音楽会の 「はしご」

2010年6月6日

佐藤 久男


  5月27日(木)に一日に3回の音楽会を巡るという経験をした。 2回というのは何度かあるが3回は初めてである。

会員のS氏からメールで東京芸大の奏楽堂モーニングコンサートの案内を頂いた。
芸大が定期的に午前に無料で学生の発表の場として行っており、最近は質の高さに聴衆が増えているそうだ。

ベートーベンのバイオリン協奏曲を22歳の学生、尾池亜美さんが演奏した。
彼女は昨年の日本音楽コンクール第1位の栄冠を獲得したなかなかの美人である。
若いながら見事な演奏で将来が期待できる 逸材である。
ハンガリーの指揮者ナジと芸大フィルはーモニアと共演である。

カデンツアがシュニトケのものを演奏したが、私には木に竹を接いだような感覚で現代風な奇抜なものは馴染めなかった。
会場は1100人満員の聴衆が盛んな拍手で演奏者を讃えた。

昼食を摂りに旧奏楽堂の前を通り掛ったところ、芸大生のよる木曜コンサート第250回の張り紙を発見、2時から開演なので
これを聴いた。

重要文化財に指定された木造の鄙びたホールで弦楽6重奏団の演奏で2曲演奏された。
モーツアルトの協奏協奏曲 K364 (弦楽6重奏版)、ブラームスの有名な弦楽6重奏曲第1番である。
入場料は500円、ここも渋い曲にも関わらず満員の聴衆で熱心に聴き入っていた。
沢教授を除いて11名の学生が交代で演奏した。華やかなドレスの弦楽奏者は目も楽しませてくれた。
若い人たちの演奏技術は昔と比べて格段に優れてきているが、音楽を表現するとなると若いだけに難しいが熱演に皆が
引き込まれてしまった。

帰路、公園内の樹木の若葉が日に映え緑が 素晴らしく演奏会に疲れた体を癒してくれた。

夜は本命の日本モーツアルト協会の5月例会が東京文化会館小ホールで7:45分から開催された。
「管と弦の協奏曲を中心に」というテーマで馬込勇指揮、モーツアルトカンマーオーケストラで、「イドメネオ」序曲,
バイオリン協奏曲第5番、ファゴット協奏曲、交響曲第35番「ハフナー」と盛り沢山なプログラムである。

バイオリン協奏曲は尾張拓登君、18歳、国内の数々のコンクールで受賞している。

ファゴット協奏曲は指揮者の馬込勇氏でリンツ・ブルックナー管弦楽団で18年間、首席を務めた人である。

モーツアルトの20歳ごろの若々しい溌剌とした2曲は良き奏者を得て聴衆を魅了した。

オーケストラは活気あふれる演奏を示してくれたが、ホルンが風邪を引いたような湿った演奏で折角のハーモニーを
崩していたのが残念であった。国内のオーケストラの弱点がやはり露呈した。

最近にない満員の聴衆から盛んな拍手が演奏者に送られていた。

朝から夜まで硬い椅子に座っていたので尻が痛くなったが、素晴らしい音楽と演奏に疲れは全くなかった。
充実した1日を過ごし満足した気分で帰宅した。

以 上