自作のアンプを作ると、初めはテスター一つで何とか組み立てて、電圧、電流を測定している範疇はかわいいもので、人間欲が出始めると、ふとした時にはまった、あそび・・しゅみ・・道楽・・やまい・・不治の病・・病・・・・この時期になると尋常じゃなくなり、自作の楽しみ、などと本人だけ高尚な趣味と思い込み毎日が過ぎ去るのです。
やまい と書いて、漢字で書くと 病 となる。体に起因するやまいなら病院に通えば処方箋が対処両方でもあれば対応できるが、
事、電気関係の自作のオーデオともなると付ける薬も無ければ、対処療法もなくなるという、こまったちゃんのおじさんが出来上がる。
自作の病もこうもうである境地になってくると、製作した物の健康診断ならぬ動作状態を知りたくなるもんで、色々と測定器を集めだす病の症状が現れる。かくしてそれなりの機材が集まり、」作った作品を内科のお医者さんの診断がごとく調べだすのです。
この結果、中身の動き具合に ぎもん の一言が脳裏を横切り、疑問という二文字が頭をモタゲルころには それなりの書物の解説収集に走り、悩み多き少年、いやジジイが一丁できあがりーとなってしまう。 豆腐の一丁よりひどい。食べられんわいな。
これを解決するために、部品はどうだ?回路はどうだ?配線は?いや測定器はまともなのか?・・・・・ジジイは今日も胸をかきむしり眠れない日々を過ごすのです。
こまったちゃんジジイは解決のため、日夜没頭し戦うことと相成らん。自作ジジイのお家の中は、電子部品と怪しげな・・・ほんとに怪しげな測定器の(巣)になって、これが日々増えることとなり、同居人の非難の的となるのです。いつの間にか、ろーかはまともに歩けずカニの横ばい、見えるのは段ボールの何段にも積み上げたやま・・山・・山 中身は忘れ去れし部品の中身。 罰当たりのジジイは今日も半田の煙のなかにうごめいているのです。
ここまでくると、少しぐらいの測定器が家人の目を盗んで増えようが、なくなろうが、解からなくなってしまう。使っている本人も半分わからなくなっている。解からんうちに病攻防、直るのもわからんジジイが転がっている。
第69話につづく