“色んなサウンドを聴いてみよう”Vol.18

昭和のジャズボーカル特集

AAFC例会資料

2018/04/15

担当 :越川 健

 

1.月光値千金  昭和3年  天野喜久代  31歳 

浅草オペラ・ジャズ創生期の歌手。曲名は蘇軾「春夜」の一節を引用。
後に二村定一と共に吹き込んだ「アラビアの唄」「青空」も大ヒット。

2.私のトランペット  昭和8年  淡谷のり子   26歳

日本シャンソン界の先駆者でブルースの女王。作曲は服部で租界地大連のダンスホールで活躍中の南里文夫tpを呼び寄せ吹き込んだという。

3.ダイナ  昭和10年  リキー宮川   22歳 

日系二世の歌手、海外でも人気の曲。中野忠晴の訳詞でエノケン・ディックミネも良いがリッキーの英語唱法とスキャットはさすがバタ臭い。

4.愛の信号  昭和10年  ベティ稲田   23歳 

日系二世の美人歌手、フラの才能もあり黎明期の日本のハワイアンにも大きく貢献しバッキー白片と共に活動。歌はtp  ts を伴いスウィンギーに。

5.悲しきプレリュード  昭和10年  宮川はるみ  19歳 

リキー宮川の妹、ハスキーな声と良いリズム感とほのかな哀愁が心に響く、戦前ジャズ歌手のベストの中に入り、松本伸のtsソロも映えている。

6.世界は日の出を待っている 昭和10年 中野忠晴とリズム・ボーイズ 

米ミルス・ブラザースのコーラスに影響を受けグループを結成。
カナダの古曲で編曲・歌唱・演奏ともに戦前ジャズの金字塔的傑作。

7.唄へ 唄へ   昭和12年  宮川はるみ   21歳 

服部の編曲、流麗豊かなリズムとハーモニーは格調高く時代を感じさせない。
歌は英語で奔放にスキャット、圧巻は集結部の短いbソロの太い響きが良い。

8.とても嬉しい  昭和14年  中野忠晴    34歳  

中野は米ポピュラー曲を日本に広め和製ポップスの基礎を築いた。
曲は昔の小唄、服部の編曲は歌とともにジャズコンポ的な軽快なサウンド。

9.日の丸数え唄   昭和14年   ナカノ・リズム・シスターズ

完全な和製ジャズコーラス、日中戦争の拡大に伴い歌曲に対する統制が厳しくジャズ曲は不可のため服部は軍国調歌詞にしたという

10.ラッパと娘   昭和14年   笠置シズ子   25歳

松竹歌劇団の看板スター、ブギの女王で一世を風靡。バンド楽長の斎藤広義tpソロとのかけ合いが斬新、ノリも良くホットな唱法で笠置パワー全開。

11.上海   昭和28年  美空ひばり    16歳 

初めて吹き込んだジャズナンバーでドリス・ディのヒット曲。前半は英語で全部歌い後半は日本語で締めるが、すでにリズミックなセンスは抜群。

12.マイ・メランコリー・ベビー 昭和30年   星野みよ子   23歳  

一時L.ハンプトンの専属の美人歌手、バンマスの小野満b、白木秀雄ds、高見彰一p、竹見彰一fp、芦田ヤスシtsの強力なバックでスウィンギーに歌う。

13.マイ・ラッキー・チャーム  昭和31年   沢村みつ子   15歳 

沖縄基地で7歳から歌い、米映画「ラス・ベガスで逢いましょう」に特別出演この曲を歌う、ニューポート・ジャズ・フェスティバルにも出演する早熟ぶり。

14.St.ブルース    昭和33年    江利チエミ   21歳

基地のアイドル、Tワルツで運命的デビュー、ひばり以来の天才といわれた。
やがて競演のC.ベイシーも素晴らしい歌唱力を賞賛し思わず唸ったという。

15.恋人よ我に帰れ  昭和40年    美空ひばり   28歳  

原信夫と♯&♭のビッグバンドをバックに堂々たる大歌手の風格に満ちた歌唱
力は外人にひけをとらぬ絶唱、まさにジャンルを問わず圧巻 凄い

16.サニー  歌  弘田三枝子   昭和40年   18歳 

7歳頃には立川等の基地でジャズやポピュラーをパンチのある声で歌い人気を博す、ビリー・テーラーの叙情的Pソロを伴い大人っぽくムーディーに表現。

17.東京ブギウギ  昭和49年  雪村いずみ    37歳 

笠置シズ子昭和22年の曲、ロック的な表現力で新たな躍動感に生まれ変わった、煌びやかで伸びのある歌声はいずみの真骨頂。

18.追憶  マーサ三宅   昭和50年    42歳 

かつてRコンデのゲイセプテット専属歌手、ジャズの歌唱一筋後進歌手も育成。
「追憶」はバーバラS.にも劣らないフィーリングと風格で魅了する。

19.サテン・ドール しばたはつみ  昭和58年   31歳  

世良讓に師事、氏のブリリアントなピアノに支えられD.エリントンの人気曲をライブのノリでややアップテンポで切れ味良く情感たっぷり歌っている。

20.夜も昼も  西城慶子    昭和58年    45歳  

美しい容姿と説得力ある歌唱技術で人気があり、ナイトクラブやテレビ番組の常連。コールポーターの名曲を成熟した唱法で聴かせる。 

21.スウィングしなけりゃ意味ないね  昭和60年    山岡美樹  34歳 

D.エリントンの名曲、ジャズは独学でストレートな唱法を開拓。
前田憲男、B.ゴルソン、T.フラナガン等有力なジャズメンとの競演も多い。

22.A列車で行こう 昭和30年  美空ひばり  17歳

この年に結成された小野満とフオァ・ブラザーズをバックに吹込んだ。
エリントン楽団のB.ロシャが歌ったスキャットを範として、驚異的な天才ぶりを発揮している。
平成17年、このトラックに19歳の矢野沙織が自身のカルテットの演奏をジョイントし録音。ひばりのスキャットに沙織の躍動感あるasソロを注入した合成バージョンが話題となった。

以上