私のルーツ、吹奏楽

AAFC例会資料

2014/08/24

担当 : 山崎 光明

 

私は高校入学と同時に吹奏楽部に入部しました。
そのため私の音楽演奏のルーツは吹奏楽にあり、音楽を聴くことにも大きな影響を与えています。
日本において吹奏楽は、おそらく音楽の演奏者人口という点において、他のジャンルとは比較にならないくらい圧倒的に多いと思われます。
中学校や高等学校には必ずと言っていいほど吹奏楽部がありますし、市民吹奏楽団も多数存在します。
演奏会も数多く行われています。

そして何より日本の吹奏楽のレベルは世界のトップクラスであることは間違いありません。
こんなに盛んな吹奏楽なのに、CD等の録音を聴くということになるとマイナーなジャンルになってしまいます。
CDショップ等でもクラシックコーナーの片隅に少し扱われているだけ、という感じです。
(最近はだいぶ扱われる量が増えてきているとは思います)

たまには吹奏楽を聴いてみましょう。
吹奏楽で演奏される曲には大きく分けて、吹奏楽のために書かれた吹奏楽のための曲、クラシックのアレンジもの、ジャズやポップスの曲をアレンジしたものがあります。
今回はその中の吹奏楽のために書かれた吹奏楽のための曲を聴いてみたいと思います。
日本の吹奏楽界最大のイベントである全日本吹奏楽コンクールの課題曲にもいい曲がたくさんありますので聴いていただきたいと思います。


アルメニアンダンス パート1(アルフレッド・リード)
(平川忠一郎 指揮、千葉県立柏高等学校吹奏楽部)

吹奏楽界の大作曲家であるアルフレッド・リードによる1972年の作品。
アルメニアの比較音楽学者であるコミタス・ヴァルダペットの収集したアルメニアの民謡を素材として作曲された。特にパート1は、変化に富んだ曲想が好まれ長く定着しており、日本においては作曲から40年以上経った現在も人気がある。
5曲のアルメニア民謡のメドレーのような形式で、これ自体が1つの組曲のような構成になっている。
名演奏がたくさん録音されている曲ですが、今回はあえて私の母校の吹奏楽部による演奏を聴いていただきます。

Tzirani Tzar『杏の木』(mm. 1–29)
原曲は3つの旋律からなる曲で、1904年にコミタスの手によって合唱用に編曲・出版された。
作品の冒頭を飾る曲であり、金管楽器によるファンファーレと木管楽器による走句によって始まる。この堂々たるファンファーレは原曲の歌いだしをそのまま用いており、躍動的なメロディーと装飾的な動機が表情豊かな歌を作りあげる。
最後にオーボエ、クラリネット、ファゴット、テナーサックスで速い動きがあり、やがてオーボエの旋律へと受け継がれていく。

Gakavi Yerk『ヤマウズラの歌』(mm. 30–68)
原曲はコミタス自身が作曲したオリジナル曲で、1908年に出版されている。
ヤマウズラが歩きまわる様子を表しており、クラリネットやオーボエ、フルートでかわいらしく演奏した後、コルネットのソロとなる。何回かクラリネットとオーボエのソロになった後、金管楽器が加わり、最後のホルンのソロとなり静かに曲が閉じる。

Hoy, Nazan Eem『おーい、僕のナザン』(mm. 69–185)
原曲はある若者がナザンという名の恋人のために歌う様子を描いたもので、1908年にコミタスが合唱用に編曲し、出版された。
原曲の拍子は8分の6拍子であったが、作曲者のアイデアにより8分の5拍子に変更されている。
最初はパーカッションがリズムを刻み、アルトサックスがソロを吹き、オーボエのソロへとつながる。その後クラリネットが旋律を吹き、金管楽器が元気よく入る。最後にはクラリネット、フルート、ファゴットが追いかけるように吹き、最後にホルン、トロンボーンが静かに吹いて低音が一発静かに入る。

Alagyaz 『アラギャズ山』(mm. 186–223)
原曲はアルメニアにあるアラギャズ(アラガツ)山(Mount Aragats)を歌った雄大な民謡である。前後の活発な音楽と好対照を成している。
トランペットやユーフォニアムが旋律を最初に演奏し、後に木管楽器が旋律を引き継いで、クラリネットがこの部分の曲を閉じる。

