*
メゾン・ド・ラジオ・フランス(Maison de Radio France)
5月25日シャンゼリゼ劇場でのヴェンゲーロフのコンサートがキャンセルされ急遽代わりの演奏会を物色することになった。
当地では「パリスコープ」なる便利な週間情報誌があり演奏会、演劇、映画等々全ての催し物がチェック出来る。これを参照するとこのホールで放送収録の為の公開演奏会があり駆けつけることにした。
16区のセーヌ河沿いに位置し1962年完成した円形の斬新なデザインが印象的な建物。ラジオ各局のスタジオのほか、大中小3つのコンサートホールがあり、フランス国立管等の本拠地として有名である。日本でいえばNHKホールのような存在。
1918年に瓦解したオーストリア・ハンガリー帝国の盛衰時期の音楽をカヴァーした「帝国は燃えているか?」というテーマのもと連続3日のコンサートの初日であった。
まず午後6時から室内楽用スタディオ(Studio Sacha Guitry)でラジオフランス・フィルのメンバーによる室内楽で:
コルンゴルド(Korngold)の弦楽6重奏曲、
コダーイ(Kodaly)のヴァイオリンとチェロ2重奏曲
クルターク(Kurtag)のクラリネット、ヴィオラとピアノの3重奏曲
いずれの曲も滅多に生演奏に接する機会の少ない意欲的なプログラムで、演奏も気合の篭もった熱演だった。
このスタディオは演奏者が最下段に位置し、聴衆は急勾配の階段席からそれを見下ろすといった具合で独特の響きだった。
次は午後8時から大ホール(Salle Olivier Messiaen)にて管弦楽プログラム
演奏はパリ地方国立音楽院交響楽団((Orchestre symphonique du Conservatoire National de Région de Paris)、指揮はウイーン生まれのグシュルバウアー(Theodre Guschlbauer)、懐かしい名前だ。
曲目は:
ヴェーベルン(Anton Webern)のパッサカリア
コダーイ(Zoltan Kodaly)のハーリー・ヤーノシュ
ドヴォルザーク(Antonin Dvořák)の交響曲第6番
を組み合わせた心憎いプログラムを楽しませてくれた。
日本ではあまり馴染みの無いオケだが、中欧的な素朴な香り、好感のもてる響きでとくにドヴォルザークが好演だった。グシュルバウアーの手腕だろう。
このテーマでのコンサートあと2日間催されるが東部地方への旅行で見送りとした。