序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold)全1幕:2時間40分
第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre)全3幕:3時間50分
第2日 『ジークフリート』(Siegfried)全3幕:4時間
第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung)プロローグ、全3幕:4時間30分
前回、6月の第2回から5ヶ月過ぎてしまいましたが、
今回は、『ワルキューレ』の第3幕と『ジークフリート』第1幕を上映します。
「ワルキューレ」(第3幕)のあらすじ
第3幕
第1場 天上の岩山。ワルキューレ達が天馬を駆って集まってくる。(ワルキューレの騎行)やがて最後にブリュンヒルデも現れるが、ワルキューレ達の驚いたことには、彼女は気を失った女を連れてきたのである。その女ジークリンデは意識を取り直したが、ジークムントを失った今、彼女にとって死よりほかには考えられない。しかしブリュンヒルデは、ジークリンデが身にヴェルズング族の後裔を宿していることを告げ、生きなければならぬと諭す。またジークムントの折れた剣を与えて、将来これを鍛えあげてそれをふるう人こそ胎内にいる子で、これこそ英雄ジークフリートと命名する。さらに近づくヴォータンの眼からジークリンデを逃れさせる。
第2場 ヴォータンが荒々しく登場しブリュンヒルデを探す。ブリュンヒルデは敢然と父親の怒りに立ち向かう。姉妹のヴァルキューレ達はブリュンヒルデの罪を許してくれと懇願するが、ヴォータンはブリュンヒルデを残して、他は去れと命じる。
第3場 ヴォータンとブリュンヒルデの長い、しかし感動的な対話となる。ヴォータンは彼の命に背いた娘を罰しなければならぬが、ブリュンヒルデとしては、ヴォータンの娘ジークリンデを救ったわけである。といってブリュンヒルデの反逆の罪は許されるわけにはいかない。ヴォータンとしては、自分の苦衷をも察してくれた最愛のブリュンヒルデの名誉だけは守ってやりたい。そこでヴォータンはブリュンヒルデの神性を剝奪するものの深い眠りにつかせ、その周囲に炎の壁を作って、この炎を越えて彼女を目覚めさせる勇者のみが彼女を妻とする事を許すようにする。ヴォータンが彼女に別れの接吻を与えると、ブリュンヒルデは静かに眠る。彼は娘を横たえ、楯をその上にかぶせる。そして岩山に登り、火の神ローゲを呼ぶ。大地から炎が燃え出し、ブリュンヒルデを包む。そして最後の別れを惜しむヴォータンの姿も燃え上がる炎のかげに見えなくなってしまう。(ヴォータンの告別と魔の炎の音楽)
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このあと、深い森の奥に逃れたジーリンデは男子を産み落として亡くなります。その子をニーベルング族アルベリッヒの弟ミーメが育てます。その子が英雄ジークフリートとして成人したところから、次の物語「ジークフリート」が始まります。
「ジークフリート」(第1幕)のあらすじ
第1幕
第1場 深い森の中。この近くでは、巨人ファフナーが大蛇の姿になって指輪を守っている。アルベルヒの弟ミーメが剣を鍛えている。彼は自分の息子として育て上げた勇敢なジークフリートが、その剣を使って大蛇を退治してくれたら、指輪をわが物にしようとたくらんでいる。そのためかつてジークムントが所有していた霊剣ノートゥングの破片を合わせて再び新しい剣を作ろうとするのだが、どうしても成功しない。そこへ狩の角笛の音がしてジークフリートが木の皮で縛られた大きな熊をとらえてきて、それをミーメにけしかける。さらにミーメの作った剣を手にとり、たやすく折り砕いてしまう。役立たぬとののしられミーメは泣き出してしまう。ジークフリートは水に映る自分の顔がミーメと全く違うので、本当の父や母のことを尋ねる。ミーメによるとヴェルズング族の娘ジークリンデはこの森に逃れてきて、男の子を生んで死んだという。ジークフリートが証拠を見せろとせまるので、ミーメはジークリンデが持っていた剣の破片のことを語る。ジークフリートは、すぐにそれを完全な剣に鍛え直すことを命じ、飛び出していく。ミーメは無理だと絶望する。
第2場 さすらい人の姿をしたヴォータンが現れる。ヴォータンはミーメに対し、3つの質問に答えてそれを宿泊の礼としたいという。もし答えられねば彼の首を進呈するというので、ミーメは3つの質問を発する。まず大地の下にはどんな種族が住んでいるかと問う。ヴォータンは、それはニーベルング族であると直ちに答える。第2の問いは、地上に住む種族は何かというもので、それに対して、巨人の国にファゾルトとファフナーの兄弟がいたが、指輪を争ってファゾルトはファフナーに殺され、そのファフナーは大蛇となって宝を守っているのだと答える。第3の問いは天上に住む種族についてであるが、天上のヴァルハラの城にはヴォータンが住み、トネリコの樹枝で作った槍を持っている、その槍の持ち主は世界を制することが出来ると言う。次にさすらい人は逆にミーメに3つの質問を出す。第1の問いは、ヴォータンの愛に背いた種族は何か、というのだが、ミーメはヴェルズング族のことを語り、ジークフリートこそはヴェルズング族の最強の男であると言う。第2の問いはジークフリートの使う剣についてであるが、ミーメはひとりの鍛冶屋が手に入れて秘蔵しているノートゥングこそ、それだと答える。第3の問いは、このノートゥングを鍛え直すのは誰か、というのだが、ミーメはそれに答えられない。ミーメは賭けに負け首を失わねばならないことになるが、ヴォータンは、お前の首はそのノートゥングを鍛え直すことができる恐怖を知らぬ男に預けることにする、と言って去って行く。
第3場 ミーメは遠くで恐ろしいうめき声が聞こえるので、大蛇が彼を食い殺しにきたのかと思い、恐怖にかられる。ジークフリートが帰ってくる。ミーメは自分の身を守るためにもジークフリートに恐怖というものを教えようとするが、ジークフリートには分からない。ジークフリートは自ら「鍛冶の歌」を歌いつつ、剣を鍛え上げていく。これを見ながらミーメは、ジークフリートが大蛇を打ち殺した後で、この若者に毒を飲ますより他ないと考え毒薬を調合します。ジークフリートはついに剣を鍛え上げます。
『ワルキューレ』第3幕(収録時期:2010年12月)
出演者
ヴォータン/ヴィタリー・コワリョフ
ジークリンデ/ヴァルトラウト・マイヤー
ブリュンヒルデ/ニナ・シュテンメ
ゲルヒルデ/ダニエレ・ハルブヴァンクス
オルトリンデ/カローラ・ヘーン、他
『ジークフリート』第1幕(収録時期:2012年10月)
出演者
ジークフリート/ランス・ライアン
ミーメ/ペーター・ブロンター
さすらい人(ヴォータン)/テリエ・ステンスヴォルト
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
演出:ギー・カシアス