コントラバス協奏曲チェンバロ協奏曲

AAFC例会資料

2017/07/09

担当 : 森 繁治

 

カール・ディタース・フォン・ディタースドルフ作曲
コントラバス協奏曲 ホ長調             17:30
ルードヴィッヒ・ストライヒャー(コントラバス)
テオドール・グルシュバウアー指揮 ウィーン・バロックアンサンブル
LP amdeo AVRS 5064 録音1970年頃

 

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ作曲
チェンバロ協奏曲 ニ短調 Wq23          22:00
グスタフ・レオンハルト(チェンバロ) 
コレギュウム・アウレム合奏団
LP harmonia mundi ELECTROLA 1C065-99828  録音1969年

 

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カール・ディタース・フオン・ディタースドルフ(1739~1799)オーストリア
コントラバス協奏曲 変ホ長調        

 作曲家のディタースドルフはハイドン、モーツァルトと同時代の人でウィーン生まれの作曲家、父はウィーンの宮廷劇場の衣装デザイナーでしたが、息子カールは音楽が好きだったため父は宮廷音楽家に音楽教育を依頼し宮廷音楽家と成ります。

 1765年(26歳)にミヒャエル・ハイドン(ハイドンの5歳下の弟)の後を継ぎハンガリー宮廷の楽長を務め、次にオーストリア宮廷の楽長に成り女帝マリア・テレジアに気に入られて33歳で貴族に列せられ男爵と成っています。35曲のオペラの作品が有り当時はオーストリア以外でも聴かれるほど好評だったようです。
ヴァイオリンの名手としても知られハイドンやモーツァルトなどと弦楽四重奏を演奏した事も有る様ですが今日ではあまり知られていません。なお、コントラバスをソロとした曲は少なく、最近ではゲイリー・カーの演奏するシューベルトのアルペジョ・ソナタなどが有りますが、この曲は数少ないオリジナルのコントラバス協奏曲として貴重な存在と言えそうです。

 演奏しているルートヴィヒ・ストライヒャー(1920~2003)は1954~73年までウィーンフィルの首席奏者でした、コントラバス奏法の著者としても有名で現在販売されております。その名演をお楽しみください。

第1楽章 アレグロ・モデラート   6:20   
第2楽章 アダジオ        7:07    
第3楽章 アレグロ        4:04             (T17:30)
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714~1788) ドイツ

 

チェンバロ協奏曲 ニ短調Wq23  

  
  

 エマニエル・バッハはJ・S・バッハの次男で初めは大学で法律を学びましたが父のもとで音楽を学び24歳でプロイセンのフリードリヒ皇太子(後の大王でフルート奏者として有名)のチェンバロ伴奏者として迎えられました。

 大王の元で優れたチェンバロ曲を作曲しましたがフリードリヒ大王の音楽はフルート音楽に偏っていたため当時の新しいドイツの流れである〈多感様式〉を目指して辞任しベルリンに行き、1762年にハンブルグの音楽監督に就任し、以後他界するまでの20年間、ここで活躍してハンブルグのバッハと呼ばれました。

 彼の作曲したハンブルグでの6曲の交響曲集Wg182が書かれた頃、当時の評論家ライヒャルトがハンブルグでの想い出として「人々はその楽想の大胆で独創的な進行、形式と転調の多様性と新奇さに心を奪われた、これほど高貴で大胆でしかもユーモアに富む作品が天才の心から流れ出すのを人々は驚いて聴いていた」と言い残しています。
 また、オーストリア公使、スヴィーテン男爵は彼の楽譜を熱心に収集しウィーンの彼のサロンの常連だったハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどにエマヌエル・バッハの作品を強く推奨しこの大作曲家達も少なからず影響を受けたと述べられています。

 彼の作品は革新的、前衛的、疾風怒涛、と言われていますが色々な作品を聴いて見ますと奇異で変化に富み過ぎて私などにはなぜ?と理解に追いつけぬ所が多いです。しかし今日お聴き頂く曲は古典的なソナタ形式で出来ていて歌心に富み、私にはモーツァルトの覚醒的に始まる2曲のト短調の交響曲が思えて成りません。

  

C・P・E・バッハと3大作曲家の年譜

  

    父J・S・バッハ死亡の年、ここまでが
                       1750 バロック音楽の時代とされている
C・P・Eバッハ1714 --------------・------- 1788      
      ハイドン1732 ------------------- 1789
       モーツァルト 1756 -------------- 1791
       ベートーヴェン 1770 --------------------- ~~1827      

 前置きが長くなりましたが今回お聴き頂くチェンバロ協奏曲は1748年(34歳)に作曲、内容は先に述べた評論家ライヒャルトの言葉にぴったりと当てはまる感じがします。 

 ニ短調の切実で雄大な主題が大胆に展開し対照的にチェンバロが繊細な内心を示す様に表現して行きます。今までになかった新奇ともいえる変化に富んだ音楽、これが当時流行した多感様式かとも感じますが第1楽章はもとより全ての楽章でエマヌエル・バッハの天才的な閃きを感じる音楽と成っています。

第1楽章 アレグロ (ソナタ形式)  
第2楽章 ポコ・アンダンテ
第3楽章 アレグロ・アッサイ            1~3楽章  計23.00

以上