AAFC

バレエ名作鑑賞会 第5回  
19世紀の名作バレエ(プティパの業績)

2018年2月25日

分科会資料
担当 : 塚田 繁

 

1 本日のプログラム

・バレエ「ドン・キホーテ」より 音楽:レオン・ミンクス
・バレエ「ラ・バヤデール」より 音楽:レオン・ミンクス
・バレエ「ジゼル」より     音楽:アドルフ・アダン
・バレエ「コッペリア」より   音楽:レオ・ドリーブ
・バレエ「白鳥の湖」より    音楽:チャイコフスキー
・バレエ「眠れる森の美女」より 音楽:チャイコフスキー

2 19世紀の名作

ドン・キホーテ

原振付:マリウス・プティパ、音楽:レオン・ミンクス、初演1869年ボリショイ劇場
楽しいバレエの代表。題名にかかわらずキトリとバジルが物語の中心。スペイン情緒満載。

あらすじ:騎士道物語を読むうちに気がおかしくなり、自らを騎士だと思い込んだドン・キホーテは、頭の弱い農夫サンチョ・パンサを連れて旅に出る。
バルセロナの広場で愛し合う宿屋の娘キトリと床屋の息子バジル。キトリの父親は二人の仲に反対で、美人の娘を金持ちのガマーシュと結婚させたい。そこへドン・キホーテが現れてキトリを憧れのドルネシア姫と思い込んだり、バジルの狂言自殺があったりとドタバタ騒ぎ。
最後はキトリとバジルのめでたく盛大な結婚式。

第2幕第2場「居酒屋」より

・バジルとキトリ
・エスパーダのヴァリアシヨン
・バジルの死
・フィナーレ

アメリカン・バレエ・シアター 振付:ミハイル・バリシニコフ 1983年
キトリ:シンシア・ハーヴェイ、バジル:ミハエル・バリシニコフ
ポール・コネリー指揮 アメリカン・バレエ・シアター管弦楽団

ラ・バヤデール

原振付:マリウス・プティパ、音楽:レオン・ミンクス 初演:1877年マリインスキー劇場
異国情緒に彩られた舞姫と戦士の悲恋。プティパの典型的な「白の場面」が有名。

あらすじ:古代インド。寺院の舞姫ニキヤと戦士ソロルの愛に大僧正は嫉妬の炎を燃やす。
マハラジャはソロルに娘ガムザッティとの結婚を薦める。
ソロルは出世の野望と娘の美貌に抗えず婚約してしまう。ガムザッティとニキヤは争いを起こし、ニキヤは仕込まれた毒蛇に噛まれる。
大僧正はニキヤに自分のものになれば解毒剤を渡すと持ち掛けるが、ニキヤは拒んで息絶える。
後悔にさいなまれたソロルは眠りの中(影の王国)で精霊ニキヤと再会し真実の愛を誓う。
ソロルはガムザッティと式を挙げるが、不実が神の怒りに触れ、寺院は崩壊し人々は下敷きになって死に絶える。

第1幕第1場「インドの寺院」から

・ソロルとニキヤのパ・ド・ドゥ

第2幕「ガムザッティとソロルの婚約式」から

・インドの踊り

第3幕第2場「影の王国」から

・影たちの登場

パリオペラ座バレエ 振付:ルドルフ・ヌレエフ 1994年
ニキヤ:イザベル・ゲラン、ソロル:ローラン・イレール
ミシェル・ケヴァル指揮 コロンヌ管弦楽団

ジゼル

原振付:コラリ、ペロー、プティパ 音楽:アドルフ・アダン 初演:1841年
ロマンティック・バレエの代名詞。パリではしばらくして上演されなくなったが、ロシアでプティパにより改訂され復活。20世紀になってバレエ・リュスにより西欧に帰還した。

