TAD・ウインドシンフォニー

第18回定期演奏会

2011年6月17日

脇田 隆夫


  

  ミニコンサートでお世話になっているクラリネットの旧姓鈴木美香さんから演奏会のご案内を頂いた。中にお手紙が入っている。
  大震災被害に心を痛め悩みました、私にできることは音楽で生きる歓びを伝え、被災者の失意の心に寄り添うことですとの決意が切々と書かれている。
地震当日、中学生卒業遠足でディズニーシ―へ引率をしていた、チリジリの生徒を全員集め 徒歩をまじえて学校に戻ったのは朝だったと。
それと良縁に恵まれ5月から水野美香と名乗っていますと、うれしいお便り。 
 今回、往年のトランぺット愛好家堀端さんと2名、めぐろパーシモンホールへ向かう。このホールは由緒ある柿の木坂 東京都立大学キャンパス跡、林の中にある。今日は雨で寒い。先ず、近くで「ラーメンと酒の肴」の看板を見つけ、ビール・熱燗と肴で気合を充実させる。
  1200収容のホールは満席に近く、学生さんが多い。落ち着いた木の香りする内装と各種反響板と形状、これは良い響きが期待できそう。
  最初に大震災被災者へ奉げる荘重な鎮魂曲が演奏される。
さあ、これから本日のプログラム「オーストラリアの大地」からスタート。重厚かつ鮮烈、繊細な音がホール一杯に飛び交う、流石に熟達の演奏、指揮者・団員一体となっている。予想通りホールの響きも素晴らしい。プログラムが進んでいく。木管・金管のソロも見事なもの。
  最後はサバンナシンフォニー。アトランチック州立大学創立75周年を記念しての依嘱作品。内容は、1733年イギリスからの移民と先住民族との協力と入植時の様子。独立戦争後サバンナ市において発明された綿繰機が奴隷に及ぼした重労働。1830に市全体が大火災に見舞われ、著名な建築家が見事な建築群を建設。南北戦争での破壊を免れ守り抜かれことの祝福と未来への明るい希望。このあらすじがプログラムに記載されてあり交響詩的で判りやすい。黒人霊歌あり、あれあれ、いつか聴いた運動会メロディ「パン食い競争それ急げ、転んで走れば日和風?」が出てくるぞ。客席左方から突然ピッコロとスネアが登場する、見せ場、聴かせどころ十分。大盛り上がりの大喝采で気分が高揚する。
  アンコール2曲があり指揮者・団員が喜びに満ちて演奏している様子がまざまざと判る何時ものとても気持ちの良い演奏会です。機会あればぜひご一聴をお勧めいたします。


終演後、水野美香さんを楽屋にたずね、2年ぶりにお会いしてきました。

以 上