ジジイはストレスが溜まると仕事が少し切れた時に、ガラス玉を撫で摩り眺めながら、この真空管はドゲンな音が出るんだろうと思いをはせてテレビの放送番組をボーっと見ながらも、頭の仲はAMP作りの妄想連鎖で今夜も眠れぬ夜を過ごすのである。
毎年10月に行われるお茶の水近くの会館で真空管マニアを集めて入場料500円で二日間入場できるオーデオショウがあるので、ジジイは時間をやりくりして参加するのである。幸いなことにあばら家から乗り換え無しで、のたりのたりとジジイノ足でも小1時間で参加できるのが有り難い。
とおーーーっても手痛いのがとおーーーーっくの昔に定期券が手元に無くなっておる。一年中夏でも在るまいに、夏の果物の名前で寒い国の動物のプリントされているカードのおかげで、難無くゲートを突っ切りぎりぎりの時間でも、大量輸送の電気移動箱車に乗れるのである。
電気の単位で1クーロンの質量はこの箱車をどこまで運べるんだろうなどと考えてしまうのは電気に犯されたジジイの頭のサガか?・・・いや半田と半田の煙を吸い込みすぎた結果かも知れん。自覚しているうちが花?である。
毎年少しずつ参加するたびにJUNKを買ってしまうのであるが、ガレージメーカーが真空管AMPを並べて、はい買ってネ、と時間を配分しながら同じフロワーで代わり番子で鳴らしているが、ジジイのとっても衰えた耳に合った音を流しているブースは中々発見できない。
寄るとしなみで、ケーブルが、部品が、真空管がと値札をショボショボノ眼球を擦りながら値札を見ると、とてもじゃないが手の出る世界では無く、やっぱ自作で少しずつストレス発散したほうが、ジジイの自己満足に財布も心持も自己満足できるのが現状なのでJUNKを買わない傾向になっている。
身の丈三寸で生活優先で以降の心境に目覚めてオル。そういえば、春の目覚め なんて映画があったなー。年齢から考えるとさっさとJUNK処理をせねばアカン。今日も今日とて身の丈三寸を忘れて貴重な一日が過ぎ去るジジイである。
83話につづく