AAFC

オペラ鑑賞会 第10回

ワーグナー ニーベルンクの指輪 第4回(全6回)

2018年12月23日

分科会資料
担当 : 清水 俊一
    塚田 繁

 

序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold)全1幕:2時間40分
第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre)全3幕:3時間50分
2 『ジークフリート』(Siegfried)全3幕:4時間
第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung)プロローグ、全3幕:4時間30分

 

今回は、先月に引き続き、『ジークフリート』の第2幕及び第3幕を上映します。
神々の長ヴォータンの思惑は英雄ジークフリートの活躍で見事に成就します。
そしてこの長大な物語の明るく輝かしい頂点に達します。
また、ワーグナー自身も4部作中最も人気を博すると期待していたようですが・・・

 

第2幕

第1場
夜の闇。大蛇ファフナーの洞穴(妬みの洞窟)の入り口の前。 ニーベルング族のアルベリヒが身を潜めて、いつかこの大蛇から黄金を盗もうと機会を窺っている。
さすらい人がやってくるが、アルベリヒはこれがヴォータンであることを見抜いて、ヴォータンが彼から指環と宝を奪ったことをののしる。
しかしヴォータンは、お前の恐れねばならないのは、他ならぬ弟のミーメであり、ミーメはファフナーを殺すことのできる若者を連れてくると警告する。
さらにヴォータンはファフナーにも警告を与え、命の危ないことを告げて、今のうちに宝を提供するほうがよいと教える。アルベリヒも、ファフナーが指環をくれさえすれば、身代わりとなって英雄と戦ってやろうと言うが、ファフナーは聞かない。

第2場
夜明けが近づき、ミーメがジークフリートを連れてやってくる。ミーメは大蛇の恐ろしさを語るが、若者は相手にせず、逆にミーメを追い払ってしまう。
ジークフリートはひとりもの思いに沈み、父や母のことを想像し、妻というものに憧れる。
朝の訪れ。(森のささやきの音楽)ジークフリートは芦笛を作って小鳥の鳴き声をまねるがうまくいかない。そこで角笛を吹く。洞穴のファフナーがその音で目を覚まし、洞穴から出てジークフリートと戦うが、霊剣ノートゥングで心臓を刺され、死んでしまう。
大蛇の熱い血で指先を火傷し、思わず指を口に当てる。この瞬間、彼は小鳥のさえずる言葉を理解することが出来るようになる。小鳥は彼に、「隠れかぶと」と指環のことを教えるので、ジークフリートは小鳥に礼を言って洞穴に入っていく。

第3場
アルベリヒとミーメが現れ、ファフナーの死んだのを知り、指環と「隠れかぶと」を獲得しようとたがいに言い争う。
ジークフリートが洞穴から出てくる。彼が財宝を手にするのを見て、ふたりのこびとは悔しがるが、恐れて逃げ去ってしまう。
小鳥はジークフリートに、ミーメに気をつけろと警告する。ミーメが戻ってきてジークフリートに毒酒をすすめる。ミーメのたくらみを知っているジークフリートは、一刀のもとにミーメを倒す。
遠くでアルベリヒの笑い声がする。ジークフリートはミーメの死体を洞穴の中に投げ入れ、その入り口を大蛇の死骸でふさぐ。
疲れた体を木陰に横たえ、ジークフリートは妻がほしいと小鳥に訴えると、小鳥は眠れるブリュンヒルデのことを彼に告げる。ジークフリートは小鳥を案内に立てて、彼女のところに出発する。

 

3

第1場
ブリュンヒルデが炎に囲まれて眠っている山の近くの荒野。嵐が吹きすさぶ。
ヴォータンが知の女神エルダを呼び起こし、エルダの助言を求めようとするが、エルダはまともに答えようとせず、ノルンやブリュンヒルデに尋ねよと言う。
反抗のためにブリュンヒルデを眠りにつかせたとヴォータンが明かすと、困惑したエルダは「反抗を教える者が反抗する者を罰するのか」と激しくなじり「私を智恵の眠りに閉じ込もらせよ」と口にする。
ヴォータンは神々の滅亡をむしろ望んでいるといい、自らの「遠大な構想」がジークフリートによって果たされることへの期待を一方的に語ってエルダを再び眠りにつかせる。

第2場
小鳥の案内でジークフリートがやってくる。小鳥はヴォータンを見て飛んで行ってしまう。ジークフリートはヴォータンに道を尋ねる。
ヴォータンは若者にいろいろの質問を発するが、急ぐジークフリートは先に進もうとする。ヴォータンは槍で道を遮ろうとする。ジークフリートは剣で、槍をふたつに打ち折ってしまう。
ヴォータンはここで神々の終末を悟る。ジークフリートに引導を渡されたヴォータン「行け!私にはお前を止めることはできない。」と告げ、立ち去る。ジークフリートは角笛を吹きながら炎の中に進み入る。

第3場
炎は消え、空は晴れわたる。ブリュンヒルデは、楯に覆われ眠っている。
ジークフリートは勇士が眠っているのだと思い、かぶとと鎧を取り去る。それが女性であることを知り、彼女の美しさに恍惚となる。
彼はその時初めて恐怖を感じるが、それに打ち勝って彼女に接吻する。目覚めたブリュンヒルデは太陽と神に(大仰に)感謝する。
目覚めさせたのがジークフリートであることを知ったブリュンヒルデは感動し、二人による長大な二重唱となる。一度は不安におののき、取り乱した姿を見せるブリュンヒルデだが、本能の赴くままに求愛するジークフリートについに応える。二人は声を合わせて愛の歓喜を歌い上げ、「輝ける愛! 笑っている死!」で結ぶ。

 

『ジークフリート』第2・3幕(収録時期:201210月)
出演者
ジークフリート(ヴォータンの孫)/ランス・ライアン
ミーメ(ニーベルンク族:アルベリヒの弟)/ペーター・ブロンター
さすらい人(ヴォータン)/テリエ・ステンスヴォルト
アルベリヒ(ニーベルンク族)/ヨハネス・マルティン・クレンツレ
ファフナー(巨人族:大蛇に変身)/アレクサンドル・ツィムバリョク
エルダ(大地の女神:ブリュンヒルデの母)/アンナ・ラーション
ブリュンヒルデ(ヴォータンとエルダの娘)/ニナ・シュテンメ
小鳥の声(ヴォータンの使い?)/リナット・モリア 

ミラノ・スカラ座管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
演出:ギー・カシアス

以上   

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