京鹿子娘道成寺

(きょうかのこむすめどうじょうじ)

AAFC例会資料

2015/01/11

担当 : 高橋 敏郎

 

 この歌舞伎舞踊は 当代最高の人気を誇る役者坂東玉三郎によって演じられた女形舞踊の最高峰とされる大曲「娘道成寺」を初DVD化したものです。存分にお楽しみ下さい。

 

あらすじ

 かって鐘のなかに隠れた恋しい安珍を、蛇となって鐘もろとも焼き尽くした清姫の伝承に材をとった能「道成寺」を歌舞伎風に舞踊化した歌舞伎舞踊の中でも最も人気のある所作事。
紀州、道成寺の鐘が再興された供養の場に 振り袖姿の白拍子花子が現れる(道行きーこの部分は義太夫伴奏)。
この寺、女人禁制のため一旦は断られるが、鐘供養法要のためという口実で花子は入庭を許される。
所化たちの望みで金烏帽子を被り扇子をもった能がかりの荘重な舞から始まり、やがて気分をかえて町娘風な手踊り、落花を集めて鞠唄へ、少しずつ色っぽくくだけ・・・
このあたりからがヤマで 男に対する恨みつらみ・・・花笠の美しい振り(花笠踊り)・・手拭いを使ったクドキの「恋の手習い」(手拭踊り)、鞨鼓、鈴太鼓を使った踊り、と次々と見せ場が続き、最後に突然落下する釣り鐘に入った花子(鐘入り)が蛇の姿に変身し(蛇体)鐘に巻き付いて大団円となる。

 

みどころ

 上記に観てきたように各種各様 華麗な様式の舞踊が次々と現れる舞踊組曲的面白さとともに 本所作事は日本舞踊の中でも多彩な衣装の変化でも群を抜いており、節付け、引き抜き、ぶっかえり などの操作で次々と素早く取替えられる絢爛たる衣装にうっとりするのも良いのではなかろうか。

 

初演 

宝暦3年(1753)3月  江戸・中村座   創演 初代中村富十郎
藤本斗文(とぶん)作詞  杵屋弥三郎 作曲(歌舞伎舞踊における長唄の名曲といわれる)

本映像の関連データ

振付  藤間 勘十郎
花子  坂東 玉三郎
浄瑠璃 竹本連中
長唄  長唄囃子連中
制作  松竹
日本語解説  葛西聖司
収録  平成6年(1994) 12月  東京歌舞伎座にて 
収録時間  70分

 

 以 上

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