あらすじ:村娘ジゼルは若者ロイスと愛し合っているが、ロイスは伯爵の身分を隠すアルブレヒトだった。森番ヒラリオンがロイスの正体を暴くと、病弱なジゼルはショックのあまり錯乱し死んでしまう。
「処女が結婚を目前に死ぬと精霊(ウィリ)になり、若い男にとりついて死ぬまで踊らせる」という言い伝え通り、ジゼルも暗い森の中でウィリの仲間になる。
ウィリたちはヒラリオンを踊らせて殺すが、アルブレヒトの番になると、今でも彼を愛するジゼルがかばう。二人が夢中で踊ると、やがて夜が明け、命を助けられたアルブレヒトだけが残る。

第1幕「ライン地方のある村」から

・ジゼルのヴァリアシオン
ジゼルの錯乱の場

第2幕「森の中のジゼルの墓」から

・ウィリたちの踊り
・ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥ

ロイヤルバレエ 振付:ピーター・ライト 2014年
ジゼル:ナタリア・オシポーヴァ、アルブレヒト:カルロス・アコスタ
ボリス・グルージン指揮 ロイヤルオペラハウス管弦楽団

コッペリア

原振付:サンレオン 音楽:レオ・ドリーブ 初演:1870年 パリオペラ座
ロマンティック・バレエ最後の作品。自動人形が出てくるが、中心は村娘スワニルダ。

あらすじ:陰気な老人コッペリウスの家の窓から、可愛い女の子(コッペリウス)が顔を覗かせる。
フランツは恋人スワニルダがいるのに、その女の子が気になる。
スワニルダはコッペリウスの家に忍び込み、コッペリアが人形だと分かると、服を取り替えてコッペリアになりすます。続いて忍び込んだフランツを見つけたコッペリウスは怒るが、眠り薬を飲ませてフランツの魂をコッペリア(のつもりが、変装したスワニルダ)に吹き込もうとする。
あたかも人形が動き出したかのように振舞って踊るスワニルダと、喜ぶコッペリウス。嘘はばれるが、最後はみんな仲直りをし、二人の結婚式の宴となる。

第1幕第1場「町の広場」から

フランツの仲間とコッペリア(ワルツ)

第1幕第2場「コッペリウスの工房」から

フランツとコッペリア(スワニルダ)-フィナーレ

第2幕「町の広場」から

・ハンガリーの踊り(チャルダッシュ)

キーロフ・バレエ 振付:オレグ・ヴィノグラードフ、1993年 マリインスキー劇場
スワニルダ:イリーナ・シャプシツ、フランツ:ミハイル・ザヴィヤロフ、
コッペリウス:ピョートル・ルサーノフ、コッペリア:エルヴィラ・タラソワ
アレクサンドル・ヴィリュマニス指揮 マリインスキー劇場管弦楽団

白鳥の湖

原振付:ライジンガ―(1877年 ボリショイ劇場)、プティパ/イワーノフ(1895年 マリインスキー劇場 音楽:チャイコフスキー

数あるバレエの中で最も知られたクラッシック・バレエ。初演時は失敗に終わったが、チャイコフスキーの死後プティパが復活した。通常白鳥オデットと黒鳥オディ―ルは一人のバレリーナが踊る。

あらすじ:王子ジークフリートは森の中で、悪魔(ロットバルト)に白鳥の姿にかえられたオデット姫と出会い、愛し合う。が、舞踏会に現れたオディ―ル(ロットバルトの娘)に騙され、結婚を誓ってしまう。
悲しむオデットは湖に身を投げる。後悔した王子も後を追い、二人は天国で結ばれる。

第2幕「静かな湖のほとり」から

・オデットと王子のパ・ダクシオン
4羽の白鳥の踊り

第3幕「王宮の舞踏会」から

・オディ―ルと王子のパ・ド・ドゥ-コーダ
・情景

ロイヤルバレエ 振付:プティパ/イワーノフ、2009年
オデット/オディ―ル:マリアネラ・ヌニェス、王子:ティアゴ・ソアレス
ヴァレリ・オヴシアニコフ指揮 ロイヤルオペラハウス管弦楽団

眠れる森の美女

原振付:プティパ 音楽:チャイコフスキー 初演:1890年 マリインスキー劇場
帝室マリインスキー劇場の名支配人ヴセヴォロジュスキーに依頼。クラッシック・バレエの最高峰。最も豪華なバレエ作品と言われている。

