CDから始まったデジタルオーディオですが、最近はマルチのチャンデバまでデジタル化しているのでLPもデジタルリッピングになりデジタル再生がメインになっています。
1. トランスポート(PC)
デジタル伝送といえども結構音が変わるのは良く知られていますが、最初の入力機器が良くないとまずお話になりません
そこで2006年究極?を目指して作った13mm厚銅版無垢ベースの独立5電源自作トランスポートですが、その後のPCオーディオの方が音質や解像度などで追い抜かれてしまったので、折角力を入れて作ったものですが、これを最後に皿回しは止めました。
という訳でかなり前からデジタル再生はPCによるHDDデータの再生が中心です。
当初はPCの場合はノイズ対策で、能力(スピード)はできる限り軽い(低速)な方がよいとの考えもあり、ノートを中心に使用していましたが、その後色々と実験(低、中、高速)して試した所では、CPUはともかく高速の方が音は高解像で力もある様に思います。やはりこの辺は試してみないと解りません。
そこで一昨年からメインのPCトランスポートはCPUにハイスペックのi7を使い、マザーにはトリプルチャネルメモリバスのゲーム用マザーを使用し、オーバークロックメモリーを搭載した高速仕様PCを使っています。
ファンレスとはいきませんが、ファンは超低速なのでほとんど音はしません。ステップダウントランスの唸りの方がよほど大きいです。
OSは軽さの点から以前からLinuxを使っていますが、アプリは最初voyageMPDを使っていましたが色々と大変で、一昨年からはあまり難しいことを考えなくても良いVortexBoxのVer2.2に変更しています。
VortexBoxの特徴は本体には起動停止でもキーボード、マウス、ディスプレイ等のI/Oが必要ないので何も付けず、LAN経由のリモート用PC で選曲再生すべての操作ができる点です。
言わばWindowsのリモートデスクトップの様な感じですね。メインPCは音楽再生のみに特化しています
リモート動作PCとはいえやはり電源は肝心で、メインPCには1次側に外付け出川電源、HDDには外付けのリニア専用電源を用意しています。通常はグラボやDVDドライブも外しているのでほとんどワンボード状態です。
更にHDDは振動対策のために外部に置き、15x25cm、30mm厚アルミブロックに取付け、それをフローティングで使用しています。この辺で音に影響が有りそうにないのですが、デジタルデータのやり取りでありながらやはりこれらの対策も聞くと音に影響があるのが不思議です。
2. DDC(digital to digital converter)
PCとなると必然的にデジタル(S/PDIF)に変換するDDCを用意する必要が有りますので、ElectroArtさんのUDA基板を入れたDDC(右上)を使用しています。
この基板は先進的なアシンクロナスモードのUSB接続DDCでAudioClass2.0にも対応しています。
これは通常のUSBDACではクロックが供給側のPCに依存し、ジッタの多いものになってしまうためで、Class2.0のアシンクロナスモードにすると再生データはDDC側のクロックのみを使用することになり、ジッタの少ないクロックを利用できる点が大きな違いです。
もちろん電源は別体で用意していて、電池駆動もできます。また再生用のクロックはボード上の高精度低位相ノイズの水晶もありますが、別途外部よりルビジュームクロック(左)からの22.5792MHz(44.1kHz256fs)のマスタークロックを直接供給するようにして使います。
これは通常使われているワードクロックなどでは肝心のDDCなどマスタークロックには直接は内部のPLLから供給されることなり、外部クロックは間接的な使用なので、折角の低ジッタの外部クロックを生かしきれないからです。
3. チャネルデバイダー(周波数帯域分割フィルター)
チャンデバはBEHRINGERのDCX-2496を使用しています。機能や性能は充分でかつお安くほんとに便利に使える機器で、我家では中心的な存在になっています。
ただしそのままでは音的にも色々な制約も多いので、昨年機能的な中心となるDSP基板と表示部分のみ取り出し、新規アルミケースに別途組み込み直して使用しています(写真下)。ケースは濃紺のアルマイト艶消し仕上げにしていますが、写真ではほとんど黒に見えますね。
チャンデバは元のスイッチング電源を外し、SICダイオードとトロイダルトランスによるリニア電源に変更しています。更にボード上のコンデンサはOSコンに全交換、クロックはやはりこれもルビジュームからの24.576MHz(96kHz256fs)を直接供給しています。これはDDCと同じ理由からです。
