AAFC

オペラ鑑賞会 第11回

ワーグナー ニーベルンクの指輪
第5回(全6回)

2019年1月27日

分科会資料
担当:清水 俊一
   塚田 繁

 

序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold)全1幕:2時間40分
第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre)全3幕:3時間50分
第2日 『ジークフリート』(Siegfried)全3幕:4時間
3 『神々の黄昏』(Götterdämmerung)プロローグ、全3幕:4時間30

 

昨年2月にスタートした「ニーベルンクの指輪」、漸く最後の『神々の黄昏』にたどり着きました。
ワーグナーは当初、”英雄ジークフリートの死”として構想し、その前段してジークフリートの成長と活躍を描いた『ジークフリート』、ジークフリートの父母と配偶者の物語として『ワルキューレ』、そもそもの発端を説明するための『ラインの黄金』というように遡って構想を拡大していきました。

『神々の黄昏』には第1幕の前にプロローグが置かれ、これまで経緯が大地の女神エルダの娘・3人のノルンによって語られますので、前回までご覧にならなかった方にもストーリーが理解出来るようになっております。

「神々の黄昏」のあらすじ(1)

プロローグ

岩山に3人の運命の女神ノルンたちが黄金の綱を編んでいる。女神たちは編みながら、「ヴォータンの神聖な槍もジークフリートの剣ノートゥングで折られ、ヴォータンは、トネリコの神木を細かく切ってしまい、ヴァルハラの城の周りに薪として積み上げたが、いまにこれに火がつけられ、城は炎に包まれ、神々の黄昏が近づく」という。
女神たちはさらに、「火の神ローゲは、折れた槍でヴォータンから突き刺されるが、そのため火の海となり、トネリコの薪も燃えつくしてしまう」という。そうするうちに、運命の綱はもつれ、それを直そうと引っ張っているうちに、切れてしまう。女神たちもついに運命から見捨てられたとして、驚いて切れた綱で身体を縛り合い、母エルダの元にゆくため姿を消す。
夜が明けジークフリートとブリュンヒルデが馬をつれて登場、熱烈に愛を歌い続ける。そしてジークフリートは指環を抜いてブリュンヒルデの指にはめてやり、ブリュンヒルデは代わりに愛馬グラーネをジークフリートに提供する。ジークフリートはその馬に乗り、ブリュンヒルデにしばしの別れを告げて山を下りていく。(以下「ジークフリートのラインへの旅」と呼ばれる間奏曲)

第1幕

第1場 ライン河畔のギービヒ家の広間。家長グンター、その異父弟ハーゲン、妹のグートルーネが語り合っている。
兄弟はグートルーネの婿について話合う。ハーゲンの意見では、火を渡ってブリュンヒルデの眼を覚まさせることのできる勇士はジークフリートで、彼をグートルーネの夫にしたいというのである。そして兄弟は、ジークフリートの持っている宝を取り上げようと計画をねる。
グートルーネは恥ずかしがっているものの期待をしている。そしてハーゲンは、ここにジークフリートがやってきたら、過去の女性のことを忘れてします薬を飲ませ、ジークフリートをグートルーネに娶せ、代わりにグンターがブリュンヒルデを娶れと唆す。そこへ角笛が聞こえ、小舟に馬とともにライン河をジークフリートが下ってくる。ハーゲンは大声で彼を招く。

第2場 ハーゲンに迎えられてジークフリートが城内に進み、グートルーネに迎えられる。一戦を交えるか友誼を結ぶかというジークフリートの申し出に、グンターは戦いはやめて国も城も人民も彼に提供しようという。
ジークフリートは、財産はないが、剣を遺産とし、ニーベルングの財宝を大蛇の洞窟に放置し、隠れ頭巾と指環だけ持ってきたが、指輪はある女性に贈ったと語る。
やがてグートルーネが飲み物を持ってくる。ジークフリートは、この薬入りの杯を飲み干します。すると、ジークフリートは、薬の効き目通りに過去の女性のことをすべて忘れ、瞳を燃やしてグートルーネに愛情を感じはじめ、即座に求婚する。
グンターは、ブリュンヒルデを連れてきてくれて、彼女を自分の妻として与えてくれるならば、グートルーネを嫁にやろうと申し出る。ジークフリートは、それを快諾し、グンターと兄弟の契りを結ぶ。
ジークフリートとグンターは小舟に乗り込み河を下る。残ったハーゲンは全てが思惑通りとほくそ笑み、二人を嘲る。

第3場 ブリュンヒルデは岩山に座って指環に見入っている。そこへワルキューレのひとりヴァルトラウテがやってくる。
彼女は、父ヴォータンが旅人となって世界をさすらい、槍を勇士に折られてからは、天上のトネリコで薪をつくり城のまわりに積み上げ、機嫌の悪い日々を送っていたが、ある時、ブリュンヒルデの持つ指環をラインの乙女たちに返してやれば、神々の世界も平和になると言い出したので、このことをブリュンヒルデに告げにきたのだという。
ブリュンヒルデは、神々の幸福よりもジークフリートとの愛が大切だとして承知しない。ヴァルトラウテは空しく帰っていくが、谷間からジークフリートの角笛が聞こえてくる。しかし現われたのは頭巾を使ってグンターに変身したジークフリートであった。彼はグンターのためにブリュンヒルデを暴力で連れ去ろうとする。
ブリュンヒルデは、指環の魔力を頼りに身を守ろうとするが、指輪を奪われ気を失ってしまう。ジークフリートはノートゥングをブリュンヒルデとの間に突き立て、洞窟で夜を明かす。ジークフリートとしてはグンターとの誓いを守り通したことになる。

【出 演】
ジークフリート/ランス・ライアン
グンター/ゲルト・グロホウスキ
アルベリヒ/ヨハネス・マルティン・クレンツレ
ハーゲン/ミハイル・ペトレンコ
ブリュンヒルデ/イレーネ・テオリン
グートルーネ/アンナ・サムイル
ヴァルトラウテ/ヴァルトラウト・マイア
第一のノルン/マルガリータ・ネクラソワ
第二のノルン/ヴァルトラウト・マイア
第三のノルン/アンナ・サムイル

【バレエ】 イーストマン・バレエ・カンパニー
【合 唱】 ミラノ・スカラ座合唱団
【振 付】 シディ・ラルビ・シェルカウイ
【演 出】 ギー・カシアス

ミラノ・スカラ座管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)

以上   

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