ユーザー視点でのレーザーターンテーブルの紹介

AAFC例会資料

2019/04/21

担当 : 大塚 祐司


 

20年以上前から市販されているELP社のレーザーターンテーブルについて、開発の経緯、作動原理、使用上の問題点などの紹介と併せ、実際のレコード再生を行います。

当該レーザーターンテーブルは、レコード面に非接触の状態で満に刻まれた波形情報を電気信号として取り出し、針(カートリッジ)による再生で問題となる摩耗や接触ノイズを回避し、レコード本来の波形情報の再生を特徴とするものです。

レーザー光線を利用するという点で、CDの再生と同様にデジタルでの信号処理が行われるかのような誤解をされている方もいますが、信号処理自体はすべてアナログとなります。
なお、レコード再生に際しては事前の信号記録領域の把握を目的に、盤面のスキャンニングが
必須となります。この手順によりレコードの収録曲数や経過時間の把握(溝の数をカウントして算出)など、CDと同様の機能が付加されるメリットもあり、特定の曲へのダイレクトアクセスも可能となります。

一方、最大の特徴である非接触所以の問題もあり、これは長所以上にユーザーを悩ませるものとなっています。
その主因は、レコード自体に明確な規格、特に信号入力に伴うフォーマットがCDのようには定まっていないことに由来するものです。
すなわち、トラック間隔や波形幅等が一定でなく、いかに目的とする部位に安定的にレーザー照射を行うかが極めて困難で、音飛びや再生不可といった状況も珍しくありません。
したがって、いかに目的とする部位に的確にレーザー照射をするかが、再生の鍵となります。

このため信号読み取り用とは別に、トラック位置検出用のレーザー照射や、光電変換の基準となる値を規定させるキャリブレーション用レコードが必要となります。
さらに、通常の再生では問題ないような嫩細なゴミも、そこにレーザー光が当たるとゴミの形状自体を波形の一部として読み取ってしまうという本質的な原理上の問題から、一般的なレコード以上に再生ノイズが発生しやすく、十分なクリーニングが必要不可欠となります。

市販開始から、20年以上が経過し、当初の価格(約300万円)も歩留まりの向上にともない、低価格化が図られ、今日では半額以下になっているものの、上記の問題はほとんど解決される
ことはないため、当方も含めて使い勝手が悪いという印象を持つユーザーも少なくありません。

当方の場合、2009年春に購入し、今年、10年越しの120回ローンがようやく終わりました。
ローン完済を記念し、レーザーターンテーブルを持ち込んで、内部構造や作動状態をご覧いただくとともに実際にレコードの再生を行います。また通常のレコードプレーヤーとの再生音の比較を行う予定です。

当日参加者の方で、再生してみたいレコードがあればお持ちください。ただし、レーザーターンテープルの特質上、黒色LP盤限定といたします。(東芝EMIの赤色半透明レコードなどはレーザーの反射が弱く再生不可)

以上