AAFC

往年の女流名ヴァイオリニストを聴く
第10回

その2  ローラ・ボベスコ と
古典派音楽、ロマン派音楽 (全2回)

2014年12月23日
分科会資料
担当 : 霜鳥 晃

 

Lola Bobesco (1921-2003 82y) (本人申告では1926年生れ)

 ルーマニア出身、第2次大戦後ベルギーに帰化。パリ音楽院で学び、15歳でベルギーのイザイ・コンクール(世界3大コンクールの一つエリザベート国際コンクールの前身)で第7位に入賞(優勝はD.オイストラフ)、最年少入賞者として注目を浴びた。
コンセール・イザイを主宰し、仏伊の古典音楽の権威であり、当時のベルリン・フィルの女性ゲスト・ソリストとして最多出演回数を誇るほどの人気ヴァイオリニストの一人であった。
演奏内容は、フランス風の上品な雰囲気が身上であり、女流ヴァイオリニスト特有の優雅な演奏は多くのファンを魅了して離さなかった。その繊細な演奏内容は特に日本人好みでもあったようで、日本の一部の熱烈なファンが中心になり、1980年初来日公演を実現させた。以後13年間に8回も来日し公演を開いた。
今回はボベスコを代表する名演の中から、ヴィオッティの協奏曲2曲、フランクのソナタを中心に、一部映像を交えお楽しみください。

1.ヴィオッティ (1753-1824 71y Giovannni Battista Viotti )

 ハイドンより21年後、モーツァルトより13年早くイタリアの寒村に生まれた名ヴァイオリニスト、作曲家。
 すぐれた演奏家として一世を風靡したばかりでなく、すぐれた弟子を数多く世に送りだし、コレルリやタルティーニの築いたイタリアヴァイオリン演奏の伝統を守り育てたことにより「近代ヴァイオリン奏法の父」と呼ばれる。

ヴァイオリン協奏曲 第23番 ト短調           LP Philips (28:45)

29曲あるヴィオッティのヴァイオリン協奏曲の中でも、第22番に次いで多く演奏されるが、録音は少ない。
ヴァイオリン修習生にとっては、課題曲だけによく演奏される。ボベスコ自らカデンツァを作曲。

第1楽章  Allegro (Cad.E.Sauret) (13:48)
第2楽章  Andannte (4:45)
第3楽章  Allegro (Cad.Bobesco) (10:12)  

指揮:クルト・レーデル  管弦楽:ライン・パラティナ国立管弦楽団
録音:1980年 59歳

2.モーツァルト(1756-1791 35y Wolfgang Amadeus Mozart)             

ヴァイオリン・ソナタ 第34番 変ロ長調  K.378  CD philips (廃盤) (19:50)

43曲あるモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの中でも最も名高い作品のひとつ。同世代の女流名ヴァイオリニストはこの名曲を録音していない。ボベスコはこの曲の他に第28番ホ短調K.304,第40番変ロ長調K.454を録音している。

第1楽章  Allegro moderato           (8:54)
第2楽章  Andante sostenuto e cantabile  (6:40) 
第3楽章  Rondeau (Allegro)          (4:16)

ピアノ:ジャック・ジャンティ 録音:1981年 (60歳)  新座市民会館

3.ブラームス  (1833-1897 63y Johannes Brahms)

ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77 から 第1楽章 冒頭部分、中間部分
                     映像(海外)(8:57) 録画:1980年代

4.サン・サーンス  (1835-1921 87y Charles Camille Sant-Saens)

ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 op.61 から 第3楽章 終盤 映像(来日) (5:50)
                                           録画:1980年代

本曲の録音は同世代の女流名ヴァイオリニストの中ではボベスコのみ。
 ガラティ指揮 ブカレスト放送o 1979年 ELECT (廃盤)
 ハンス・ミュラー・クライ指揮 シュトゥットガルト放送so 1961年 Meloclassic(タワーレコード)

5.フランク  (1822-1890 68y Cesar Franck 仏←ベルギー)

ベルギー出身、パリ音楽院で学び、作曲家を志望してフランスに帰化。しかし当時のパリの音楽界は外面的で内容のないオペラの全盛時代で、フランクのシリアスな作品は全く世間から受け入れられなかった。失望したフランクはバッハのオルガン曲に救いを見出し、教会のオルガン奏者をつとめながら、一人黙々と自分の信念を曲げずに作曲を続けた。交響曲、交響詩、ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏曲、ヴァイオリン・ソナタ等それぞれ一曲ずつを残している。

ヴァイオリン・ソナタ イ短調                  CD Philips (28:31)

数あるヴァイオリン・ソナタの中で、最も人気がある(音楽之友社調べ)フランクの代表作。フランク64歳の時、後輩の名ヴァイオリニスト,作曲家でもあるイザイの結婚式祝いに作曲され、イザイの積極的な演奏活動により広まった。
フランク独特の「循環形式」(第1楽章の主題が形を変え他の楽章で繰り返される)が特徴。
メロディの美しさから、チェロ・ソナタやフルート・ソナタにも編曲されている。

第1楽章  Allegretto ben moderato       (6:29)
第2楽章  Allegro – Quasi lento - Tempo  (8:27)
第3楽章  Recitativo (Fantasia)         (7:32)
第4楽章  Allegretto poco mosso       (6:03)

ピアノ:ジャック・ジャンティ 録音:1981年 (60歳)  新座市民会館

6.ヴィオッティ  

ヴァイオリン協奏曲 第22番 イ短調      LP Philips (30:48)

29曲あるヴィオッティのソナタの中で最も有名。べートーヴェンのヴァイオリン協奏曲にも影響を与えたという。
ブラームスはベートーヴェンの協奏曲よりもこの曲を好み、ブラームスのピアノ、ヨアヒムのヴァイオリンで何回も合奏を楽しんでは、その度に感激していたという。
往年の女流名ヴァイオリニスト中ではジョコンダ・デ・ヴィートが1953年の録音を残している。

第1楽章  Moderato (Cad.Ysaye)   (15:35)
第2楽章  Adagio (Cad.Ysaye)     (7:33)
第3楽章  Agitato Assai         (7:40)

指揮:クルト・レーデル  管弦楽:ライン・パラティナ国立管弦楽団
録音:1980年 59歳

以上