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往年の女流名ヴァイオリストを聴く(4)

ジョコンダ・デ・ヴィート(1907~1994)
と古典派音楽(2/3)

2013年11月10日
分科会資料
講師 : 霜鳥 晃

 

Gioconda De Vito

1907年北イタリア マルティナ・フランカのブドー園主の娘として生まれ、幼少期よりヴァイオリン弾きの天才ぶりを発揮、数々の賞を獲得し、14歳でパリ音楽院を卒業するが、性格は内向性の為、教職に就く等、演奏活動は余り行わなかった。
1942年35歳、満を持してローマでデヴュー、一躍「イタリアヴァイオリン界の女王」 として、また「遅咲きの名花」として楽壇の寵児となった。
デ・ヴィートの録音は主として、夫となるビッグネルとの縁で、1948年(41歳)から英EMIで始められたが、1962年(55歳)の絶頂期に突然引退してしまった為、録音はそれ程多くはない。

 

 

モーツァルト
ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216(CD EMI全集 ST録音)           (26:47)

モーツァルト19歳の時の作品。別名《シュトラスブルグ協奏曲》とも。第3楽章中間部に同地方の民謡調を使っている為、モーツァルト自身が命名。

第1楽章 Allegro ト長調 4/4拍子 ソナタ形式 (10:24) cadenza: プリンサイプ(?)
第2楽章 Adagio ニ長調 4/4拍子 変奏曲形式 ( 9:52) cadenza: (?)
第3楽章 Allegro ト長調 3/8拍子 ロンド形式 ( 6:31)  (録音:1959年 52歳)
指揮:ラファエル・クーベリック  ロイヤル フィルハーモニー管弦楽団

 

ベートーヴェン
ヴァイオリン・ソナタ 第7番 ハ短調 OP.30-2    (CD EMI全集MONO)    (26:24)

ベートーヴェン32歳の時の作品。独特の「ハ短調」だけに英雄的。劇的要素が強い。
第9番クロイツェル、最後の作  10番と共に「ベスト3」にあげられる。
時のロシア皇帝アレキサンダー一世に捧げられ、時に「皇帝」とも呼ばれる。

第1楽章: Allegro con brio   ハ短調 4/4拍子 ソナタ形式    (7:52)
第2楽章: Adagio cantabile 変イ長調 4/4拍子  3部形式    (9:51)
第3楽章: Scherzo (Allegro)  ハ長調 3/4拍子 複3部形式    (3:24) 
第4楽章: Allegro   ハ短調 2/2拍子 ロンド形式    (5:17)
                 (p) ティート・アプレーア    (録音:1956年 49歳)

ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61 (CD 伊DYNAMIC MONO) (45:42)

デ・ヴィートはこの曲を大変好み、演奏回数も多く、EMIにレコーディングする計画であったが、最終には至らなかった。
今回の未発表の記録(LP)は、デ・ヴィート家の所有物として、マルティナ・フランカの音楽基金によるパオロ・グラッシィ財団に保管されており、同財団の許可を得て発表の機会を得た。
このレコードのジャケットには、恐らくデ・ヴィート自身のブロック文字で“第2楽章が遅すぎる”と書かれている。
トリノでの1950年代のライブ録音と思われるが、指揮者,オーケストラ、録音月日は特定できない。音の修復には400か所に及ぶマニュアル修正を行った。
(ライナーノートより和訳・要約)


第1楽章: Allegro ma non troppo ニ長調 4/4拍子 ソナタ形式 (25:22) cadenza: 不明
第2楽章: Larghtto         ト長調 4/4拍子 変奏曲形式 (10:24)  cadenza: 不明
第3楽章: Allegro           ニ長調 6/8拍子 ロンド形式 (9:56)  cadenza: 不明:
(cadenzaは少なくともクライスラーやヨアヒムの作ではない。冒頭部分を聴き比べてみましょう)
                               

 

以上