あらすじ:国王夫妻に待望の赤ちゃん(オーロラ姫)が生まれた。
盛大な洗礼式に妖精たちが集まるが、招待されなかったカラボスが怒って現れ「姫は16歳の誕生日に紡ぎ針に指を刺されて死ぬ」と呪いをかける。
リラの精が「死ぬのではなく100年眠り続ける」と予言をやわらげる。
百年後、眠りに落ちた城にやって来たデジレ王子の口づけで姫は目覚め、活気を取り戻した王宮で二人の結婚式が盛大に行われる。

第3幕「結婚式」全曲

・宮廷の踊り
宝石の踊り
青い鳥とフロリナ王女のグラン・パ・ド・ドゥ
長靴をはいた猫と白い猫
デジレ王子とオーロラ姫のグラン・パ・ド・ドゥ
フィナーレ

パリオペラ座 振付:ルドルフ・ヌレエフ 1999年
オーロラ姫:オレリー・デュポン、デジレ王子:マニュエル・ルグリ、
宝石(金):ジャン=ギョーム・バール、宝石(銀):マリ=アニュス・ジロ―、
フロリナ王女:デルフィーヌ・ムッサン、青い鳥:バンジャマン・ペッシュ、
長靴をはいた猫:ステファン・エリザべ、白い猫:レティシア・ピュジョル
デイヴィッド・コールマン指揮 パリオペラ座管弦楽団

参考CD:「ジゼル」カラヤン指揮ウィーンフィル(抜粋デッカ)、「コッペリア」アンセルメ指揮スイスロマンド(デッカ)、カラヤン指揮ベルリンフィル(組曲DG)、「白鳥の湖」デュトワ指揮モントリオール(デッカ)、プレヴィン指揮ロンドン交響楽団(EMI)、「眠れる森の美女」プレヴィン指揮、モントゥ指揮ロンドン交響楽団(Ph)

マリウス・プティパ

1818年マルセイユ生まれ、父はバレエ振付師、母は女優。欧州各地で公演、ベルギーへ。
1840年パリでダンサーデビュー。翌年ボルドーへ。振付も始める。
1843年マドリードの劇場所属。1846年倫事件でマドリードを去る。
1847年パリで再び不倫を起こし、サンクトペテルブルクに向かう。帝室バレエ所属。
1849年フランスよりジュール・ペロー来露、バレエ監督就任。
1858年ペロー帰国、1860年サン-レオン着任。
1862年最初の本格的な振付「ファラオの娘」初演。バレエ監督次席。
1869年ボリショイ劇場のために「ドン・キホーテ」振付
1871年公式に帝室バレエ監督となる。同年ミンクスもバレエ作曲家となる。
1877年「ラ・バヤデール」初演
1880年代 旧作の再演、踊りの追加等。湿疹発症。
1881年ヴセヴォロジュスキーが帝室劇場支配人に任命。1886年ミンクス解雇。
1890年「眠れる森の美女」初演。
1892年「くるみ割り人形」初演。
1894年「白鳥の湖」復活上演。イタリア出身のレニャーニが二役。
1898年「ライモンダ」初演。
1901年テリャコヴスキーが帝室劇場支配人となる。プティパの影響力排除に動く。
1903年旧作「皇帝カンドール」の改訂版公演
1910年クリミア半島のグルズフで死去。

プティパの主な振付作品(本日の演目以外)

パキータ    1847年 音楽:デルデヴェス、リアードフ
海賊      1858年 音楽:アダン、プーニ
青いダリア   1860年 音楽:プーニ
ラ・カマーゴ  1872年 音楽:ミンクス
盗賊      1875年 音楽:ミンクス
ぺレウスの冒険 1876年 音楽:ミンクス
雪の娘     1879年 音楽:ミンクス
エスメラルダ  1886年 音楽:プーニ
タリスマン   1889年 音楽:ドリゴ
青ひげ     1896年 音楽:シェンク
ライモンダ   1898年 音楽:グラズノフ
四季      1900年 音楽:グラズノフ
マジック・ミラー1903年 音楽:コレシュチェンコ (以上ウィキペディア英語版より)

以上    

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