10月度音楽会巡り

2010年11月9日

佐藤 久男


暑さも収まり音楽を聴くには快い季節になってきた。

 1、ホルンの響きに魅せられて

  日本モーツアルト協会第522回例会を10月19日 東京文化会館小ホールで聴いてきた。 モーツアルトの管弦楽によるホルンの曲を5曲全てを演奏するというモーツアルト協会でなければのプログラムであった。
ホルンの阿部 麿は第71回音楽コンクールで第1位を取った逸材でオーケストラ、室内楽など広く活躍している。
玉置勝彦指揮、東京エラーと室内管弦楽団との共演である。

作曲年代順にロンド K371、ホルン協奏曲 第2番、第4番、第3番、第1番 を現代のヴァルブ式ホルンで演奏された。
ヴァルブの付いた現代ホルンですら演奏が難しいのに、ヴァルブの無いナチュラルホルンの時代にこれらの曲を献呈されたホルンノ名手ロイトゲーブの技量がいかに優れていたか良く分かる。
アンコールにナチュラルホルンで第3番の第3楽章を演奏してくれたが大変さが良く理解できた。

ホルンの演奏家の中でこの企画を一人で演奏するのはホルンのトライアスロンだと話題になっていたそうだ。
ホルン奏者の玉置は長丁場を無事吹ききり満場の聴衆から大きな拍手を受けていた。今後このような企画の演奏会は二度と聴けない素晴らしい演奏会だった。


2、ラフマニノフ 晩祷

今年も第17回全曲演奏会が10月22日 東京カテドラル聖マリア大聖堂で東京トロイカ合唱団の演奏会を聴いてきた。
東京カテドラル聖マリア大聖堂に会場を移してから10年、毎年満員の聴衆に深い感銘を与えてきた。

48名と出演者も増え河地良知の入念な指揮のもとに素晴らしい演奏を聴かせてくれた。残響の長い大聖堂でアカペラの合唱は正に天国的な感動を聴衆に与えてくれた。
補助椅子も出た満員の聴衆は天井から降り注ぐコーラスにひたすら浸りきり魂を揺さぶる素晴らしい感動に身じろぎもせず聴き入っていた。

私にとって晩祷は一年の締めくくりで第9のような大切な演奏会である。 これを聴いて無事一年の息災を感謝し来年への希望を祈ってきた。
これから何回これを聴く機会があるか分からないがまさに一期一会と大切にしていきたい。

以 上