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ブルース系モダンジャズ曲例のご紹介

2016年8月28日

分科会資料
担当:宇多 弘

 

<< あらまし >>

ジャズとブルースは不可分の関係にあると言っても過言ではないでしょう。 デキシーランド・ジャズからスムース・ジャズまでの何処かで現れていますね。 Wikipedia (抄訳) によると・・・

『ブルース (Blues) は、米国深南部でアフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽のひとつ、またはその楽式。 19世紀後半頃に米国深南部で黒人霊歌、フィールドハラー (労働歌) などから発展したものと言われている。 (中略)本来の発音は “ブルーズ” [blú:z]である。』 とあります。

それでは、いくつかのモダン・ジャズによるブルース曲をご紹介しましょう。

◎ Chico Hamilton Quintet “Featuring Buddy Collettes”
#9 <Walking Carson Blues> (6:16)
    Buddy Collette (fl,as,ts,cl), Fred Katz (cello), Jim Hall (g), Carson Smith (b), Chico Hamilton (ds)
    Aug. 4&5, 1955    Pacific Jazz   PFJ-1209     TOCJ-6114

◎ Bill Evance “New Jazz Conceptions”
#11 <No Cover, No Minimum> (7:30)
    Bill Evance (p), Teddy Kotick (b), Paul Motian (ds)
    Sep. 27, 1956     Riverside     RLP 12223     UCCO-99078 mono

◎ Chico Hamilton Trio “Introducing Freddie Gambrell with Ben Tucker”
#2 <Reservation Blues> (4:53)
    Chico Hamilton (ds), Freddie Gambrell (p), Ben Tucker (b)
    Mar. 24&25,1958    WP-1008    (Kimberly-2019)  TOCJ-5366

◎ Red Garland “At the Prelude”
#6 <Prelude Blues> (5:41)
    Red Garland (p), Jimmy Rowser (b),Specs Wright (ds)
    Oct. 2, 1959     “Prelude” NewYork  Prestige-7170  UCCO-99066

<< 影響をうけた作品例 >>

ここで一息いれましょう。 黒人霊歌、フィールドハラーの影響を、すなわち間接的にはブルースの影響を受けたと思われる作曲家の作品例が幾つか連想されます。 例えば・・・

◆ フォスター (Stephen Foster 1826~1864)

オハイオ川の蒸気船が行き交う職場は、南部の黒人音楽や荷揚げ作業人夫の労働歌の環境など、彼の当時の楽曲作品では黒人奴隷の苦しみに共感を示している。(Wikipedia より抄訳)
“故郷の人々 (スワニー河)”、 “オールドブラックジョー” 等がブルース見たいに感じられます。

◆ ドヴォルザーク (Antonin Leopold Dvořák 1841~1904)

交響曲第9番ホ短調作品95 『新世界より』の第2楽章のテーマに感じられます。Wikipediaを参照すると・・・
「アメリカの黒人やインディアンの民族音楽の旋律を多く主題に借りている」 という風にいわれることがあったが、これは誤解である。 それはドヴォルザーク自身が友人の指揮者オスカル・ネドバルへの手紙に書いていることでも明らかである。 その中で彼はこう言っている。
”私がインディアンやアメリカの主題を使ったというのはナンセンスです。 嘘です。 私はただ、これらの国民的なアメリカの旋律の精神をもって書こうとしたのです” と。 (出典: Wikipedia)

◎ Paul Desmond “First Place Again”
#3 <2 Degrees East, # Degrees West> (7:29)
    Paul Desmond (as), Jim Hall (g), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)
    Sep. 5/6/7, 1959  Warner Bros    28P2-2482   (WPCR-13185)

◎ David Benoit “Letter to Evan” --- Special Guest : Larry Carlton
#11 <Blues At Sunset> (4:21)
    David Benoit (p), Larry Carlton (g), Steve Bailey (b), Terri L. Carrington (ds)
    Aug. 12, 1992    GRP         GRD-9687   MVCR-121

◎ Branford Marsalis “I Heard You Twice The First Time”
#2 <B.B.'s Blues> (10:09)
Branford Marsalis (as), B.B. King (g/vo), Kenny Kirkland (p), Robert Hurst (b),
    Jeff “Tain” Watts (ds)
    1992         Sony Music Entertainnment Inc.  SRCS 5976

以上