思うこと「100の機器に100の喜びあり」
 
脇田 隆夫


7年前井上名誉会長ほか3
4名が集まり,良い音で音楽を聴こうと市民会館視聴覚教室に機器とCDを持ち寄って始めたのを嚆矢として、今では月2回の例会では20名以上が集まり,立見席がいるほどの盛況です。

例会では午前中2名が発表,テーマは全くの自由,ソフトでの音楽ジャンルもクラシックが主流ですがお気に召す侭、ハードでは自作のSP,アンプ、トランスポート,DAC,コード、インシュレーターなどの披露があります。アナログも人気です。

お昼は近くのお決まりの食堂でビールも入って音楽とオーデイオ談義,平均年齢は多分60歳は超えており、人生の達人だけに話題は尽きない。食事が終わると三々五々別れ、自慢のあるいは悩める装置の点検に相互に自宅訪問のはしごが続きます。

時には、仲間で力を合わせてのオーディオコンサート、生の演奏会を通じパブリシティにも心がけ、これが新入会員の誘いにもなっております。白馬にあるウェスタンのあるペンションは私達のハイマートで春、秋のオーディオ旅行も恒例になっております。

以上の様に当会は世間にあまり例のないオーディオにも強い音楽ファンの集まりですが、特筆すべきは例会での発表内容にも、持参した自作のハードにも欠点をあげつらう人が一人たりともいないこと、又各人の装置にも批判がましい物言いをする人がいないことで和気藹々の集いとなっております。もちろん意見を求められれば別で的確な判断が得られます。生ぬるいと感じるむきもあるでしょうがこれが当会のポリシーです。

 「日本100名山」を選ぶにあたり、深田久弥は、山の品格、山の歴史、個性のある山を基準にしたという。そしてどの山が良かったと訊ねられれば「100の山の頂きに100の喜びあり」と答えたと言います。

 当会のメンバーが使いこんでいる機器はそれぞれが永年のひたむきな努力と試行錯誤によってようやく辿り着いているものであり、そして愛聴している音楽、演奏は豊かな見識に裏打ちされ、おのおのの窺がいしれぬ感性と個性によって選んでものであることが最近少し判ってきました。少しの差は大きな差であることを痛感し、実はこの会は楽しくもあり、恐ろしくもあるところです。この世界もまさに「100の機器(100の音楽)に100の喜びあり」と言えるのではないでしょうか。