1 本日のプログラム
- バレエ「ジュエルズ」抜粋 音楽フォーレ、ストラヴィンスキー、チャイコフスキー、振付バランシン
- バレエ「春の声」音楽ヨハン・シュトラウス、「モノトーンズI」音楽サティ、「シルヴィア」抜粋 音楽ドリーブ、以上振付アシュトン
2 バランシン
ロシアに生まれ後年アメリカで活躍した20世紀の偉大な振付家。彼の創作するバレエは、物語性を除去し、鋭角で研ぎ澄まされた技術とバランス及び速度をもった踊りで表現するもので、新しいバレエの方向性を示すものとなった。
1904年ロシア サンクトペテルブルグで生まれる。父グルジア出身のオペラ歌手及び作曲家。バレエ好きの母の勧めでバレエを習う。9歳から帝室バレエ学校。17歳で卒業後ペトログラード音楽院に入り、ピアノと音楽理論を学ぶ。2年後バレエ団の一員となり、すでにいくつかの振付も行った。
1924年パリでの公演時ディアギレフから彼のバレエ・リュスに加わるよう依頼された。
バレエ・リュス時代の振付作品
1925年「バラバウ」(音楽:リエティ)
1926年「パストラル」(オーリック)、「びっくり箱」(サティ)
1927年「牝猫」(ソーゲ)
1928年「ミューズを率いるアポロ」(ストラヴィンスキー)
1929年「放蕩息子」(プロコフィエフ)
ディアギレフの死後欧州各地のバレエ団で振付。
1933年アメリカの若い富豪でバレエ団創設を計画していたカーシュテインの招きでニューヨークに移る。翌年初アメリカン・バレエ・スクール開設。
1930年代から40年代ブロードウェイ及びハリウッドでミュージカル、映画の仕事も行う。
1946年ニューヨークでバレエ・ソサエティ創設。1948年よりニューヨークシティバレエとなる。
1955年「くるみ割り人形」を振付。
1967年4月「ジュエルズ」初演
1983年4月ニューヨークで死去(79歳)
バランシンは生涯に400を超えるバレエを制作したが、他の主なものは次の通り;
妖精の接吻(1936年 音楽ストラヴィンスキー)
カルタ遊び(1937年 音楽ストラヴィンスキー)
メリーウィドウ(1943年 音楽レハール)
ノルウェーの歌(1944年 音楽グリーク)
テーマとヴァリエーション(1947年、1970年 音楽チャイコフスキー組曲第3番)
オルフェウス(1947年 音楽ストラヴィンスキー、装置イサム・ノグチ)
シンフォニー・イン・C(音楽ビゼー)
ラ・ヴァルス(1951年 音楽ラヴェル 「高雅で感傷的な舞曲」)
交響曲スコットランド(1952年 音楽メンデルスゾーン)
アゴン(1957年 音楽ストラヴィンスキー)
真夏の夜の夢(1962年 音楽メンデルスゾーン)
舞楽(1963年 音楽黛敏郎)
瞑想曲(1963年 音楽チャイコフスキー 「懐かしい土地の思い出」から)
フーケアズ?(1970年 音楽ガーシュウィン)
ヴァイオリン協奏曲(1972年 音楽ストラヴィンスキー)
三楽章の交響曲(1972年 音楽ストラヴィンスキー)
ダヴィッド同盟舞曲集(1980年 音楽シューマン)
3 ジュエルズ
バランシンの物語のないバレエ。ニューヨークの宝石店ヴァン・クリーフ&アーペルとの交流がきっかけとなった。
エメラルド、ルビー、ダイアモンドの3つの部分からなっており、「エメラルド」にはフォーレの音楽が使われ、フランスの古典バレエへのオマージュとなっている。
「ルビー」は当時アメリカを本拠としていたストラヴィンスキーの1929年の作品「ピアノと管弦楽のためのカプリチオ」に踊りを付けたもので、アメリカの軽快なダンスの雰囲気も醸し出すものとなっている。
「ダイアモンド」はチャイコフスキー交響曲第3番の第2から第5楽章を使ったもので、自身の出身であるマリインスキー劇場の華やかな往時の魅力をよみがえらせ、革命前のロシア古典バレエへのオマージュとした。
エメラルド
