、詩人)との対話の部分は時間の都合によりカットしてあります。
※ 上記の解説・プロフィール・訳詞などは、本映像の解説、CDの解説、Wikipediaなどより抜粋転載
以上
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