・L.V.ベートーヴェン(1770-1828)の9番目にして最後の「交響曲第9番ニ短調(合唱付)作品125」の事。第4楽章(終楽章)にF.V.シラー(1759-1805)の詩にもとずく独唱、合唱を持ち込んだ斬新さが特徴。
・完成は1825年、初演は同年5月ウィーンのケルントナートーア劇場にてウムラウフ及びベートーヴェンの指揮で行われ聴衆の喝采を博したものの経済的には所期の目的を達せられず作曲者を落胆させた。
・その後、メンデルスゾーン、リスト、ワーグナー、ビューロー等の当時の指導的な指揮者によって演奏され、20世紀に入ってワインガルトナー、トスカニーニ、フルトヴェングラー等の名指揮者によって演奏・録音され人気曲となった。
・そしてこの曲は単なる一楽曲に止まらず、作曲者の深遠な後期の様式とシラーの詩のロマン性もあって、それ以上の役割を担わせられるようになり(歴史上の大事件、独裁者等の記念曲、劇場、音楽ホールの新築・債権の杮落とし、各種音楽祭、オリンピックの冒頭など)
で盛んに演奏されている。
・2001年にはベルリン国立図書館が所蔵する「第九」の楽譜がユネスコの世界遺産「世界の記録」部門に指定された。