「平本式スーパーステレオ(HSS)と

ネットワークオーディオ試聴」

AAFC エッセイ 探訪記
掲載日
2012/3/14
文  章
脇田 隆夫
 写真提供  

脇田 隆夫

 

 
  3月9日(金)の午後、冷たい雨のなか、山本さんのお誘いで平本氏宅のマンションに伺った。大柄な平本氏がにこやかに迎い入れてくださる。 オーディオルームは手入れの行き届いた10畳の応接兼居間。


  氏はステレオホールのHP、ラジオ技術、A&Vヴィレッジ等でHSSを提唱、最近ではネットワークオーディオも研究しておられる。もともとダイナベクターの故富成博士が考案したス-パーステレオを発展、改良して一段とホールの臨場感を再現しようとするものです。
  スーパーステレオとは単なる残響付加装置ではなく音場の補填装置なのです。 標準ステレオで失われた音場情報を周囲から補填する方式です。プロセッサーにより特定の周波数群に複雑なディレイをかけ、サブスピーカーから音出しをします。

 ホールの臨場感が得られ、メインシステムには全く手を加えることはない。しかしながらこのプロセッサー、調整がとても難しいし、おまけにダイナベクターでは既に生産終了。

   

  現AAFCでは愛用者は山本さんと小生の2名のみ。両名とも生前の富成博士を訪ね、なんと生産終了前にスペアの
プロセッサーもそれぞれ入手、生涯使えるよう万全を期しているファンです。
  ソースはCDをリッピングしたもの。聴かせていただいたのはオルガンから始まり、マーラー・ブルックナー等々の大オーケストラから室内楽、ヴァイオリン、ピアノ独奏あらゆるジャンル。最後に自家録音のコーラス。
  驚いた、スピーカーの前にホールが広がる、響きがある、透明感がある、空気感がある。ピアニッシモも聴き取れて美しい、そう音量を上げていないのにトッティの迫力には血がたぎる。思わず拍手をしてしまう。ウィンフィル、ベルリンフィル、チェコフィルとホールの違いもわかるようだ。会場で一番響きの良い席ではかくの如く聴こえるのでしょう。
  メイン装置TAD38㎝ウーハー、スコーカーはTADドライバーとマクソニックホーン、フォステックスホーンツイーターを自作金田式アンプでマルチドライブ。念入りな位相合わせで基本性能が素晴らしい。試みにプロセッサーを外してみて良く判る。コードは拘らず、インシュレーターも使わない。
  HSSの極意であるフロントサブスピーカーの発想、サイドサブスピーカ、リアサブスピーカーの位置、向き、音量、プロセッサーの使い方などを親切に教えて頂き大変勉強になった。
  リッピングCDはCDの音を遥かに凌駕することを実感、こちらも挑戦し甲斐があることが判った。
  実に有意義な訪問で瞬く間の3時間。帰りも雨足は強く、駅まで車で送って頂き感謝にたえません。
是非HSSの魅力を知って欲しいものです。                                            

以  上