■ ソリストとしての巌本真理 ■
1966年に結成された「巌本真理弦楽四重奏団」は、1979年の4月12日、第94回東京定期演奏会を最後に、同年5月11日巌本真理死去に伴い、6月12日に解散しました。すでに35年が経過しておりますが、戦後の日本における音楽文化の基礎作りには計り知れない業績を残したと評して差し支えないと思います。
弦楽四重奏団の長としてその名を残した巌本真理は、もともとは、1938年12歳にして、第6回音楽コンクール優勝を果たしており、当時、天才少女ヴァイオリニストとして華々しいスタートを切り、1946年には東京音楽学校(現芸大)の教授に任ぜられております。
さて、今日は、「弦楽四重奏団」における巌本真理の演奏ではなく、ソロ演奏をお聴きいただきます。私の不勉強で、生前、巌本真理がどれだけソロアルバムを出したかわからないのですが、もともと巌本真理自身ソロ演奏は好きではなかったこともあり、多くは出ていないと思います。
今日お聴きいただく小品集は、私の記憶に誤りがなければ、もともと東芝から発売された2枚組みレコード「ヴァイオリン小品集」。1枚は鷲見五郎氏のピアノ伴奏、もう1枚がこの坪田昭三氏のピアノ伴奏による演奏です。(録音は昭和38年モノラル)
私はアナログレコード時代に、この極めて個性的な演奏が好きで、よく聴いておりました。その後CDとして東芝EMIが、坪田昭三による伴奏の方を復刻し、たぶん現在巌本真理のソロが聞けるのはCDではこれだけだろうと思います。
<使用CD>
東芝EMI 巌本真理「ヴァイオリン小品集」CZ30-9040
1.アヴェ・マリア(グノー)
2.子守唄(シューベルト)
3.天使のセレナーデ(ブラーガ)
4.インドの歌(リムスキー・コルサコフ)
5.ワルツOP39(ブラームス)
6.インディアン・ラメント(ドヴォルザーク)
7.愛の喜び(マルチィーニ)
8.悲歌(マスネー)
9.愛の夢(リスト)
10.愛の翼に(メンデルスゾーン)
11.オルフェウスのメロディ(グルック)
12.ジョスランの子守唄(ゴダール)
13.ロザムンデより(シューベルト)
14エストレリータ(ポンセ)
15.ニーナ(ペルゴレージ)
16.メヌエット(モーツァルト)
17.セレナーデ(ドルドラ)
18.ゴバック(ムソルグスキー)
<オーディオ実験>
なお、例会発表に先立ち、電源ケーブルと、スピーカーケーブルにファインメットコアノイズフィルターの装着効果を検証するため、比較実験を行いました。
このフィルターはコモンモードノイズを除去する目的で、今回、広島のサウンドデン社開発の製品を使用しての実験でした。
比較試聴の結果、フィルターを装着することで、聴感上のS/N比が向上し、楽器の音の伸びが良くなり、より音楽がリアルになったとの複数の感想をいただきました。