全部で8つの部分からなっているが、本日はそのうち最初の2つを鑑賞します。
①前奏曲(音楽 フォーレ組曲「ペレアスとメリザンド」前奏曲)
出演:レティシア・ピュジョル、マチュー・ガニオ他
②糸を紡ぐ女(同上) 出演:レティシア・ピュジョル
ルビー
音楽はストラヴィンスキーの2番目のピアノ協奏曲。新古典主義時代の1929年に初演。連続して演奏されるが「プレスト」、「アンダンテ」、「アレグロ・カプリッチオ―ゾ」の3部分からなる。バランシンは、「プレスト」の部分を3つに分け全体で5つとした。
①アンサンブル 出演:マリ=アニエス・ジロ、他
②パ・ド・ドゥ 出演:オレリー・デュポン、アレッショ・カルボーネ
③アンサンブル
④パ・ド・ドゥ 出演:オレリー・デュポン、アレッショ・カルボーネ
⑤アンサンブル
ダイアモンド
音楽はチャイコフスキーの交響曲第3番ニ長調作品29「ポーランド」。
第1楽章を除く4楽章に振付けられているが、本日は第3楽章と第5楽章にあたる部分を鑑賞します。
①パ・ド・ドゥ 出演:アニエス・ルテステュ、ジャン=ギョーム・バール
②アンサンブル
以上 パリ・オペラ座バレエ
ポール・コネリー指揮 パリ・オペラ座管弦楽団
(ピアノ独奏ジャン=イヴ・セビヨット)
2005年10月パリオペラ座公演 OPUS ARTE(DVD)
4 アシュトン
英国のダンサー、振付家。格調高くウィットにも富んだ振付で、英国バレエの発展に大きな寄与をした。
1904年外交官の父のもとエクアドルで生まれ、バレエダンサーを目指し、マシーン、ランバートのもとで踊る。ランバートの勧めで振付も行う。
ロンドンでヴァロア・バレエ団の振付師となり、その後サドラーズウェルズ・バレエ、ロイヤルバレエと発展していく過程で中心人物となった。
1948年初めての3幕物「シンデレラ」を振付け
1952年「シルヴィア」を振付け
1955年デンマーク王立バレエのため「ロメオとジュリエット」振付
1960年「ラ・フィユ・マル・ガルデ」振付
1963年ロイヤルバレエの芸術監督、70年に退任。
1988年死去
5 春の声、モノトーンI
春の声 1977年 音楽ヨハン・シュトラウス二世
出演:崔由姫、アレキサンダー・キャンベル
モノトーンI 1965年 音楽サティ(「グノシエンヌ」よりドビュッシー編曲)
出演:エマ・マグワイア、高田茜、ドーウィド・トルゼンシミーチ
以上 エマヌエル・プラッソン指揮 ロイヤルオペラ管弦楽団
2013年2月ロンドンロイヤルオペラハウス公演 OPUS ARTE(BD)
6 シルヴィア
レオ・ドリーブ作曲、1876年パリオペラ座で初演された3幕のバレエ。初演時には注目されずほとんど忘れかけていたが、1952年にアシュトンの振付でリバイバルされた。
登場人物 シルヴィア:ディアナに仕える狩りの女神
アミンタ:シルヴィアに恋憧れる羊飼いの若者
エロス:恋の神
オリオン:悪役の狩りの神
ディアナ:狩猟、貞節と月の女神
①狩りの女神(シルヴィア及び8人の従者)
②ゆるやかなレント(同上)
③エチオピア人の踊り(オリオンの奴隷)
④ディヴェルティスマン
ピッチカート(シルヴィア)
アンダンテ・ヴィクトル・シメイスコ(アミンタ)
パ・ドゥ・エスクラ―ヴェ(やぎ)
ヴァリアシオン・ワルツ(シルヴィア、アミンタ)
ストレット・ギャロップ(全員)
⑤ディアナの神殿(終曲)
⑥エンデュミオンの幻影
出演 シルヴィア:ダーシー・バッセル、アミンタ:ロベルト・ボレ、
オリオン:ティアゴ・ソアレス、やぎ:イオーナ・ルーツ、ホセ・マルティン
奴隷:蔵健太他
グラハム・ボンド指揮ロイヤルオペラハウス管弦楽団
2005年12月ロイヤルオペラハウス公演 OPUS ARTE(BD)
以上
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