第二次世界大戦以降、すっかり生活スタイルが西洋化し、建築・衣装・音楽・食文化は日本古来のものが、なぜか軽んじられてしまったようです。
私は激動の70年を運良く生きて来ました。これからまだどのように変わるのか、意識がある限り面白く見ていたいと思いますが、憂慮する事は情報があふれ、世界の様々な楽器や楽曲が手軽に体験したり聞くことが出来るため、逆に日本の伝統楽器の奏者が少なくなってきたということです。
私の習っている一絃琴という楽器も絶滅危惧楽器といわれています。譜面の歌詞は変体仮名表記。平仮名ルビを付ける作業をしないと、私には読めないし、イントネーションも違っていたりして、上手く語れなく呂律(ロレツ)が回らないときもありました。
ロレツ、この意味は中国から渡ってきた雅楽の用語「りょりつ」が由来です。言葉の調子・音階が合わない。呂音階と律音階が合わないから来ています。
昔中学で音楽の時間に出てきた日本の音階としての言葉。和楽器の譜面は、楽器によってそれぞれ音階や表記が違うので詳しく説明できませんが、五線譜ではなく、素人には判別不能の譜面もあります。
口伝を何とか表記しようとした結果でしょうか。舞いや合奏の時は、阿吽の呼吸が物を言います。阿・吽です。
よって、和楽器の集団演奏では指揮者がいなくても、ほとんどが揃います。呼吸を合わせ、間を読む。
これは 日本人のもつ感性が、自由でいながら協調性に富んでいるということだと思います。
最初に聴いていただくのは、日本音楽集団によるモーリス・ラベルのボレロです。私の大好きな曲の一つで、以前ダンス曲をテーマに発表したときも聴いていただきました。今回は和楽器です。
1 「ボレロ」 15分 モーリス・ラベル 演奏者 日本音楽集団 レーベル: キングレコード
日本音楽集団は1964年に発足した団体です。 それまでの伝統的な邦楽の一線を越え、現代のスピード感・力強さをバネに、誰にでも楽しめる新しい邦楽のあり方を求めた一群ということです。編曲は池辺晋一郎氏。ほぼ原曲に近くアレンジされています。
2 「ボレロ」 6分 モーリス・ラベル 演奏者 AUN J クラシック オーケストラ
以下 演奏者は同じ 編曲 石垣 秀基
3 「トルコ行進曲」 5,30分 アマディウス・モーツアルト 編曲 山野 安珠美
4 「ラプソディー・イン・ブルー」 6,30分 ジョージ・ガーシュイン 編曲 石垣 秀基
5 「悲愴」 6,30分 ルートビイヒ・ヴァン・ベートーベン 編曲 市川 慎
6 「新世界より」 5,20分 アントニン・ドボルザーク 編曲 尾上 秀樹
使用楽器:尺八・篠笛・箏・17絃箏・中棹三味線・太棹三味線・和太鼓・締太鼓・鳴り物
CD 「Octet」より 8人の和楽器奏者 でした。
伝統とは作られるもの、それは現在進行形です。時代と共に歩み、受け入れらてこそ、未来に繋がる伝統になるのだとおもいます。