AAFC

第13回 往年の女流名ヴァイオリニストを聴く

ミシェル・オークレールと
バロック音楽・古典派音楽
 その1 (全2回)

2015年7月12日
分科会資料
担当:霜鳥 晃

 

Michele Auklair(1924.11-2005.6 80y) 

パリ生まれ。6歳からヴァイオリンを始め、パリ音楽院に入学、ジュール・ブーシュリ (ヌヴー、ボベスコ、シェリング等も師事)に師事し、後にジャック・ティボーの教えも受けたが、ティボーは彼女の才能を愛で、同院を首席で卒業するにあたっての卒業演奏では自ら指揮を買って出たという。

1943年、18歳の時にロン=ティボー国際コンクールで優勝し(ティボー大賞)、以後フランス国内外で実績を積む一方、ティボーの助言でカメンスキーやパシュカスに師事し、また一時期メニューインから薫陶を受けたりもした。

1945年(20歳)、ジュネーブ国際コンクールで第1位。戦後、1951年(26歳)にミュンシュに招かれ、渡米して成功を収めた。

1958年(33歳)の訪ソではチャイコフスキーの協奏曲で絶賛を博すなど、フランス国内外で演奏活動をする一方、1950年代後半から60年代前半に掛けて、数こそ少ないものの何枚かの録音も行ったが、左手の故障のため39歳頃早々に現役を引退し、結婚して家庭生活に入った。その後は、パリ音楽院等で教鞭を執るなど後進の指導にあたり、日本でも1977年(昭和52年)に桐朋学園に招聘されてマスタークラスを開いている。2005年6月にパリで死去。

1.モ-ツァルト  (1756-1791 35y)           

ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 トルコ風 K.219
                     第3楽章から(映像)・・・・・・・・・・(4:50)

                        録画 1963年 (38歳)

ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(12:35)

第1楽章  Allegro 4/4   ソナタ形式            (8:49)
第2楽章  Andante cantabile 3/4 イ長調
                 展開部を欠くソナタ形式    (7:03) 
第3楽章  Rondo (2/4 Andante grazioso
                – 6/8 Allegro ma non troppo)  (7:09)

  指揮: マルセル・クーロー 
         シュツットガルト・フィルハーモニー管弦楽団
      録音:1961年 (36歳)

2.ベートーヴェン (1770-1827 56y)

ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 「春」 op.24 (mono)・・・・・ (20:36)

第1楽章  Allegro              4/4 ソナタ形式   (7:12)
第2楽章  Adagio molto espressivo   変ロ長調 3/4    (5:00)
第3楽章  Scherzo (Allegro molto)    3/4 複合三部形式 (1:08)
第4楽章  Rondo (Allegro ma non troppo) 2/2        (6:07)

ピアノ:ジュヌヴィエーヴ・ジョワ
録音:1957年 (mono) (32歳)
    

3.ルクレール (1697-1764 67y Jean-Marie Leclair )

仏リヨン生まれ。後期バロック音楽の作曲家。18世紀フランスにおけるヴァイオリン演奏のヴィルトーゾ。
フランス=ベルギー・ヴァイオリン楽派の創始者と見做されている。
作曲はヴァイオリン・ソナタ、ヴァイオリン協奏曲等多数ある。

ヴァイオリン協奏曲 イ長調 op.7-6   (mono) ・・・・・・・・・・・・ (18:36)

戦後のバロック音楽の復興に大きな役割を果たした指揮者、カール・リステンパルトと共演したオークレールの演奏は、当時はまだあまり知られていなかったルクレールの協奏曲の魅力を 世に知らしめた。
これは彼女の1950年代を代表する録音。

第1楽章  Allegro ma non presto        (8:59)
第2楽章  Aria grazioso non troppo adagio  (4:16)
第3楽章  Giga allegro              (5:21)

指揮:カール・リステンパルト
      ザール室内管弦楽団
  録音:1950年代 (30数歳)

4.J.S.バッハ  (1685-1750 66y)

通常「ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ」と呼ばれているが、通奏低音にオルガンを用いた本演奏は大変珍しい。しかもオルガンの名手マリー=クレール・アランとの若き日のコラボだけに注目される。
本曲集はバッハのケーテン時代(1771~1723)の作とされ、伝統的なトリオ・ソナタから脱却し「デュエット」の形式を試行したといわれている。(尤もヴィヴァルディにもヴァイオリン・ソナタ イ長調 OP.2-2がある)
全6曲、長調3曲、短調3曲からなるが、第6曲を除いて全て 緩-急-緩―急 の教会ソナタ形式をとる。

ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第1番 ロ短調
                          BWV1014 (mono)  (12:20)

第1楽章  Adagio   (4:05)  
第2楽章  Allegro   (2:49)
第3楽章  Andante  (2:34)
第4楽章  Allegro   (2:31)

ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第4番 ハ短調
                          BWV1017 (mono)  (14:51)

第1楽章のシチリアーノ風舞曲は「マタイ受難曲」第47曲の名アリア「憐れみたまえ、わが神よ」 と相似し親しみやすい。

第1楽章  Largo - Sicilienne   (2:52)  
第2楽章  Allegro          (4:43)
第3楽章  Adagio          (3:27)
第4楽章  Allegro          (3:36)

ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第6番 ト長調
                          BWV1019 (mono)  (14:38)

この曲のみ、5楽章からなり、急―緩―急―緩―急 の形式をとる。
第3楽章は通奏低音が単独で演奏される。

第1楽章  Allegro    (3:53)  
第2楽章  Largo     (2:02)
第3楽章  Allegro    (2:18)
第4楽章  Adagio    (2:43)
第5楽章  Allegro   (3:23)

オルガン:マリー=クレール・アラン (30歳)
   録音:1956年 (31歳)
  

以上