1)ビル・.エヴァンスは、「孤高のピアニスト、リリシズム、崇高、繊細、静謐、ユーモア、耽美」と語られることが多いが実際の本人は、かなりの長身、体格のいいスポーツマン・タイプ、時により予想外に饒舌でアルバムジャケット等で見られるシリアスな表情を浮かべることは少なく笑みをたたえた柔和な顔を見せることが多い。
2)兄ハリーは、ビルが6歳の頃「弟は自分が守らなければならない」との使命感を持ったと語っている。ビルがいじめに遭っている時は、飛びかかって相手を殴り倒す等のハリーの武勇伝がいくつも残されている。ハリーもかなりの腕と才能の持ち主だったが「弟ほどの才能はない」とプロミュージシャンを早々に断念、公立学校での音楽教育者としての道を選ぶ。弟エヴァンスは、生涯にわたりハリーを尊敬し慕う。
3)ユーモアセンスと自虐性:親しい知人の名前をアナグラム(文字の並び替えで別の意味に)により付けた曲の数々 「リ・パーソン・アイ・ニュー(Orrin Keepnews)」、「N.Y.C's ノー・ラーク(Sonny Clark)]等やカクテル・ピアニストと揶揄されていたのを承知の上で「ショー・タイプ・チューン」、「ビルズ・ヒット・チューン」等の曲名も。
4)ヘレン・キーン:本ドキュメントビデオのプロデューサー・編纂者、ビルがオリン・キープニュース(リバーサイドレコードの設立者)と別れた後、生涯にわたり支え続けた女性マネージャー。ヘレンが録音、アルバム化に参画、発言権を得たことでビルの他界後にまで好影響を及ぼした。