パリ音楽紀行(その2)
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2007年7月6日
赤田 勝彦

* サル・ガヴォー( Salle Gaveau )

ガヴォーは先述のプレイエルと同様元来ピアノメーカーで、ホールは 1907 年創立。パリで最も有名なコンサートホールの一つ。 1,000 有余の座席で主にピアノリサイタルや室内楽が多い中小ホール。エネスコ、コルトー、クライスラー、ティボー、カザルス等々20世紀演奏歴史上の人物がしばしばここで演奏している、またロン・ティボー国際コンクールの会場でもある。
外見は平凡だが、中に入ると優雅な雰囲気が漂い、音響効果も大変良い。
(余談になるがフランス新大統領サルコジ氏の政党UMP本部が直ぐ側にあり、このホールでよく集会を行ったことでも有名。)

コンサート当日は5月22日で、1838年誕生のコロンヌ管弦楽団 (Orchestre Conne) 、指揮はイスラエル出身のカルデロン( Rani Calderon )によるプログラムで
・サン・サーンスのピアノ協奏曲#2: 独奏はフランス期待の若手シャマユウー (Bertrand Chamayou) 初めて聴くピアニストだがテクニック一辺倒でなく音楽性豊かな実力派とみた。
・ ベートーヴェンの交響曲第7番:とくに個性際立たず平凡な演奏だった。


* シャンゼリゼ劇場 (Theatre des Champs-Elysees)

1913年に完成したパリで最初の近代劇場様式の劇場で、内装は彫刻家ブールデルと画家モーリス・ドニが担当し、とくにドニの天井画が有名。アールヌーヴォー様式建築の代表的な華麗ホールだ。ディアギレフ率いるロシアバレ団が「春の祭典」を世界初演しその前衛性で大スキャンダルを起こしたのはこの劇場。
私が借りていたアパートからメトロで15分の至近距離に在り、お気に入りのホールだ。

今回のコンサートは 2 回を予定していた。
5 月 21 日はロシアのアルカーディ・ヴォロドス( Arcadi Volodos )
超絶技巧派の豪腕ピアニストとして有名だが当日の演目は地味な、

クレメンティ (Clemnti) のソナタ Op.25-5
ブラームス (Brahms) の小品 Op.76-4/5 、変奏曲 Op.21-1
シューマン (Schumann) の森の情景 Op.82
リスト (Liszt) の悲しみのゴンドラ、詩的で宗教的な調べ第7曲「葬送曲」

まことに詩情豊かな滋味溢れる虚飾のない演奏で大変好感を持った。
大仏様のような丸顔に終始笑顔を浮かべ拍手に応える様が印象に残った。
アンコールは一転してサーヴィス満点の技巧を凝らした曲を5曲を 30 分にわたり披露し満場の聴衆が大興奮。なかでも長大な「カルメン幻想曲」が圧巻だった。
静と動のピアニズムを堪能した一夜であった。
(こちらのURLで彼の演奏の一部が視聴出来る。
http://www.youtube.com/watch?v=xdHO5yvZza0&NR=1

5 月 25 日は今回最も期待のリサイタル
マキシム・ヴェンゲーロフ( Maxim Vengerov )はシベリア出身のロシアのヴァイオリニストだ。
ところがである、当日になって主催者から通知あり、右腕肩故障のため取止めとのこと。
生身の人間による演奏につきもので、腕が使えぬなら仕方なしと諦める。

急遽他のコンサートを探すことにした。

 

 

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