Gna, Gna『行け、行け』(mm. 224–422)
4分の2拍子の楽しさに満ちた音楽である。
全員がドスを入れるように吹き、クラリネットが速いパッセージを吹き、アルトサックスとオーボエが陽気な旋律を吹く。続いて、クラリネットが陽気な旋律を吹く。
中間部では1stクラリネットやフルートが難しいリズムを吹き、全員で陽気な音楽を作り出す。この部分の冒頭で吹いた旋律をアルトサックスに代わってコルネットが吹き、最後には木管楽器やホルンのグリッサンドと金管楽器と低音楽器の8分音符で曲が終わる。


吹奏楽のための第一組曲(グスターヴ・ホルスト)
(フレデリック・フェネル 指揮、クリーヴランド管弦楽団管楽セクション)

ホルストは吹奏楽曲を複数残しているが、その中でも初期の作品である。
フレデリック・フェネルは「この作品における楽器法は、バンド編成を念頭に考え抜かれている」「もしこのスコアを真に理解したならば、それは音楽と指揮というものすべてを理解したのと同じだ」と述べており、吹奏楽の分野における古典的な演奏会用作品としてきわめて重要な位置を占める。
第二組曲との二曲を揃えた世界初録音は、フェネルとイーストマン・ウィンド・アンサンブルによって1955年に行われている。
1909年に作曲されたとされるが、作曲の事情や目的ははっきりしていない。
今回はそのフェネルがクリーヴランド管弦楽団管楽セクションを指揮した定番中の定番と言える演奏を聴いていただきます。

曲の構成
全3楽章。各楽章のすべての主題は第1楽章の冒頭動機(二度-五度)から派生したものであり、一種の循環形式で作られている。また対位法の技術も活用され、全体に緊密に書かれている。
第1楽章にバロック時代の形式が用いられているのは、この時期ホルストがヘンリー・パーセルの作品の研究を行っていたこととの関連が指摘されている。
第1楽章 シャコンヌ
Allegro moderato 変ホ長調 3/4拍子 変奏曲形式
第2楽章 インテルメッツォ
Vivace ハ短調 - ハ長調 2/4拍子 - 4/4拍子 - 2/4拍子 - 4/4拍子 三部形式
第3楽章 マーチ
Tempo di Marcia 変ホ長調 - 変イ長調 - 変ホ長調 2/2拍子 三部形式
ホルストはスコアの冒頭に「各楽章は同一のフレーズで構成されているため、この組曲は休みなしに通して演奏されることを望む」と記している。


ディオニソスの祭り(フローラン・シュミット)
(加養浩幸 指揮、千葉県千葉市立土気中学校吹奏楽部)

フランスの作曲家フローラン・シュミットが1913年にギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のために作曲した吹奏楽曲。
大人数の編成で織り成す壮大なスケール感は圧巻で、吹奏楽オリジナルの最高傑作の一つとされる。
「ディオニソスの祭」はかつて銚子商業高校が名演を聴かせた難曲中の難曲、それを中学生が演奏することなんて日本中の誰も考え付かなかっただろう。
それを成し遂げたのが千葉県の土気中学校。1984年、吹奏楽コンクールの全国大会に初出場でこの曲を演奏し金賞受賞の快挙を果たしました。
今回は1992年に全国大会5年連続金賞受賞達成による招待演奏をお聴きいただきます。


風紋(保科 洋)
(佐渡裕 指揮、シエナ・ウィンド・オーケストラ)

日本の吹奏楽といえば、全日本吹奏楽コンクール。そのコンクールでは毎年コンクールのために作曲された課題曲と各団体が選んだ自由曲の2曲を演奏することとなっている。
課題曲には数多くの名曲がありますが、その中でも人気のあるのが1987年の課題曲である「風紋」です。


ディスコ・キッド(東海林 修)
(佐渡裕 指揮、シエナ・ウィンド・オーケストラ)

1977年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲です。この曲も大変人気のある曲です。作曲者の東海林修はポップス界、歌謡界のベテラン作編曲家です。
この曲を母校の高校の吹奏楽部が新入生歓迎コンサートで演奏していなければ、私は入部していなかっただろうという思い入れのある曲です。
今回お聴きいただくシエナ・ウィンド・オーケストラのライブ演奏は、いくつかのアドリブ・ソロが追加されています。

 以 上

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