このごろ思うこと

AAFC 連続エッセイ
投稿日
2014/01/01
執筆担当
佐藤 久男
 

 

1.格安CD

インターネット上で格安のCDが販売されている。
かっては数万円もしたセットが数千円、一枚100円以下がざらにある。
しかも名演奏家、作曲家全集など手の届かなかったセット物が多い。
苦労してやっと集めたCDが、あっという間にしかも格安で売られていたのを見ると情けなくなる。
格安の上に会社によっては詳細な資料が添付されたり、廃盤になっている過去の名盤が復活したりと良いことずくめである。
金と置き場所があればすべて、買い直したくなるものばかりだが、それができないのが 情けない。
会社にしてみれば売上激減なので、死蔵された過去の名盤を纏めて復活し売上を増すのは 営業上得策なのだろう。
さらに会社によっては、数点纏めて購入するとさらに割引率が高くなる利点もある。
オペラ,作曲家全集などを纏めて、購入者の食指をそそる様なセットが目白押しにある。
これから収集する人には良いが、ある程度纏まって所有している人には重複を覚悟して買わざるを得ない。
CDを始め最近は売上が、デジタル通信の影響などでで激減しているので、売上を増やすための手段として使われているのだろう。
新しいCDの発売が少なくなってきているので、今までの蓄積を有効に活用せざるを得ないのが実情かもしれない。
エジソン以来、100年以上の音楽文化を絶やさないために新しい演奏家、レパートリーを育てて行くためには、安いから購入すると言うだけでなく、文化を継承し守るという視点も必要になる。
CDなどのメディアからデジタルの情報源より安価、かつ大量の音楽資料が手軽に使えるようになってきた現在、CDなどをこつこつ集めることをせず、都度必要なものをダウンロードなどで楽しむというのが普通なのだろう。
若者たちの車離れ、アルコール飲量の減少など趣味,趣向の変化が大きく、これからの需要動向は激変せざるを得ないだろう。
音楽メディアが今後どんなふうに変化していくのか、予想は難しいがデジタル化が進み、小型、簡易化に拍車がかかるのは間違いない。

2.デジタル化

戦前のアナログ派には最近のデジタル化は理解が難しい。
デジタル通信による音楽鑑賞は音質、簡便性など素晴らしいが老人にはなかなか取り付き難い。
クラブでも何度か会員からPR、説明があったが、利点は理解できてもなかなか手が出ない。
CDでは200枚のモーツアルト全集も爪の頭ほどの大きさのメモリーカードに入ってしまう。
入院、旅行などに数枚のメモリーカードがあれば、数ヶ月は十分楽しめる。音質、操作性などは文句のつけようがない。
デジタル通信による音源の取得は音だけでなく、演奏者、歌詞などの情報、映像も付きCDなどのメディアに較べ、情報の検索、保存などに非常に便利である。
収蔵の曲数が増えると、検索が難しくなりパソコンなどでデーターを集積、分類する必要があるが、デジタル通信のデータはその必要がない。
全集などではその利便性が大きく発揮される。
保存場所、検索などの利便性からこれからは、CDなどのメディアからハードディスク、メモリーカードなどのデジタルへの移行が必至である。
半導体集積によるカードも小型化し、安く、容量も飛躍的に増加している。
書棚一杯のCDのコレクションが小さなチップで済んでしまう。
無理をしてコレクションを集めなくても、必要時都度パソコンからダウンロードして楽しめば良い。
手元はいつもスッキリ、最小限である。
尤も趣味は集めることも大きな楽しみだから、コレクションを否定するつもりはない。

 ICが出来た頃、真空管式のアンプなどは、爪の頭ほどになると言われたが、アンプの大きさ、重さは真空管式の時代と殆ど変わらない。
むしろもっと重く大きくなっているものもある。
これを考えるとデジタル化で小さくなるのも、操作性を考えると限界があるのかもしれない。
便利で扱いやすいものに移行するのは、何も音楽だけではないので世の趨勢で致し方がないことか。

次回は 島 剛さんにお願いいたします。

 

以上          

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