杉村楚人冠没後70年記念 SPレコード鑑賞会「楚人冠と湯瀬温泉~楚人冠の声を聞く!」
何だろう? なんともユニークなタイトルが 広報あびこ9月16日号に掲載された。
次いで 朝日新聞に詳細な経緯が載った。
・・・部屋の片隅に朽ちた蓄音器(大正7年コロンビア製)とSPレコードがあり、筐体を市内の県指定伝統工芸品神輿師椎名正夫さんが、メカを我孫子オーディオファンクラブのメンバー(小笠原会員)が修理して蘇らせた。
残されたレコードに珍しいのがある。秋田県鹿角市の湯瀬温泉観光ご当地ソングに楚人冠が小唄を作詞した。なんとその温泉PRの口上が録音されている・・・
今にも雨が落ちそうな肌寒い日なれど、14~15席ほどの椅子は満席。市教委の方の明解な説明で我孫子市在住の優れた人気ジャーナリスト杉村楚人冠の功績と何故湯瀬温泉?の謎が解けた。
実は八幡平を世に喧伝すべく氏は秋田県鹿角を訪れた。さあ八幡平登山をしようとした際落馬して腕を骨折。湯瀬温泉に長逗留となり。これが縁で作詞するにいたった。落馬記念碑もあるとか・・
卓上型の蓄音器は落ち着いた色調に再生され、サウンドボックスは重厚に輝いている。
ほとんど針音もない。漆喰の洋室に楚人冠の音声が流れる。抑揚が効いているが妙に説得力がある。愈々 楚人冠作詞の小唄「湯瀬の松風」・・流石に味のある名文句。次いで俚謡「湯瀬村コ」・・秋田弁が暖かい。最後の新民謡「湯瀬小唄」は現代風で華やか。
文化財にかける市教委の熱意のお蔭で昭和初期の雰囲気に浸り、楚人冠を知る良いきっかけとなる。筐体を見事復元した椎名さんも出席されており、ご挨拶が出来る機会にも恵まれた。
手入れの行き届いた庭園には氏が愛した椿が大事に保存されており 濃い緑の葉がつややかだった。
以 上
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