遅まきながらのオーディオ開眼

2019年10月

[初めに]

「もはや戦後ではない」の一節で有名な昭和31年経済白書の年に生まれました。昭和22~24年生まれの団塊世代から遅れること7年。この3年間には毎年270万人近くの新生児が生まれたことに対し、昭和31年は167万人足らずの出生数。▲100万人、率にして▲38%と大きな違いです。物質の密度が高まると、運動エネルギーが高まり、熱が発生するのと同様に、団塊世代は厳しい競争の中、高度成長が重なったこともあったのでしょう、大変活動的な性格を有する人達が多く、それは今に至るも変わらないように思います。学生運動に始まり、バックパッカー、ビートルズ、グループサウンズ、そしてオーディオの流行と幅広い人々が、それぞれの趣味/興味を深く追求し、独自文化、一大勢力を形成したとされております。

 

学生運動終了、石油ショックによる就職難の影響からか、我々は4無主義(無気力・無関心・無責任・無感動)の「シラケ世代」と呼ばれ、常に「夏草や兵<つわもの>どもが夢の跡」の気持ちで団塊世代の後ろ姿を眺め、今に至ります。多分、「終活」と呼ばれる死への準備に関しても、活動的に色々な試みがなされ、我々にとって最後まで「工夫の余地がない」と言う状況になってしまうのだと思います。

 

[発端]

私がオーディオに関心を持つに至った切っ掛けは、職場の電話会議設備が、電話回線方式から、パソコン・ネットワークを使ったグーグル・ハングアウトに替わった一昨年のことでした。パソコンに繋ぐスピーカーを探し、ネットを物色した時「自作スピーカー」なる分野があることを知りました。当時もダイソーの300円スピーカーを使った自作が話題になっておりましたが、生憎売り切れ状態だったため、同様に話題になっていた秋月電子の2個500円のスピーカー・ユニット(8cm)を入手し、100均MDF箱で12cm立方体の密閉式スピーカーを面白半分で作ってみました(2018年2月のこと/写真の通り)。すると思いのほか良い音がして、そこから夢中になって「自作スピーカー」を調べ、次から次へと作ることになりました。ダブル・バスレフ式、バックロードホーンと合計10セットとなりました。集合住宅6畳間がリスニングルームであることもあり、置き場所にも困る状況で、家内のパソコンや居間のテレビに取り付けたり、娘宅に持って行ったりしております。このような状況のもと、今は自作アンプ・キット作製に移行しているところです。このようなことができるのも、子供達が独立し、定年後の再雇用・嘱託の身分となり気楽な精神状態となったからと思っております。

 

[音楽体験]

私のクラシック音楽体験は中学二年生に遡ります。大学卒業直後の新任男性音楽教師が一生懸命に音楽の素晴らしさを啓蒙して下さいました。先年、我々の還暦を機に行った卒業45年同窓会の挨拶で、同先生が初めて受け持った学年と言うことで、今も親近感を持って下さっているとのことでした。今以って、多くの同窓生がクラシック音楽を趣味にしており、一教師の少年・少女に与えた影響は大きかったと感じ入ります。私が育った札幌には札幌交響楽団があり、当時北海道電力がスポンサーとなって、ラジオ番組などで運営サポートしておりました。月一回くらいの放送用公開録音にはヴァイオリンの江藤俊哉・アンジェラ夫妻、今も時々お名前を聞く名指揮者・三石精一さん、若くバリバリだったピアノの小林道夫さんなどなど、貧乏高校生が無料整理券で当時の錚々たる演奏家に接したのは、大きな財産となりました。また、サイトウ記念オーケストラや水戸室内管弦楽団のフルート奏者・工藤重典さんが高校の二年先輩でもありました。オーケストラもブラス部も無く、器楽の部活としては唯一のマンドリン・クラブで指揮兼フルート担当として、入学時のクラブ紹介でバッハ、管弦楽組曲第2番・ポロネーズが聴けたことは良い思い出です。

 

[AAFC]

当クラブ入会の昨年(2018年)10月以来一年間で、例会、分科会に接して思うことは、

  •  団塊世代以上の方達が多く、発足から25年間精力的に活動されて来たこと。月4回のペースで年12回と計算すると、これまでに1200回の発表の機会があったことになります。様々な内容が調べられ、発表されてきたものと想像でき、4無主義世代の私としては、ここでも団塊パワーに圧倒される思いです。
  •  発表に対する皆様の姿勢には気後れや、尻込みがなく、むしろ発表大好きであり、多くの場合時間オーバーの傾向があること。
  •  何事にも一生懸命で深く掘り下げ、博識であり、ラズベリーパイなど新しい分野への挑戦も果敢に行われていること。
  •  半田ごてを持って50年など、かつてのラジオ少年が少なからずいらっしゃり、理論だけではなく、経験に即した情報となっていること。

などに気付きます。

オーディオ機材に関して思うことは、

  •  レコード盤をアナログプレーヤー、真空管アンプ、タンノイやJBLなど有名スピーカーで鳴らすのが主流の様子。
  •  技術の進歩から家電品にも電子部品が多用され、携帯電話など電波発生源が多く存在することから、最近は電源や電波のノイズ対策による音質改善が興味の対象となってきていること。

が、この1年の見聞から得た私の浅い理解です。

 

オーディオ1年生の私としての当面の目標は、

  •  基礎的な電気/電子工作の勉強をする。
  •  ユニバーサル基板を使い、必要電子部品を選択/購入し、ノイズ除去装置を組込み、アンプを作るこができるようになることです。

 

その為には、アンプの動作原理や電子部品個々の働き/役割を知る必要があり、会員の方々の発表内容を参考にしたり、博識な皆様からノウハウを伝授頂くことが必要です。

これからも何卒宜しくお願い致します。

小田 貢 (2018年10月入会)