DACは完全に外付けとし、デジタル出力はI2S信号フォーマットで長距離伝送が得意なLVDSレベルに変換し、3chのHDMIコネクタで出力するようにしました。
I2Sは一般的なS/PDIFよりクロックが別送りできるためにジッタも少なく高品位なデジタル信号を送ることができますし、音を聞いても違いが有ります。
ただまだまだ一般的でないので互換性が無いのが残念な所です。
周波数分割などの操作に関してはチャンデバ本体のみでも出来ますが、本体の操作パネルは小さく見難いので、音量も含めこれらもPCで行う様にしています。
接続はチャンデバのRS232CをUSB変換して、リモート用のPCのUSB接続で受け、楽曲選択(こちらはLAN)と同様に同じPCでコントロールするようにしているので、選曲を含めた一括した手元コントロールができています。
4. DAC(digital to analog converter)
3chデジタルマルチともなるとDACも3台必要になり、費用的にも大がかりなセットは使えません。
当初は内蔵DACで済ませていましたが、ここは昨年話題のDSD変換DACに変更することができました。基板の入手は品薄の為大変でしたが、何とか3枚集まって組み上げられました。
DSDはSACDと同じ方式の信号フォーマットですが、理論上の情報量はPCMほど多く無さそうなのに雰囲気のある音が出るフォーマットで中々魅力があります。
ただしDSDソースはまだ少ないことと、デジタルチャンデバがPCMでの処理しか対応していないのでDSDを生のまま通す訳にはいきません。
それでチャンデバではPCMで処理し、DACの前でPCMをDSDに変換するボードを入れるようにしています。現状これがマルチでDSDを楽しむには最上の方法だろうと思います。
DSD変換にはP2D基板と称される基板を使用していて、これもDDCと同様ElectroArtさんの所の製品です。
その後は量子化ノイズを減衰させるポストフィルターが付きますが、デジチャンのフィルターの影響なのかその後はどうもノイズが増えるのでノイズ取りに苦労しました。一時はダメかと思うくらいでした。まだ完全ではありませんが、まあ何とか実用になっているレベルです。
写真は2ch分のDACですが、アナログ出力はすべてバランス仕様になっています。
5. クロック
先ほど述べたようにデジタルオーディオでは電源の次にクロックが肝心で、これにより音楽再生の緻密さ全般に効いてきます。
最初はOCXOの高精度水晶から始まって、低位相ノイズの水晶などの水晶も使っていますが、やはりルビジュームが格段に良かったです。
とはいえルビも使い方にポイントがあり、ルビの機種でも音に違いがあります。またもちろん電源と振動・ノイズ対策も効果的です。
私は専用リニア出川電源を使用し、ルビはHDDと同様な30mm厚アルミブロックに載せています。マスタークロック用には512fsが必要なので、256fsしか取れないルビ内蔵のDDCではなく、外付けの専用DDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザ)を昨年から使用しています。
これはルビ内部から約100MHzの原信を取り出し、4逓倍したのち直接512fsをデジタル分周する回路で、前の256fsを2逓倍するより更にジッタを減らすことができます。音を聞いてもより奥行き表現が優れているのが解ります。
6. DSDレコーダ
最後にメインストリームではありませんが、LPもデジタル化して聞くために2010年に自作DSDレコーダを製作してアナログもデジタル化して聞いています。
LP試聴システムは
プレーヤ LINN LP-12 CSE-700電源
カートリッジLYLA DRIAN
アーム SME 3009series2
イコライザ 自作SARI モノブロック構成x2
でこの出力をレコーダに入れて録音(デジタル化)します。
レコーダの内部基板はこれもまたElectroArtさんのDSDレコーダ基板を用いた4ch録音機で、録音はDSD128(5.6MHz)が可能でこれをPCMハイサンプリングに変換して聞いています。
デジタル化したアナログはもうほとんどデジタルと変わらないグレードの音がしてかつ便利に再生できますが、処理に時間が掛るのが難点でデジタイズしたのはまだまだ少しばかりですね。
7. 最後に
なお最近はデジタル機器のノイズ対策が進み全面的に対策をやり直しました。主に電源の高周波フィルターの強化で、これをきっかけに音のきつさ(歪)が大分取れ、滑らかな音に変身しました。
それにPCのグラフィックボードやDVDプレーヤを外したりするノイズ対策も効いてやはりデジタルはノイズとの戦いです。
以上