音楽に関する本の紹介(1)
山本 一成

「西洋音楽史」(クラシックの黄昏) 

岡田 暁生 著

2005年
10月28日
 

  初版

 

2006年 
1月25日 

  4版

中公新書 1816
H19.3.31

 

最近は、中世、ルネッサンス音楽も遅ればせながらですが、しばしば聴いております.

「グレゴリオ聖歌」を基点とする西洋音楽の発展の歴史も興味が湧いてきます.

過去「音楽史」なる本を何冊か買い求めましたが,どれも専門的過ぎ、しかもそれぞれの時代の専門家が分筆していますので、専門的で詳細ですが初心者としては難しく読みきれませんでした.ところがこの本は、作者も意図しているように、西洋音楽史を川の流れのように捉え、中世からルネッサンス、バロック、古典派、ロマン派・・・等々

川上から川下へどのように影響し発展、変遷して来たかを平易に解いているので分かり易い書物です.厚さも薄く、直ぐに読みきる事が出来ます.何度か読み返すとより西洋音楽史の流れが理解できると思います.

 

尚,購入の後で知ったことですが、数ある音楽関連書の中で、昨年上期NO.1の売上の書籍だそうです.

 

<岡田 暁生> 1960年、京都生まれ。47歳。

 

現在京都大学人文科学研究所 助教授 文学博士。

他に「オペラの運命」( 中公新書・サントリー学芸賞)等が有り.

音楽に関する本の紹介(2)
山本 一成

「天から音が舞い降りてくるとき」
音楽のかなたにあるものU

梅津 時比古 著

2006年
8月4日

 

初版

東京書籍
H19.3.31

            
                                 

  毎日新聞の社会部の記者が,夕刊のコラム「音のかなたへ」として2002年から2006年まで連載されたものを纏めた短編集です.あとがきには作者の意図として「一篇一遍で扱った曲や文章、絵画などに、実際に触れていただく為のよすがとして・・・」あります。社会部の記者らしくなく、芸術各方面に精通して、その音楽エッセイは秀逸です.

とにかく読んでいただきたい本です。

 

再びあとがきの文章から

「言葉は音を含み、音も言葉を含んでいる.言葉の音につれて他の音も動き出し、音につれてさまざまな言葉も立ちあがる。双方が微妙に絡み合い、溶け合い、一体となる動きののなかに、色も誘われる。その動きの行く末を見つめることと、そこで語りえなかった言葉、聴き得なかった音,見ることの叶わなかった色を探すこととは、同義に思える.それらを確かめることによって、時とともに過ぎ去ってゆく音楽の感動を、より深く味わい、少しでも長く残るものとして刻印することが出来るのではないだろうか。・・・・」

 

一篇一篇読み終えると、情景が浮かぶが如く、余韻で心地よい気分になります。

ご希望の方本をお貸し致します.

 

<梅津 時比古> 1948年 鎌倉市生まれ。

 

早稲田大学第一文学部西洋哲学科卒.

現在、毎日新聞学芸部専門編集員。早稲田大学講師。

著書に「セロ弾きのゴーシュの音楽論」(芸術選奨文部化学大臣賞)等がある。