退職後、秋葉原のオーディオ店で真空管アンプ修理のアルバイトをしました。
期間は10年、計496台修理しました。マランツ、マッキントッシュのビンテージアンプが主ですが、他にクオード、ランジバン、アルテック、WE、クラングフィルム、デッカデコラなどがありました。
マランツ7(95台)、同9(59台)、同8(42台)、同5(33台)、マッキントッシュMC-275(24台)、同MC-30(23台)、同C-22(23台)、クオードⅡ(14台)、同22(5台)、WE91(3台)などが印象に残っている機械です。
以下はその店の修理方法です
[Ⅰ] 修理理念(基本方針)
・工場で製造され、出荷された時の状態に戻す(改造、改良はしない)。(下記1)
・何処に手を入れたか分からない様に修理するのが理想。
1.作られた時の状態に修復する(復元する)
伝統技術、工法、材料を受け継ぐ(日光東照宮の昭和の大修理など)
修理 2.現在の状態に修復する
伝統技術、素材を受け継ぐ
(油絵、日本画など美術品の修復、スペインでのキリストのフレスコ画の修復など)
3.改修、改築
外観やイメージを継承しながら最先端の技術を以って改修する
(東京駅、歌舞伎座の改築など)
[Ⅱ] 修理手順
・健康診断方式(cf.対症療法)
1. 全部品を検査し、不良品を交換する、指定外の部品は良品でも交換する
(良品)
抵抗:誤差±10%以内(特に指定のないもの)
チューブラコンデンサー:絶縁1000MΩ以上
電解コンデンサー:容量誤差±50%以内、交流抵抗1Ω以内
整流器(セレン):整流電圧誤差 回路図の±10%以内、整流波形がきれいな物
真空管:動作電圧誤差 回路図の±10%以内
2. 不良部品交換後、B電源の波形を確認し、回路図上の各電極の電圧誤差が±10%以内であることを確認
3. シャーシー内外の清掃(掃除機、洗剤水洗い、アルコール、シンナー等使用)
4. 検査、音出し
[Ⅲ] その他
1. 半田付けについて
半田は絡めてある線が見て分かる位に。多過ぎても、少な過ぎても駄目。
2. リード線、配線のラグ端子への付け方
① 絡め型 マランツ、WE マッキントッシュ
② 引掛け型 クオード
③差し込み型 クラングフィルム
3. マランツは民生用 ACバランス、DCバランスあり
マッキントッシュは業務用 ACバランス、DCバランスなし
[Ⅳ] 道具、消耗品について ――特に良いと思った物―――
半田鏝:Weller 半田:Kester ピンセット:FONTAX
本日の演奏
OBOE SONATAS BETWEEN 1700-1750 ACCENT ACC7804