1981年10月10日 オランピア劇場でのライブ録音。
(「わが歌 わがパリ わが人生 イヴ・モンタン・リサイタル‘82」 PHILIPS LP 2枚組より)
俳優として大活躍していたモンタンが、13年ぶりにステージに復帰(60歳)、しかも10月から1月にかけての
長期公演。その間、名だたるゲストが応援に駆け付け、興趣を盛り上げた。モンタンの歌と演技が一体となった
シヨウのすばらしさは、ファンを喜ばせ、大評判になった。 (以下 1面 25:30)
1.歩きながら JE VAIS A PIED (2:13)
フランシス・ルマルク作詞・作曲(1948年)。モンタンの創唱により、有名となる。モンタンはしばしば
この歌をシヨウのオープニングに使用。
原題「私は歩いて来た」を「私は歩いて行く」に変更。
シャンソン界カム・バックへの意気込みが伺われる。
2.心ならずも MALGRE MOI (朗読) (0:17)
詩人ジャック・プレヴェールの詩の朗詠。長い間ご無沙汰したファンへの弁明ととれる内容。
3.青春の決算 L’ADDITION (2:48)
作詞ジャン・ルー・ダバディー、作曲ミシェール・ルグラン(「シェルブールの雨傘」で有名)。
原題はレストランなどでいう「お勘定」の意、シャレた表現で人生がうたわれる。
4.マ・ジゴレット MA GIGOLETTE (2:20)
ジミー・ケネディ作詞、アルストーン作曲のアメリカの歌に、ジャン・ギゴがフランス語歌詞をつけた。
モンタンがかなり前からレパートリーにしているラブ・ソング。
5.闘うジョウ BATTLING JOE (3:37)
モンタンの十八番の一つ。ジャン・ギゴ作詞、ルイ・ガステ作曲。チャンピオンになったものの、
パンチを食らって両眼を失明し、淋しく忘れ去られてゆくボクサーの運命がうたわれる。
モンタンはこれを1945年に創唱したが、ここでは新しいアレンジによるみごとな演唱が聞かれる。
6.私の思いで JE ME SOUVIENS (1:53)
ルイ・アラゴンの詩集「未完のロマン」所収の無題の詩に、ブラジルの作曲家フィリップ・パウロが節づけした。
モンタンが1966年に創唱した。古い絵葉書にまつわる思い出がうたわれる。
7.失われし日々 CASSE-TETES (2:25)
ジェベ作詞、フィリップ・ジェラール作曲。弾圧に抗議するポリティックな意味を含んだシャンソン。
8.エリントン1941 ELLINGTON QARANTE ET ONE (2:56)
作詞作曲はジャン・コンスタンタン。デューク・エリントン楽団が演奏する「キャラバン」のレコードに聞き惚
れていた頃の、青春へのノスタルジーがうたわれる。
9.ゴドフレイ卿 SIR GODFREY (3:41)
ジャック・マルイユ作詞、ジョルジュ・リッフェルマン作曲の1958年の歌。この曲の主人公のゴドフレイ卿は、
実はスミスという強盗。これをうたう時、モンタンはシルクハットをかぶり、ステッキを手に持って、
あざやかな演技を披露する。
モンタンお得意の「見せるシャンソン」のひとつ。
間奏曲 ユベール・ロスタン作曲「毛沢東」(0:41)と共に退場。
以上