皆さん今日は ご参集ありがとうございます。 どうぞ、おくつろぎください。
◎1 Bob James and Earl Klugh “ONE ON ONE”
#1 “KARI” 1979 CBS Sony 35DP 10 6:27
KARI とは、カリオカ・・・地中海?の村の教会の鐘です。
最初に “ド・レ・ミ・ド” と鳴って、次に村人のオラショ・・・お祈りです。
グラミー賞のレコードです。 まだ LP 時代でした。
<1> お気軽に
音楽ファンの皆様のなかには、これからジャズに近づく方も、すでに色々な角度からアプローチ済みの方も
いらっしゃることでしょう。
もしジャズは難しいな、とお感じでしたら <ジャズへの接近法> なんて書物やら記事等を参照するより、エイヤッと飛び込むほうが手っ取り速いかもしれません。
大変失礼ながら私の場合はどうだったかを、この際は恥を忍んでお話しましょう。
小学校では、音楽の時間にお決まり教材の SP レコードは <金と銀>、<ロマンス、ヘ長調・ト長調> に運動会用 <天国と地獄>等、それに先生のオルガン練習による(勿論後に判った)バッハの二声のインベンションやら組曲。 それ以外はラジオだけの時代でした。
そしてある日、映画 {オーケストラの少女} を観て、やっと現場の様子が判りました。
当時の NHK 番組、日曜日の堀内敬三氏 {音楽の泉} にてクラシックを聴きました。
野球中継が雨で流れるとレコード放送で穴埋めしてくれるから、晴天を恨みました。
高校のナマイキ盛りには「民族音楽と大衆音楽を聴くべし」との某誌の教え、多いに
流行って放送で聴く機会の多かったアルゼンチン・タンゴにはまりました。
もちろん、ジャズも意識していました。 映画 {Glenn Miller物語} は学校をエスケープして観に行き、最初のMiles Davis の LP を学校のレコード・コンサートで聴きました。
その後社会人になり、ある日フランス映画 {大運河/ Gran Canal} を観て Modern Jazz Quartet が映画音楽を担当・・・この音楽にはかなりのショックを伴いました。
それから何回も中断したり、再発したり、乗り換えたり・・・・
◎2 The Modern Jazz Quartet “Scandinavia, April 1960”
#5 “VENDOME” CD 53012 2:27
ウ゛ァンドーム ・・・フランスの田舎町の名前です。
MJQ は私が本気でジャズに取りかかるキッカケになりました。
(映画オリジナルにしたかったですが、後の録音がよいものを選びました。)
<2> お近づき
最初に手に入れた音楽は、{母国語} すなわちマザーランゲージにたとえれば {母音楽} すなわちマザーミュージックに相当します。 これに対して防衛本能が働くことは理解できますが、新しいジャンルの発生とはマザーミュージックの多元化・多極化と同義であると解釈して、私はゴチャゴチャ複数共存を容認する安易な道を選びました。
今日のお話の趣旨としては、本来はジャズの定義から始めねばならないのですが。
それに時間を費やすのは得策ではないと考えました。 お配りしたプリントを後ほどゆっくり参照していただきたく存じます。 またパソコンをお持ちの方は、おなじ資料および関連資料をご参照頂きたく存じます。 市販のジャズ関係書物も参考になりましょう。
どのようにすれば、音楽とより深く <お近づき> の関係になれるか、は皆様が日夜ご努力なさっておられる通りです。 とにかくこちらから接近するだけです。 本とおなじで買って積んでおいても一向に距離は短くなりませんね。
そして耳にはいってもなかなか先に進みませんね。 同じものを繰り返し聴きまくっても飽きるだけだから、効果的な記憶方法が必要みたいですね。
ご存知のとおり、対象はイロイロな形態とか基本構造をもっています。 調性、楽器構成、序奏~主題~繰り返し~その回数~掛け合い~終わり方・・・・。 本体部分は、殆どが歌謡形式に準じて一回りの A+A' とか A+B などを変化させながら、一回あたり一分程度での繰り返しです。
これをジャズの世界では <(one) chorus> とか呼び、一曲のうち何回か現れます。
一回聞き聴き損なってもまた回ってくるので焦らずにもう一回。
自らが楽器に挑戦して合奏体験などを通して覚えてしまうのが最も効果的ですが、簡単にはまいりません。 ある程度の数回を聴いて記憶するのが、最適な方法のようです。
LP 時代には盤がスリ減るのを嫌って、カセットに取って繰り返し聴いたものです。
既知の曲の方が皆様がより安心して聴いておられる様子から、鑑賞とは聴いたものと
記憶とを結合して完成するものらしいと理解しております。
◎3 Fourplay “Fourplay” #8 “MIDNIGHT STROLL” 1991 Warner WPCP 4463 4:44
CD が出始めた 1984年頃は、ジャズ関係の CD 化が遅れて
フュージョン関係が先行、必然的に傾きました。 そしてその頃、
なんとクラシックとジャズの LP を殆ど整理したのです。 大した枚数ではありませんが。
結果的には脱皮効果、つぎつぎにフュージョン・グループを <開拓> しました。
