今思うこと 「私のオーディオ紹介」

AAFC 連続エッセイ
投稿日

2014/10/10

執筆担当

出口 隆

 

 

今年5月に入会した出口です。
最近取り組んでいるオーディオシステムについて紹介したいと思います。

私のオーディオ歴

私のオーディオの始点は中学1年の時に入部した『電気クラブ』である。
ユニークな顧問の先生に触発されて、アンプの製作を始めた。
初めて触った真空管は6BM8、スピーカーはパイオニアPAX16と記憶している。
中学2年の文化祭に真空管アンプ、スピーカーボックスを製作し、中古の棚を改造したコンソールステレオを出展したことを覚えている。たぶん先生に相当お世話になったものと思う。
見よう見まねで製作したアンプから音が出て単純に喜んでいた。

高校、大学、社会人(20代後半)までアンプと木工のモノづくりは続けていた。
作品はどこへやったか覚えていないしほとんど残っていない。

定着したシステムは
 SPシステム:JBL LE8T+LE20(自作箱)
 アンプ:LuxKit A3032、A3000*2の組合せであった。

30代からはご同輩と同じくオーディオ製作から遠ざかり、他の趣味に興味が移っていた。
しかし、嗜好が POPS → クラシック → 女性ヴォーカル → ジャズ と変化しながらも音楽はずっと聴いていた。

40代のころにはDATによる生録にはまっていて結構テープ資産を持っている。(詳しくは述べない)
当時はオーケストラを大音量で聴くのはひたすら車の中と決めていた。
居室オーディオでは音が混濁して無理とあきらめていたが、いつしか解決したい課題ではあった。

システム再構築

会社生活の着地点が見える世代になり、オーディオ再開・システムの再構築を思い立った。
昔と違って、趣味に費やす時間と住環境にゆとりができたこと、中古を含めて高級オーディオ部材が入手しやすくなったこと、そして少々の懐の余裕ができたことなどから、もう一度理想の音環境をめざせるのではないかと考えた。
理想に近いシステムについて4、5年の準備期間をかけて構想を練った。

パワーアンプは長年のあこがれであった ウェスタン・エレクトリック300B-PP、スピーカーはTADシステム を軸に検討を進めた。
その他アナログレコード、ハイレゾオーディオ、シアターオーディオなど好きなことを存分にやってみたいと考えていた。

2005年に成田市内に家を新築する機会を得て、音場・電源改善が実現できた。

・広めで天井の高いAVルームを確保できた。
・住宅会社の縁から強力な電源環境(マイ柱上トランス)を導入できた。
・室内音場改善については2013年の日東紡ANKH導入により明確な効果を得た。

いくつかの幸運に恵まれて、理想に近い住環境を得ることができた。
またこれらは後のアンプチューニングにおいて大きな武器となった。

SPシステムではTADモニター(パイオニア Exclusive2402)を2009年にネットオークションで入手した。
福島市内の個人宅で使用されていた美品で、ドライバーはTD-4001、ウッドホーンはTH-4001、ウーファーはTL-1601aという構成である。
ネットワークは2基板構成であり将来のバイアンプ、マルチアンプにも展開できそうである。
大型スピーカーとしてはコンパクトに仕上がっておりAVルームに収容可能であった。
友人が持つPA設備の同一ユニットを試聴させてもらって購入を決断した。
きわめてナチュラルな音質傾向であり気に入っている。

さてパワーアンプであるが設計・改善方針は次のように決めた。
  ~ できる限り原音に近い美音をめざす ~

① ベース回路を決めて、回路・部品の最適化を進める。(自分で設計・改造する)
② 回路は3極管特性を生かすため無帰還をめざす
③ 基本特性は計測器で確認し、音質は実聴で評価
④ 改善効果は十分なエージングを経て確認(急がない)

ベース回路はタムラ製作所が運営していたサイト“T’s Bar”に出ていたO先生のものに決めた。
改善アイデアはアンプの実測特性、ネット、書籍、展示会、オーディオ仲間、ショップなどから情報を集め、熟考の上抽出した。
途中から実聴評価についてはオーディオ好きの友人を特定し、意見をもらった。
5年にわたる改善行動で効果があると思われる手持アイデアはほぼすべて試したことになる。
その結果、最近になって満足のいく音が出るようになった。

言葉で表現することは難しいが、“なめらかで切れが良く、ナチュラルな音”が実現できたと考えている。
できれば皆さんに聴いていただきたいと思っている。

パワーアンプの選定した部品一覧
  初期の部品と最終の部品を対比した。
  興味のある方はチェックしてみてほしい。

用途
最終部品
初期部品
メリット
整流回路
5AR4(Mullard)
ダイオードブリッジ
出力管の長寿命化
ドライバートランス
B5006(Tamura)
同左
極性反転により周波数特性改善
出力管
300B(WE)
300B(JJ)
実聴音質改善
初段管
ECC82(Mullard)
ECC82(JJ)
ドライバー管
13D4(Brimar)
ECC82(JJ)
B電源コンデンサ
電解(Mallory)
フィルム(SunAudio)
カソードバイパス
コンデンサ
電解(Mallory) +
オイルコン(アリゾナ)
フィルム(SunAudio)
カソード抵抗
巻線15W(OHMIT)
ホーロー20W

オーディオシステム再構築については一山越えた感がある。
しばらく今の音を楽しんでから次の計画を立ち上げたいと思っている今日この頃である。
ご高読に感謝します。

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