今年AAFCでは柏市立柏高等学校吹奏楽部のOBバンドである「BELL'Z(ベルツ)」のコンサートを開催します。今回はそのメンバーがかつて活動していた高等学校の吹奏楽部の演奏を聴いてみたいと思います。毎年行われる全日本吹奏楽コンクール全国大会の演奏を聴いていただきたいと思います。
柏市立柏高等学校吹奏楽部(指揮:石田修一)
3つの交響的素描「海」より「風と海との対話」(ドビュッシー 編曲:八田泰一)
全国大会への出場は1984年が初出場で、いきなり金賞を受賞しています。
1985年は銀賞、1986年は全国大会出場を逃し、1987年は銀賞。この演奏はその翌年の1988年に金賞を受賞したものです。1989年も全国大会出場を逃しましたが、その翌年1990年からは規定の3年連続出場の翌年で出られない年以外は今まで連続で出場し続けています。
(CD:日本の吹奏楽20年の歩み 高等学校編Ⅱ ソニーレコード SRCR8600)
習志野市立習志野高等学校吹奏楽部(指揮:新妻寛)
「交響三章」より 第三楽章(三善 晃 編曲:天野正道)
バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲より パントマイム、全員の踊り(ラヴェル 編曲:R.ブードリー)
全国大会への出場は1981年が初出場で、いきなり金賞を受賞しています。
1985年から1989年の5年連続全国大会金賞受賞を達成しています。
今回紹介する「交響三章」はそのいわゆる5金を達成した気合の入った演奏です。
1981年から規定で出場できない年以外は連続で出場し続けています。
(DVD:習志野市立習志野高等学校吹奏楽部 コンクール名演集1981~2010 ブレーンBOD-3111)
大阪府立淀川工業高等学校吹奏楽部(指揮:丸谷明夫)
大阪俗謡による幻想曲(大栗 裕)
朝比奈隆がベルリンフィルを指揮した際に演奏した曲として有名です。自筆のスコアはベルリンフィルのライブラリに献呈されています。作曲者自身による管弦楽版と吹奏楽版があります。
今回紹介する演奏の淀川工業高校吹奏楽部(現:淀川工科高校吹奏楽部)は吹奏楽界では最も有名なアマチュアの団体と言えます。(通称:淀工)
1974年に全国大会初出場、初めての金賞が翌1975年。現在のように当たり前のように金賞を獲るようになったのは1980年以降です。
1980年から1983年まで4年連続金賞を獲得。今年金賞になれば5年連続で翌年は招待特別演奏となる1984年は銀賞で涙を呑みました。
1985年からまた金賞を獲得し続け、1989年いよいよ5年連続金賞受賞なるかという年に地元の大阪のメロディーをモチーフにしたこの曲をぶつけて、気迫あふれる演奏で見事5年連続金賞受賞を成し遂げました。その後、淀工と言えば大阪俗謡と言うくらいにたびたびこの曲を演奏していますが、この時の演奏が一番いいと言う人が多い演奏です。
1992年にアメリカ遠征のため出場辞退したのと規定で出場できない年以外は1974年以降全国大会に出場し続けている怪物吹奏楽部と言える団体です。
(CD:淀工吹奏楽部青春の軌跡'85~'90 ブレーンBOCD-9106)
埼玉栄高等学校(指揮:大滝 実)
…そしてどこにも山の姿はない(シュワントナー)
1985年に全国大会初出場。1986年、1987年と金賞を獲得。
1988年は全国大会出場を逃しますが、1989年、1990年とまた連続金賞で1991年にこの曲にて3年連続金賞を獲得しています。1993年以降規定で出場できなかった年以外は連続で出場しています。
この曲は吹奏楽の曲というわけではないのですが、編成が吹奏楽で使用される楽器で構成されているため吹奏楽団が演奏可能となっています。
当時ほとんど誰も知らない曲でしかもグラスハープまで登場して「この曲、何?」という状態の中、完璧と言える演奏で聴衆の度肝を抜きました。CDでもその雰囲気が十分感じられます。
(CD:日本の吹奏楽’91 優秀団体編 ソニーレコード SRCR8703)
福岡工業大学附属高等学校吹奏楽団(指揮:鈴木孝佳)
バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より 戦いの踊り、ベルキスと暁の踊り、狂宴の踊り(レスピーギ 編曲:小長谷宗一)
クラシックの世界ではあまり有名ではないけど、吹奏楽では「超」が付くくらい有名な曲がけっこうあります。
グラズノフのバレエ音楽「四季」、イベールの交響組曲「寄港地」、そして今回紹介するレスピーギの「シバの女王ベルキス」などがそんな曲です。
レスピーギと言えば「ローマ三部作」で、それ以外の作品はほとんど知られていませんでした。1988年までは吹奏楽界でもほとんど誰も知らない曲でした。1988年の全日本吹奏楽コンクールにて東北学院大学が演奏した時は、「レスピーギにこんな曲あるんだ」という状態でした。
1985年にシャンドスからジェフリー・サイモン指揮、フィルハーモニア管弦楽団が演奏するCDが発売されて吹奏楽に編曲され演奏されるという流れになったのだと思います。
それ以降、特に1990年代に大ブームとなり「またベルキスかぁ」と思ってしまうくらい多く演奏されました。そのブームの火付け役の一つとなったのが1989年の全日本吹奏楽コンクールの全国大会にて金賞を受賞した福岡工大附属高校吹奏楽団(現:福岡工業大学附属城東高等学校)の演奏と言えるでしょう。
とにかく金管楽器が気持ちいいくらいに派手によく鳴る演奏で思わず聴き入ってしまいます。「自分たちもこんな演奏をしてみたい」と感じさせるもので、多くの人にそう感じさせブームにつながったのだと思います。
(CD:日本の吹奏楽’89 VOL.6 高等学校編 ソニーレコード CSCL1076)