Earl Klugh, Bob James, Larry Carlton・・・・・
<3> 何を聴きましょう
究極の課題ですね。 対象は無限、全部カバーしたら当然身がもちません、テキトウに
気に入った物を選ぶことになります。 おまかせします。
古い方から順に掛かる必然性は全くありません。 それでは終わらないかも。
途中からでも、逆コースでもよいです。 適当にツマミ食いしても、またうまくいかなければ店じまいするもよし。 気楽に試行錯誤しながら進めたいですね。
◎4 Larry Carlton “Discovery” #4 “DISCOVERY” 1987 MCA 32DX-766 5:24
トンカラ・・・・バンド関係者は逆読みの習慣があります。 ピアノ→アノピ、ベース→スーベ、
ラリー カール トン →トン・カ・ラ です。 ロック系にもバラードにも強いトンカラ、
メロディックなアルバムは、もはや中間音楽の様相でした。
<4> 偶然も努力のうち
私のいくつかの体験にて失礼します。
一人でシコシコやっていくのは結構辛いです。 同じ山道を歩く人と助け合いたいです。
フュージョン開拓の初期、同時に私の姉も模索していたのですね。 「これ、いいわよー」が Dave Grusin (kb)/ Lee Ritenour (g) でした。
同様に会社の先輩から Bob James (kb) を、若い人からはFourplay (group) 教えて頂きました。 このような共同戦線による近道もあります。
ある日会社の帰りにモヤモヤして、駅前の例の遊技場にて気晴らししたら大勝ちして、景品カウンタにて「ジャズありませんか?」では Joe Sample (p) のカセットを入手しました。
店頭で見つける以前にサンプル・・・その名前・・・が飛び込んできた訳で、早期に発見とはラッキーでした。
◎5 Joe Sample “Carmel” #6 “MIDNIGHT AND MIST” 1979 MCA DIDX-384 6:51
元気の出る・・・BGM には使いにくい Joe Sample です。
実は1975年に、Ray Brown (b), Sherry Mann (ds) と一緒にトリオを組んで
“The Three” というアルバムを作る程のジャズの実力者だったのです。
ある秋葉原のオーディオ販売店、行くと何時も似たレコードが鳴っていてシビレている様子の販売担当のお兄さんがいました。 しばらく一緒に聴いて思わず「これ、いいなぁ」。
ジャケットを見せてもらい買ったのが、最初にご紹介した “ONE ON ONE” てす。
それが契機となって、Earl Klugh (g) および Bob James (kb) の単独アルバムを次々と集めて聴きまくりました。
ある古本屋で偶然見つけたのが David Benoit (p) のアルバムでした。
フュージョンで有名な GRP レーベルの新しい CD でした。 聴いてハマリました。
もし立ち寄らなかったら接近は遅れたことでしょう、これもラッキーでした。
クラシック味のアレンジ演奏スタイル、透明な高音タッチ、トリコになりました。
◎6 David Benoit “URBAN DAYDREAMS”
#10 “As if I could reach rainbow” 1989 GRP VDJ-1203 3:53
古本屋で入手した CD そのものです。 U.S.A. でもてはやされる理由が判るような、
もはや中間音楽です。 環境音楽とは別物。 奥さんは日本女性 Kei さんとか。
<5> 相乗効果は?
最初に入手した特定のグループまたはプレイャーのアルバムは、シッカリ聴き込んで、
共通のアレンジ・パターン等に対応する習慣がつきました。
そのようにすると次の、またその次の・・・・アルバムを聴く時には抵抗感がなく、初めて聴く各オリジナル曲がよりスムースに吸い込まれていきます。
この{包括的把握}の作業を私は <開拓> と称して結構時間を使いましたが、全てのアルバムを把握するに欠かせない工程になりました。 無意識のうちにパターン認識の円滑化か習慣づけられていたみたいです。
聴く音楽の範囲が拡大されると、聴き方および覚え方などをそれとなく工夫しますが、対応力がそなわると、<感動パターン> もそれとなく対応する・・・発見・拡張が可能みたいです。 ただし容量には限界があって、その一方では整理をせまられたり影が薄くなるものが生じるのはやむを得ません。 どちらを残すか選択を迫られることもあります。
聴く音楽が成長してもしなくても、とにかく受け入れたいですね。
そして、既に獲得した記憶および感動に、新たに獲得した記憶および感動が加わり、
いろいろな相乗効果をもたらします。 そして音楽生活がより豊なものになるでしょう。
◎7 Earl Klugh “LIVING INSIDE YOUR LOVE” #5
“Another time another place” 1976 EMI-Capitol CP28-1015 6:39
女性と一緒に聴く音楽ですって・・・私にはそのように聴こえませんでした。
毎日多忙だった私には一杯やりながらリラックスするBGM でした。
ありがとうございました。
以 上