表題はサントリー「オメガエイト」の新聞広告である。
表題に続き「うっかり」として以下の項目が挙げられている。(下線部広告のコピー)
①人の「名前」が出てこない…。
②知っている「漢字」を書けない…。
③「財布」や「携帯電話」をよく探す…。
④気づかずに「同じ話を」繰り返す…。
⑤「鍵」をかけたか「不安」になる…。
そんなあなたに! おすすめしたい知的栄養素 サントリーの「オメガ脂肪酸」
これを毎日飲めば、上記5項目の恐れはすべて解消する…と言いたげな広告である。この種の悩みは、かつて戦争を知らない子供たちと言われた、団塊の世代にも押し寄せている。
この内漢字について、自分の体験を述べてみる。
毎年届く年賀状のほとんどが無味乾燥な定型句の印刷のため、小生からは印刷がベースであるが、近況を2,3行を書くことにしている。
ところが、最近手書きにより文章を作ることが稀になったせいか、簡単な漢字が書けなくなり、たびたび辞書を引く羽目になっている。この文章をはじめ、最近はパソコンに文字を打ち込むことが常態となり、手書きで便りを書くことは年賀状を除き、年一回あるかないかである。
パソコン(ワープロ)では、読みを打ち込めば候補の漢字が示され、そこから選ぶのはそう悩むことではない。
しかしこれも道案内と同様に、「一回行けばわかるだろう、次回は一人で…」と言われると狼狽するのは、凡人というか普通の人である。人間楽な方にはすぐ体が慣れて、これに逆行するにはかなりの忍耐と努力を要する。
会社入社当時からしばらくはすべて手書きであり、報告書などに上司から修正を命ぜられると、時には全部書き直す必要があり、涙が出る思いをしたものである。(パソコン文なら簡単にOK)
会社業務にパソコンが一人一台になり、Eメールが一般的になったのは約20年前の40代半ばであろうか?これを機に手書き文字が無くなり、辞書を引かなくなってしまった。
そもそも人間の体は、最大能力の七五%の負荷を絶えずかけていないと衰えると言われている。
かつて30代半ば、お尻の病で10日間ほど入院した。退院直後体力回復のため自宅周辺を散歩したが、10分ほど歩くと非常に疲れ、ここまで衰えるものかと思い知らされた。タクシーの運転手は一般にあまり歩かなくなり、数年続けると足腰が極端に弱るそうだが、頭も使わないと同様であろう。
昨今テレビの放送も増え、娯楽あるいは世間の情報が容易に得られることから、新聞や本を読まなくなり書店の数が激減している。文明の利器は効率的で便利であるが、あまり頼り過ぎると身体能力は劣化の一途をたどる。これに加齢による要素を加えれば、何をかいわんや!
小生のかかる状況に危機感を抱き、記憶力の低下防止も目的として、手書きで文章を作ることにし日記帳を買い求めた。五年日記なるもので、一日分は七行程度である。今のところ欠番は二日であるが、何年間続くか…、毎日少しずつ嘆息しながら書いている。
たまたま新聞広告で見つけた「書けますか?小学校で習った漢字」と、飛行場のショップで「おとなの漢字実践講座」を求めた。これらの本と共に会話の中の言葉で、漢字では…?また書き順はと思い、辞書を引きながら毎日雑記帳に、漢字の書き取りをしている。
「賽の河原の石積み」と嘲笑されるのは覚悟の上で、筆をおく。
次は山崎光明さんにお願いします。