歌劇『タヒチ島の騒動』

AAFC例会資料

2014/05/04

担当 : 清水 俊一

 

歌劇『タヒチ島の騒動』

 ダイナ:ナンシー・ウィリアムズ
 サム:ジュリアン・パトリック
 三人組:アントニア・バトラー、マイケル・クラーク、マーク・ブラウン

 作曲・台本・指揮:レナード・バーンスタイン (Leonard Bernstein, 1918年8月25日 - 1990年10月14日)
 演奏:コロンビア・ウィンド・アンサンブル
 録音:1973年、ロンドン[スタジオ収録]
 収録時間:45分


内容紹介

 バーンスタインが自ら「ライト・オペラ」と名づけた《タヒチ島の騒動》は、2人の独唱と トリオ・コーラス、少編成のアンサンブルによる室内オペラの一種である。
  バーンスタインが34歳の年、1952年に完成初演された、比較的早い時期の作品だ。バーンスタインは音楽だけでなくワーグナー式に台本も自分で書いた。

 登場するのは,作曲当時のアメリカの都市郊外に暮らす結婚10年目の若い夫婦だ。同時代のハリウッド映画やテレビのホームドラマに繰り返し描かれ、昭和半ばの日本人達の憧憬と羨望の的となった物に満ちあふれた家庭環境を二人は生きている。

 しかし二人の生活と心境は、ホームドラマのような幸福と円満からは程遠く、空虚でさびしいものである。互いの心はすれ違い、「かすがい」となるべき子供も放っておかれる。夫婦はどちらもこの苦境を終わらせ、「愛が安らぎと慈悲の心を教えてくれる、静かな場所」を取り戻そうと願っているが、その願いは自分本位で相手への思いやりを欠いているために、結局かなえられることはない。

 バーンスタインは、ミュージカル《ワンダフル・タウン》や 《オン・ザ・タウン》ではハリウッド&ブロードウェイ風の愉しい夢物語を描きつつ、このようなシリアスな作品では、一転してアメリカの物質文明のもたらす「心の砂漠」を示さずにはいられなかった。
  こうした両面性が絶妙のバランスで両立したのが傑作《ウエストサイド物語》*であるわけだが、この《タヒチ島の騒動》の音楽のあちこちが、後年の《ウエストサイド物語》を想起させるものになっているのは、じつに象徴的である。
(山崎浩太郎ライナーノートより抜粋)
                     *作曲1957年、映画公開1961年

 

おまけ

ポール・デュカス(Paul Abraham Dukas 、1865年10月1日 - 1935年5月17日)
バレエ曲「ペリ」へのファンファーレ(金管楽器のみの編成、1912年作曲)   1分50秒
  ヘスス・ロペス=コボス指揮 シンシナティ交響楽団   TLARC CD-80515-SA(SACD)

レナード・バーンスタイン マリア~ウェスト・サイド・ストーリーから    3分40秒
  ベルリン・フィル 12人のチェリスト達         WARNER WPCS-21042

エクトル・ベルリオーズ(Louis Hector Berlioz, 1803年12月11日 - 1869年3月8日)
  『ハンガリー行進曲』                          4分34秒
劇的物語『ファウストの劫罰』 Op.24 (1845年-1846年)       
青年期に作曲された『ファウストからの8つの情景』を基にして1845年から1846年にかけて作曲された大規模な作品。

シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団    LONDON POCL-1682/3

 

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